1 原子力規制委員会記者会見録 日時:平成 26 年 12 月 24 日(水)14

原子力規制委員会記者会見録
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日時:平成 26 年 12 月 24 日(水)14:30~
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場所:原子力規制委員会庁舎
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対応:田中委員長
記者会見室
<質疑応答>
○司会
それでは、定刻になりましたので、ただ今から原子力規制委員会の定例会見を始
めたいと思います。
早速ですが、皆様からの質問をお受けしたいと思います。いつものとおり、所属とお
名前をおっしゃってから質問をお願いいたします。
それでは、質問のある方、手を挙げてください。ハナダさん、どうぞ。
○記者
NHK のハナダと申します。
今日の委員会であった1Fのリスク低減目標の関係で伺わせてください。マップの中
で、貯蔵液体放射性廃棄物総量の削減というのがありますが、これについて、まず確認
なのですけれども、これは委員長がこれまでおっしゃられてきた、方策としては海洋放
出を軸として、それを委員会として具体的に実現に向けた検討を行っていくという意味
で、委員会を見る限り、捉えたのですけれども、その点についてはいかが でし ょう か。
○田中委員長
基本的に、今日の委員の発言も、別に決定したわけではない。我々が何か
するわけではないから。だけれども、一応、その問題意識は委員会で共有できたと思っ
ています。全ての原子炉の廃止措置、水抜きにはできないことも事実ですので、できる
だけ RO 水なども、今日は議論しませんでしたけれども、炉心冷却、隔離して、循環冷
却をするとか、そういうことも含めて、技術的にもそういうことを詰めていく時期にだ
んだんかかっているということなのですよ。だから、地下水を捨てることとか何かとい
うのは、あれだけ並べてみれば分かるように、何が一番大事かというのは、おのずと判
断できるはずなので、そこはよく関係者に説明するようにして対処してもらうように申
し上げました。実際、1F行ったことあります。最近。
○記者
あります。
○田中委員長
○記者
もうタンクだらけでしょう。1,000 基以上あるそうです。
ありがとうございます。
今はまだ決定前なので、どこまで伺うかという部分はあるのですけれども、今、おっ
しゃられたように、最終的な処分として海洋放出とか考えていくとなると、東京電力の
方は、関係者の了解なくしては海洋放出しないと考えていると思うのですけれども、規
制庁として関係者の了解を得るための取組は何か行っていくお考えはある のか 。あ と、
トリチウムタスクフォースとか、経産省の方でも最終処分についての検討は進められて
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いますけれども、そことの調整はどのように進めるお考えがあるのか、確認させてくだ
さい。
○田中委員長
規制委員会としても、別にそういうことをやる予定はありません。ただ、
安全上の問題として、タンクにああいうふうに水をためておく方が危険ですよと、来る
外国人が率直に、次から次と、見るたびにそういうことを言っています。トリチウムタ
スクフォース、お手並み拝見ですけれども、それは別に私から何か言う必要ないでしょ
う、今は。
○記者
分かりました。
○司会
他にいらっしゃいますでしょうか。ミヤジマさん、どうぞ。
○記者
『FACTA』のミヤジマですが、希釈排水について、先生、ここで会見、2年ぐらい
前におっしゃっていたけれども、2年間進んでいないというのが現実で、いわゆるトリ
チウム残留水について、こちらには田中知先生含めて専門家もおられるわけだから、推
進側の経産省とは別に、規制委員会の方でそういうタスクフォースをつくって、捨てる
ならば、どういう方法が、規制委員会としては、この組織にはもともと勧告権限がある
わけですから、勧告権限のもとは意見具申権ですから、行政庁に対してアドバイスをす
ることに何の支障もないわけで、規制委員会で言った方が、現場に対する説得力がある
のではないかと思うのですが、そこは2年前から希釈排水のことをおっしゃっているわ
けで、やはり一歩前へ出たほうがいいのではないか。ハナダさんもおっしゃっていまし
たけれども。お手並み拝見というのは、私は田中先生らしくないのではないかと思うの
ですけれどもね。
○田中委員長
今日は委員会で3番目、4番目の議題で、3番目も若干、本来の姿ではな
