省エネ基準 大規模建築から平成25年基準適合を義務付けへNEW

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ハウジング・トリビューン【ウィークリー】
2014 年 12 月26 日号
http://www.sohjusha.co.jp
今週のトピック解説
省エネ基準 大規模建築から平成25年基準適合を義務付けへ
国土交通省の社会資本整備審議会 建築分科会建築環境部
会が「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方につ
いて」の骨子案を取りまとめた。国は2020年までに新築住
宅・建築物について段階的に省エネ基準の適合を義務化する
方針。建築環境部会ではそのための取り組みの方向性や具体
的な方策について議論、今回、骨子案をとりまとめた。
省エネ基準の義務化をどのように段階的に進めていくかに
ついては、まずは大規模非住宅建築物から義務化していくこ
とになりそうだ。単体としてのエネルギー消費量や届出制度
における対応状況、建築主による対応能力などを踏まえたも
の。新築建築物における省エネ基準への適合率では、2000
省エネ基準は、適合率の高い大規模非住宅から義務化されることになりそうだ
㎡以上の建築物では2013年時点で93%と9割を超えている。
合わせて、省エネ基準への適合率向上も図っていく。設計
国土交通省も「現行の届出制度における届出率、適合率が
者や中小工務店の負担を軽減し規制への対応を円滑化するた
比較的高く、件数も一定範囲内におさまる大規模な非住宅建
め、基準への適合性をチェックする際に用いるプログラムな
築物から基準適合を義務化する方向で検討する」
(住宅局 住
どの使い勝手の改善を図る。
宅生産課)としている。義務化する基準については、現行の
義務化に向けた道筋をつけていく一方で、建築主が省エネ
省エネ基準である平成25年基準がそのまま導入される見込
対応に積極的に取り組む環境整備も進める。例えば、賃貸住
みだ。義務化の時期については未定となっている。
宅については、低所得者や被災者、高齢者、子育て世帯など
住宅は省エネ基準への
適合状況を踏まえて判断
が多く居住しているものの、省エネ化に関しては貸主の意向
一方、住宅については現行の平成25年基準への適合率の
が強く、対策が進んでいないのが実情だ。そのため、一定の
省エネ性能を持つ賃貸住宅の整備に対し、支援を行うなど、
省エネ性能が確保された賃貸住宅ストックの形成を推進して
進捗などを見ながら、義務化の時期や義務化する基準のレベ
いく。
(独)住宅金融支援機構の「省エネ賃貸住宅建設融資」
ルを判断していくことになりそうだ。
などを今後も継続するとともに、住宅性能表示制度による性
新築住宅における省エネ基準への適合率は2013年時点で
能のラべリングで賃貸住宅の省エネ性能を見える化し、借主
49%と約半数に留まっている。とくに中小工務店などでは
が賃貸住宅を選ぶ際の目安になるような取り組みも推進する。
省エネ基準への対応の遅れが指摘されている。また、住宅の
今年度が目標年次となっている住宅建築主の供給する建売
場合、建築主の多くは一般消費者であるため、資力の面など
戸建住宅の省エネ性能向上を促す措置(住宅トップランナー
から基準への適合が難しくなっているケースもある。このま
制度)も、今後も継続する方針。
ま義務化に踏み切ると市場に混乱を招く恐れがある。
「これまでの目標達成状況など結果を分析し、新たに次期
「住宅については、2015年4月から平成25年基準が完全施
の目標などを設定したい」
(同)としている。省エネ基準の
行となるので、その後の適合率の推移や制度の運用状況を見
義務化に向けて、省エネ住宅の底上げを図るうえでも動向が
ながら判断したい」
(同)としている。
注目されそうだ。
今週の主なニュース
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12 25
・大和ハウス工業 米国で賃貸住宅事業を開始 物流倉
庫や分譲住宅事業も順次スタート
・住友林業 ハイクオリティ・ハイセンスな高価格帯の
新商品を開発 富裕層向けの提案を強化
・積水化学工業 インテリアとエクステリアの子会社を
統合 住宅内外のトータルデザインを提案
・リンナイ デジタル放送の受信に対応した浴室テレビ
を発売 従来品に比べ消費電力を6割削減
・YKK AP 国内最高の断熱性能を実現した高性能トリ
プル樹脂窓を開発
・大建工業 インテリア畳のラインナップに970㎜角サ
イズを追加 関西間などに最適