F-23 レアアースレス CV 黒鉛鋳鉄の製造に関する研究 09-1-035-0264 中村 哲也 緒言 1. 現在,レアアースの世界生産量は中国が 90%以 上を占めており,日本も中国からの輸入に依存し ている.近年中国からのレアアースからの輸入が 滞る事態が発生した.レアアースは鋳造において は黒鉛球状化剤中に添加されており,球状黒鉛鋳 (a)CV00150 (b)CV15150 鉄や CV 黒鉛鋳鉄においては生産性や品質面で 図1 (c)CV00151 組織観察結果 種々の役割を果たしている.そこで本研究ではレ アアースレス試料に Cu,Sn を添加することで, 引け性および,CV 化に及ぼす影響を検討し,レ アアースレス CV 黒鉛鋳鉄が製造可能から調査す ることを目的とした. 実験方法 2. (a)CV00150 試料の溶製 2.1. 図2 高周波誘導電気炉にて溶解を行った.銑鉄,電 解鉄を 1500℃に昇温後,Fe-Si,Fe-Mn,Cu,Sn 引け体積[cm3] い,引け試験用砂型, 成分分析用金型に鋳込んだ. 試料の目標組成を表 1 に示す. 表1 CE C Si Mn 4.47 3.7 2.3 0.3 2.2. 目標組成 (mass%) P S Cu Sn Mg Ce 0.0 0.00 0.010 0.000 - - ~ ~ ~ ~ 1.0 0.05 0.025 0.005 2.3. 試料の組織観察 引け試験片をレーザ顕微鏡で黒鉛組織,基地組 8 7 6 5 4 3 2 1 0 左:引け体積[cm3] 右:球状化率[%] 図3 CV15150 80 70 60 50 40 30 20 10 0 CV00151 引けの体積と球状化率の関係 Mg0.015mass%添加した場合,Cu,Sn添加によ 溶製した引け試験片を加工し,断面のカラーチ ェックを行い,引けの体積を測定した. カラーチェック観察結果 CV00150 引け試験 (c)CV00151 球状化率[%] を添加後, 5 分間保持し,球状化処理,接種を行 (b)CV15150 り,球状化率は減少し,引け体積はREを添加した ものより低くなった.Cu,SnがREの役割をしたと 考えられる. 織の観察を行い,解析ソフトを用いて黒鉛粒数・ 粒径・球状化率を測定した. 3. 実験結果および考察 大気溶解にて溶製した試料の組織観察結果を 図 1 に示し,カラーチェックの観察結果を図 2 に 示し, 引けの体積と球状化率の結果を図 3 に示す. 4. 結言 (1) Cu,Sn を添加させるとレアアースと同様に 球状黒鉛の混入の少ない CV 黒鉛が得られ る. (2) Cu,Sn の添加で引け体積が最も少なくなる. (3) Cu,Sn にはレアアースと同様に黒鉛の球状 化を促進する効果がある.
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