(2)マコガレイ 東京湾における過去と現在の各環境要因に対するマコガレイの生息適性(SI 値)を図 5-2-33~5-2-57 に示す。また、各生活史段階の生息環境評価の結果を図 5-2-58、過去と現在 の HU の比較を図 5-2-59、図 5-2-60 に示す。 卵期の HU は、過去と現在とも湾全体で適性が低かった(図 5-2-58) 。この原因は東京湾 の底質粒径が湾全体として細かいため、産卵に適した場所がほとんど存在しないためであ った(図 5-2-37) 。 卵期以外については、過去と現在ともに生息環境の適性は湾全体で高かった(図 5-2-58) 。 ただし、沖合生活期(夏季)については、イシガレイと同様に DO の低下と高水温で湾奥 部の適性が低かった。また、イシガレイは埋立による干潟や浅海域の減少が主なハビタッ トの減少要因であった。しかし、マコガレイについては埋立による面積的なハビタットの 消失は少なかった。 以上のことから、東京湾のマコガレイは生活史全体から見ると卵期の生息適性が湾全体で 極めて低いことが明らかとなった。また、その原因は底質環境(粒径サイズ)にあること から、今後は東京湾におけるマコガレイの産卵場とその条件(水深、底質粒径、水温など) に関する調査・解析を進める必要がある。 141 図 5-2-33 水温に対する SI 値 142 図 5-2-34 塩分濃度に対する SI 値 143 図 5-2-35 DO に対する SI 値 144 図 5-2-36 水深に対する SI 値 145 図 5-2-37 底質(中央粒径)に対する SI 値 146 図 5-2-38 水温に対する SI 値 147 図 5-2-39 塩分濃度に対する SI 値 148 図 5-2-40 DO に対する SI 値 149
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