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□平成 27 年 秋の課題作文コンテスト課題文 以下の課題本文は、小中学部全生徒に配布します。学年によっては追加の資料を提供しま
すので、右頁の指示に従って取り組んでください。 メディアリテラシーが欠かせない!~「安倍談話」の各紙評価を受けて~ さまざま
う
の
あんい
メディアリテラシーとは、発信される様々な情報を鵜呑みにせず(安易に信じないこと)、自分なり
にその情報を評価・判断して活用していく力のことである。
だんわ
第二次世界大戦終戦 70 周年を迎えた 2015 年 8 月 14 日、安倍晋三首相の「戦後 70 年談話」(通
称「安倍談話」)が発表された。
第二次世界大戦とは、日本・ドイツ・イタリア等とアメリカ・イギリス・フランス・ソ連(現ロシ
ア)等との間で行われた世界規模の戦争のことである。1945 年 8 月に日本が降伏して終戦を迎えて
いる。また、折に触れて発表される「談話(首相談話)」とは、様々な事件・災害・紛争等に対する国
家としての考え方を示すものである。例えば、20 年前に発表された「戦後 50 周年の終戦記念日に
しんりゃく
しょくみんち
あたって」(通称「村山談話」)では、第二次世界大戦中に日本がアジア諸国で 侵 略 や植民地支配を
行ったことを認めて公式に謝罪している。
今回の「安倍談話」では、第二次世界大戦に対する後悔の気持ちと不戦の誓いが表現される一方
で、侵略やお詫びなどに関しては「村山談話」を引用する間接的な表現が目立った。また、
「謝罪を
続ける宿命を子どもや孫たちに背負わせてはならない」という内容の言葉も盛り込まれていた。
けんかい
そ う い
私が注目したのは、「安倍談話」に対する主要新聞各紙の見解の相違(考え方の違い)である。
朝日新聞は「戦後 70 年の歴史総括として、極めて不十分な内容だった。日本が(アジア諸国を)侵略し、
ろんぴょう
植民地支配をしたという主語がぼかされた」と 論 評 した。 毎日新聞は「『侵略』が日本の行為かどうかの特定は避けた。全体に村山談話の骨格をオブラートに包
んだような表現である」としている。 読売新聞は「首相が『侵略』を明確に認めたのは重要である。村山談話などの『お詫び』に相当する
し し そ ん そ ん
表現だ。首相の真剣な気持ちが十分に伝わる。子々孫々にまで謝罪行為を強いられないようにすること
が大切である」としている。(8 月 18 日朝日新聞「安倍談話に対する各紙の主な見解」より引用)
どの新聞社も情報を扱うプロ集団である。それなのに、同じできごとに対する評価が新聞各紙で
これだけ分かれるのだ。私たち情報の受け手はこのことを肝に銘じておかねばならない。私たちの
メディアリテラシーが、今、問われている。
北進ゼミナール塾長 西内 威