いけれども、一歩、委員会として公的な場で共有していただいたと。今までは私の言葉
としてだったのですが、結局、トリチウムについて見ると、技術的に見て、世界中、ど
こを聞いても分かりますけれども、そんな簡単にあれが処理できるというところはない
のですね。先ほどの質問にもありましたけれども、そうすると、希釈廃棄 しか なく て、
他の核種について見たら、排出基準以下になっているということですから、ヨウ素 129
が前は少し高かったのだけれども、それも一応、下がってきたようですので、やはりど
こかで住民によく説明をして、事業者の方でやっていただくしかなくて、私たちは、安
全上の問題から考えても、そのことをしないと、あそこの廃止措置は進まないだろうと
いう意味で、今日は一歩踏み出したのですが、やはり足りませんか。
○記者
御案内のとおり、確かにスリーマイルのときはやはり海に流せないで、2,000 ト
ンぐらい蒸発させたとか、いろいろな話があったと思うのですね。現代の科学でもでき
ないものはできないについて、田中知先生みたいな方がおられるわけだから、経産省の
ところでなくて、規制委員会はリスク低減の観点からワーキンググループをやることは、
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この組織の本来の仕事ではないかと、設置法上の精神からしても何のあれもないという
のが私の意見でございます。
○田中委員長
今日は、そういう意味で、全体的なリスクを総ざらえしてもらって申し上
げたつもりではいるのですけれども、もう少し事務局の方で、今日の意見 も踏 まえ て、
関係者の意見も聞きながら、より詳細なものをつくるという話を聞いていますので、そ
う遠くない時期にもう一回議論することになるかと思います。
○司会
次の方、いらっしゃいますか。アマノさん、どうぞ。
○記者
サンケイ新聞のアマノと申します。
今年最後の会見なので、まず、来年の展望をお伺いしたいのですけれども、今日の定例
会で、委員長は難しくて複雑な課題があって、来年にも山積しているとおっしゃいまし
たけれども、難しくて複雑な課題というのをどういうものと捉えて、来年、どういうふ
うに克服していこうとお考えでしょうか。
○田中委員長
申し上げるまでもなくて、今、申請中のプラントの審査をするだけでも大
変な量があります。それで、結局新しい規制というのは、要するに、立っている地盤の
問題からしてひとつひとつ見ていかなければいけないわけで、そこのところはなかなか
白黒の決着がつきにくいところがあって、少し時間がかかっているということがありま
すね。それから、今後事業者がどういう態度で出てくるか分かりませんけれども、40年
問題もありますし、それから、私どもとしてはいろいろ他の放射性取扱施設の問題につ
いても、今のところほとんど手つかずの状態に近いわけですね。
いろいろ相当やっていますけれども、それなりに着実には進んでいると思いますが、
なかなか思ったよりはちょっと、やはり正直言って時間がかかっているなというのもあ
ります。そういうことを踏まえながら、今後持てる体制でどの程度のことをやっていか
なければいけないかというと、考えると想像がつかないのですけれども、ひとつひとつ
やっていくしかないとは思っています。
○記者
その中で、1点だけお伺いしたいのですけれども、おっしゃった敷地内破砕帯の
問題の方で、現状敦賀はピアレビューが終わって、東通も先週評価書案が出まして、近々
の規制委の定例会の方に報告書が上がってくるかと思うのですが、その時点で、規制委
員会としてこれは報告を受理するだけなのか、それとも、規制委員会として活断層であ
るとか、活断層でないとか、そういう判断を下されるんでしょうか。
○田中委員長
前にも申し上げましたけれども、当初はもう少し明瞭にその辺の判断がで
きるのかと思ったのですが、相当いろいろ御意見があります。それで、結局有識者とい
うところだけの判断では処理できないイシューになっていますので、これは法的にやは
り我々がそれだけの権限と義務を持っているわけなので、きちっとした審査が出てくれ
ばその中でやりますということになりますので、報告書についてはどういう形で出てく
るか分かりませんけれども、受け取るということでいきたいと思っています。
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○記者
そうすると、前回敦賀の方で、いわゆる原子力規制委員会として活断層と判断し
て、判断したがために、いわゆる報告徴収という形で現状使用済み燃料の健全性を確か
