第121号 平成27年1月 長崎県県北保健所 長崎県平戸市田平町里免1126−1 TEL:0950-57-3933 FAX:0950-57-3666 ホームページ http://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/huk ushi-hoken/kenkodukuri/kenkozukuri-ken hoku/ 今月のテーマ 睡眠について 睡眠不足や睡眠障害等の睡眠の問題は、疲労感をもたらす、情緒を不安定にする、判断力を鈍らせる など、生活の質に大きく影響します。また、こころの病気の一症状としてあらわれることもあるほか、 近年は無呼吸を伴う睡眠の問題が事故などの一因としても問題になっています。 厚生労働省では、睡眠に関する適切な情報提供を行うために、平成15年に「健康づくりのための睡 眠指針∼快適な睡眠のための7箇条∼」を作りましたが、その後、10年以上が経ち睡眠に関する新し いデータも増えてきたことから、平成26年3月に「健康づくりのための睡眠指針 2014∼睡眠12箇 条∼」を作成しました。今回は一部、抜粋してご紹介します。 健康づくりのための睡眠指針 2014 ∼睡眠 12 箇条∼ 1.よい睡眠で、からだもこころも健康に 睡眠時間が足りなかったり、睡眠の質が悪くなったりすると、高血圧、糖尿病、うつ病になりやすくな ります。また、日中の眠気が強くなることで交通事故や仕事でのミスが増えてしまいます。 2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを 定期的に運動をすると適度に疲れてぐっすり眠れます。規則正しく食事を摂ると、睡眠と覚醒のリズム が安定します。特に朝食は大切で、朝食を摂ると目覚めがよくなります。寝る前のカフェインやたばこ、 アルコールは睡眠の質を悪くするので控えましょう。 ◎アルコールは入眠を一時的には促進しますが、中途覚醒が増え、睡眠が浅くなり熟眠感が得られません。 ◎就寝 3∼4 時間前のカフェイン摂取は入眠を妨げ、睡眠を浅くする可能性があります。 ◎たばこに含まれるニコチンは覚醒作用があるため就寝前の喫煙は入眠を妨げ、睡眠を浅くします。 3.良い睡眠は生活習慣病予防につながります 睡眠不足や不眠は生活習慣病の危険を高めます。一方、睡眠不足を解消したり、十分な睡眠をとること で、生活習慣病を予防できます。 ◎睡眠時に息の通りが悪くなって呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群は、治療しないでおくと、高血圧、糖尿病、不整 脈、虚血性心疾患、歯周病などの危険性が高まります。 ◎睡眠時無呼吸症候群は過体重や肥満によって発症したり、重症化したりしますので、予防のためには肥満にならな いことが大切です。 4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です うつ病の人の9割近くに、何らかの不眠症状があらわれます。また、眠れない、眠っても疲れがとれな い時には、うつ病の可能性もあります。さらに、気持ちが落ち込み、物事への関心がなくなり、好きだ ったことが楽しめないことが続くとうつ病の危険性が高まります。 5.年齢や季節に応じて昼間の眠気で困らない程度の睡眠を 必要な睡眠時間は人それぞれです。歳をとると自然に睡眠時間が短くなります。また、冬は睡眠時間が 長く、夏には短くなる傾向があります。個人差はありますが、あまり睡眠時間にこだわらず、6∼8時 間の睡眠がとれたらよいと気楽に考え、自然な睡眠を心がけましょう。 6.良い睡眠のためには環境づくりも大切です スムーズに入眠に移行させるためには就寝前の脳の変化を妨げないように自分にあったリラックス方法 を工夫することが大切です。寝室の温度や湿度は、心地よいと感じられる程度に調整しましょう。明る さは不安を感じないくらいの暗さにするとよく眠れます。寝つく前には、ぬるめのお湯に入るなどして 心身ともにリラックスを心がけましょう。 《快適な睡眠環境》 ●寝室の明るさ ・人が眠りに誘われる明るさは 1∼30 ルクス。 ・間接照明がよい。 ・白っぽい照明は避ける。 ・東向きに窓がある場合は遮 光カーテンを活用する。 ●枕 素材、高さなど自分にあったものを使う。 ●室温 夏 25∼28℃ 冬 18∼22℃ ●湿度 50∼60% ※個人差あり ●敷き布団 やわらかい布団では背中や おしりが沈み込むため、背 中や腰が痛くなり熟眠でき ない。敷き布団は適度な硬 さのものがよい。 ●湯たんぽ、カイロ 手足が冷える場合はカイロ や湯たんぽを活用する。 7.若年世代は夜更かしを避けて、体内時計のリズムを保つ 人は毎朝、明るい光を浴びることで体内時計をリセットしています。しかし、夜更かしや朝寝坊がある と体内時計が遅れてしまいます。そのため、休日でも平日と同じように目を覚まし、布団から出て太陽 の光を浴びましょう。また、寝床に入ってから携帯電話やゲームなどに熱中すると覚醒を助長し、夜更 かしの原因となりますので注意が必要です。 8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を 睡眠不足がたまると自分では眠気を感じなくても、注意力や能力が低下します。その結果、仕事が遅く なったり、ミスが増えたり、事故を起こしたりします。平日でも必要十分な睡眠時間を確保することが 大切ですが、それができないときは、午後の早い時間に30分以内の短い昼寝をとると効果的です。 9.熟年世代は朝晩メリハリ、昼間に適度な運動でよい睡眠 日中にしっかり目覚めて過ごせていれば、睡眠時間は足りています。「若いころと同じだけ眠れないと いけない」と思って、眠れないのに寝床にいるのはやめましょう。日中に無理をしない程度の運動をす るとよく眠れるようになるだけでなく、生活習慣病の予防にも役立ちます。 10.眠くなってから寝床に入り、起きる時間は遅らせない 眠たくないのに無理に眠ろうとすると、かえって目が覚めてしまいます。普段の就床時間はあくまで目 安で、「眠くなってから寝床につく」ことがスムーズな寝つきへの近道です。寝床で過ごす時間が長く て眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝、早起きをするとよいこともあります。 11.いつもと違う睡眠には要注意 睡眠中の激しいいびきや呼吸停止、手足のぴくつき、むずむず感、歯ぎしりには、病気が隠れている可 能性があります。睡眠時間は十分なのに日中の眠気や居眠りで困る時は医師などの専門家に相談しまし ょう。 12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を 寝つけない、熟眠感がない、十分に眠っても日中の眠気が強いことが続き、自らの工夫だけでは改善し ないと感じた時は早めに医師などの専門家へ相談しましょう。また、睡眠薬などを用いて治療を行う場 合は指示された用法、用量を守りましょう。
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