めてくださいという調査を命令されましたけれども、ああいう形での報告徴収のような
形でこちらから何かアクションするということは、定例会の中ではないということです
か。
○田中委員長
いや、報告徴収というのは、そういう何かがある場合には、念のためにそ
ういうことを安全確保上必要であればやっていただくということで、そのこととさっき
の審査とは、一緒にする必要はないと思っています。
○記者
前回のその報告徴収を見たところ、原子力規制委員会が活断層と判断したから報
告徴収しますという流れになっているのですけれども、そうしたら、そういう前段部分
はなくして、専門家調査団から報告を受けた段階で、判断を不明確にしながら徴収する
という場合もあり得るということですか。
○田中委員長
前段をなくすかどうかということもありますけれども、やはり安全を確保
する上でそういう懸念がある場合には報告徴収をかけるということはしたいと思って
います。
○記者
はい、ありがとうございました。
○司会
はい、他、いらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。オイカワさん、どう
ぞ。
○記者
日経新聞のオイカワと申します。
1つは、先日川内発電所に行ってこられたと思うのですけれども、現地でも感想は述
べておられると思うのですが、改めて御自身の目で、審査通過の第1号となるわけです
が、その対策の進み具合とかを御覧になって、どのような感想をお持ちになったかを一
言お聞かせいただけますでしょうか。
○田中委員長
一言で言えば、新しい規制に合格というか、規制要求に対しての対応が着
実に進められているというのをこの目で見たという、確認したという意味では大変よか
ったと思っています。今までいくつか原子炉は見ていますけれども、やはり相当新しい
基準に対応するということが、多分事業者から見たら大変なことだったのでしょうが、
きちっとそれに受け止めてやってもらっているなということですね。
それから、もう一つ申し上げたのは、やはり最終的には現場の力が、そういう装置類
があったとしても、きちっと使いこなすだけの訓練と能力というか、判断力も含めまし
て、そういうことが最終的なとりでになりますから、十分にそこについては心して当た
っていただくようにとお願いしてきました。
○記者
もう一点すみません。
先ほどのやりとりにもちょっと絡むのですけれども、適合性審査で委員長は思ったよ
り時間がかかっているということも先ほどもおっしゃっていましたが、来年の展望とい
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うか、実際に個別にどのプラントがどの段階で設置許可が出るというようなことはまだ
分かりませんが、多少なりともスピードが上がって、来年、2015年という年には、いく
つかのプラントが川内のように基準に適合できる体制が整うというふうに御覧になって
いらっしゃるのか、まだまだいろいろ課題があるというふうに御覧になっていらっしゃ
るのか、その辺の見通しをちょっとお聞かせいただけますか。
○田中委員長
この問題は1度答えているのですけれども、高浜は今、パブコメに入って
いますので、一つの区切りがつくでしょう。それから、伊方とか大飯とか玄海について
は、相当基本的なところが大体議論が詰まってきているのではないかと思いますので、
その辺が次の段階、いつになるか分かりませんけれども、そういうところかなと思いま
す。それ以外については、ちょっと私も今、どうなるかは見えていないですね。
○司会
はい、他、いらっしゃいますでしょうか。クマイさん、どうぞ。
○記者
朝日新聞のクマイと申します。
初めの方でハナダさんやミヤジマさんが質問したALPSの処理水のタンクに残っている
汚染水の関係なのですけれども、今日の共有認識としてできるだけ早く海に放出すると
いうことが言われていましたが、この低減目標マップだと5年以内のスパンでものを考
えていて、その5年の一番後ろのところに位置付けられていたのですが、それを少しで
も早く排水に向けて目標を立てていくという理解でよろしいでしょうか。
○田中委員長
あの縦軸の時間軸は何の意味もないと思っています。特別な意味はないと
思います。あの括弧の中に27年3月とか、そういうものが書いてあったのは、それは大
体着手していてそういうことでいくと思いますけれども、それ以外のところは特に時間
的なところは何も語っていないと思います。
今、60万トン以上の水がタンクにたまっているのです。80万トンまでためますという
けれども、ためてどうするのだということなのですよね。結局あそこにいくつかに分け
て縦の列がありますけれども、それぞれが結構関係しているところがあるのです。例え
ば3号機の燃料取出しのときに、今、3号機で一番頭が痛いのはやはり線量率が高いの
ですよね。
そういう状況で本当にどのような方策で、今、高いところにある燃料を取り出せるの
かということは多分大いに考えていて、なかなかいい考えができなくて少し時間が遅く
なりそうですと言っているのだけれども、線量を下げる方法というのはそう簡単でいろ
いろな特別な方法があるわけではなくて、いずれにしても、やはり水はいろいろな形で
出てくるのです。除染をしてもそうです。
だから、そういったことについては、やはりきちんと処理して処理水として対応しな
いと、結局、何も進まなくなってしまうのです。そこをきちんと明確にするのが今日の
一つの議論の目的だったのです。
地下水バイパスだとか凍土壁だとか、タンクから水が漏れたとか、一品、一品で大騒
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ぎしているのだけれども、そういう見方だけではやはり1Fの廃止は進まないということ
なのです。
○記者
分かりました。
となると、まだトリチウムだけ告示濃度を超えていますけれども、委員会として何ら
かの見通しを示して、東電なり、国の汚染水対策チームなりに提言なり、勧告なりとい
うことを視野に入れているということですか。
○田中委員長
いや、勧告は、どういうやり方をするかということはもうおのずと明らか
なので、あとは事業者の責任で関係者の了解を得るしかないと思っています。
だから、私どもがこうしなさいという勧告を出すべきだという御意見も先ほどあった
のだけれども、多分そういうことはないのだと思います。先々は分かりませんけれども
ね。余りにもどうにもならない状態になれば、そのときは何か言うかもしれませんけれ
ども、今は我々として言えることは言っているつもりでいます。
○記者
分かりました。
○司会
他にいらっしゃいますか。
モトキさん、どうぞ。
○記者
NHKのモトキです。
今日、経産省の有識者会議が、電力会社が廃炉を判断しやすくするための会計上の特
例措置を拡充することなどを盛り込んだ中間的な提言をまとめたのですけれども、これ
について何か受け止めがあればお願いいたします。
○田中委員長
議論されているということと、そういったニュースは知っていますけれど
も、これについては私から何か申し上げることではないので、廃炉をするのであれば、
廃炉段階に入ったという認定をして廃止措置の炉として扱うというだけになると思い
ます。
○記者
仮の話なのですが、こうした支援策が実際に実施されて、それによって今48基あ
るプラントの一定程度が廃炉基になっていった場合、集中立地とか多数基立地の問題も
指摘されている中で、安全の面から考えると減ることは望ましいのではないかと思うの
ですが、そのあたりで何かお考えがあればお願いいたします。
○田中委員長
多数基立地の問題はなかなか難しいのですけれども、結果的にそういうも
のがだんだん少なくなっていくというのは、それはそれとして受け止めればいいと思う
のですが、一つの問題は、やはり今日も議論していただいた議題1の、要するに廃炉段
階に入っていったときの廃棄物の基準というのがやはり私どもNRAの一つの仕事ですの
で、そこはきちんと作りましょうということです。ある程度予測、浜岡1・2号機はも
うはっきりしているし、福島1・2・3・4号機は別として、5・6号機はもうそうで
すよね。それ以外にももっと出てくる可能性があるので、やはりそこはきちんと基準は
作っておきましょうということです。
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○記者
その意味で、現状の社会的な情勢ということも含めて、今このタイミングで廃棄
物の基準を作ろうということになったという理解でいいのでしょうか。
○田中委員長
もともと長いこと議論をしているのです。こう言っては叱られるけれども、
議論がどうもなかなかまとまらないのですが、そういう意味で1年をめどにという大体
期限を決めて、きちんとできるようにしましょうと。そこで決まらないものについては
また別にすればいいのであって、無理やりそういうものを決めようというか、ある前提
条件のもとで廃棄物の管理処分をやろうというところにいろいろ問題があったのかも
しれないので、そこも含めてよく議論をしていただこうと思っています。
○司会
他はよろしいでしょうか。
それでは、本日の会見はこれで終わりにしたいと思います。御苦労さまでした。
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