煮 て 食 べ る 柔 ら か 昆 布 昆 布 森 の 棹 前 昆 布

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平成
布を指すが、生育環境により品質
る成 長 前︵葉が厚 く なる前︶の昆
棹前昆布は広く釧路地方で採れ
うに、組合員が定期的に雑海藻駆
ために、安 定 的に昆 布が採れるよ
も 豊かですが、昆 布の着 床 を 促 す
部金英司部長が補足するには、
﹁海
昆布森漁業協同組合の総務指導
良質な昆布を成長前に採取し、昔
さ
お
ま
え
こ
でき あがる。同 漁 業 協同 組 合では
う ま 味にこだわることから、完 全
天日 干 し を 基 本 としている。機 械
乾 燥でな く 天日 干し すると、これ
は 海 産 物一般に も 通 じるが、紫 外
線の作 用で う ま 味 成 分のアミノ酸
が増 えるため昆 布がより おいし く
なるのである。
昆 布 採 取から出 荷 までの工程は
次の通り。昆 布 漁は、昆 布が成 長
して身が厚 く なる前の6 月に行わ
水 揚 げ 後 す ぐに砂 利 を 敷 きつめた
ん
れる。棹前昆布を採取したあとは、
干 場︵ほし ば︶で﹁天日 干 し﹂に
% 以 下 としている。乾 燥 後
より 乾 燥させる。乾 燥 基 準は、水
分量
は1 0 5 の長さに裁 断し、各 漁
業者の昆布倉庫で保管。検査基準
の束で梱包
ぶ
り、昆 布 森は昆 布ロードの出 発 点
文 化に 密 接に 関 係 している。つま
産。なかでも 道 東の太 平 洋 側に位
でもあったのだ。
日 本の昆 布の約
置 する昆布森は、地名で豊かな昆
る。地名の由来は、
アイヌの言葉﹁コ
から 昆 布の産 地 として知 られてい
が始まるより早い時期に採った葉の
町昆布森︶地域で、通常の昆布漁
昆布森︵旧昆布森村/現在の釧路
﹁昆 布 森の棹 前 昆 布﹂の名 称は、
ンプモイ︵昆 布の湾︶
﹂から。明 治
柔らかい昆 布 を 意 味 する。﹁棹 前﹂
布 群 落がイメージできるように昔
︵1880︶年に昆布森村がお
海の恵みを う け 昆 布 漁・サケ漁・
かれ、親潮がもたらす 栄養豊富な
れ時 期より 前に採 取 する昆 布なの
入れ︵さおいれ︶といい、その棹入
とは、成 長した昆 布 漁の解 禁 を 棹
で﹁棹 前 昆 布﹂と 呼 ぶ。昭 和
ニシン漁が地域を支えてきた。
昆 布 森での昆 布 漁の始 ま り は、
江戸時代に蝦夷地︵北海道の旧称︶ ︵1 9 4 9︶年に昆 布 森 漁 業 協 同
を 治めた松 前 藩 政 下での漁 場 請 負
世 紀 前 期 頃からと伝わっている。
制︵統治形態の方式︶
によるとされ、
また江戸時代には、北前船が日本
海を南下し下関経由で大阪︵のち
に鹿 児 島や沖 縄へ、沖 縄から中 国
へ輸 出︶へ昆 布 を 運 んで お り、航
路 は﹁昆 布ロー ド﹂と 呼 ば れ て、
船の寄 港 地 および目 的 地の北 陸・
大阪・沖縄など日本各地の昆布食
自体を食べる料理にも幅広
く活用できるのが特徴。
年度 本 場 の 本 物 認 定 品︵ Ⅰ 種 ︶
に違いが 生 じる。多 くの産 地 が あ
除などの岩盤清掃を行 うなどに努
ながらの天日干し製 法で仕 上 げる
に従って選別され、
%は、北 海 道
昔ながらの浜の天日干しがもたらす色・艶・うま味
り
る な かで も﹁昆 布 森の棹 前 昆 布﹂
めていま す。漁の期 間 も 3日だ け
ンクトン・栄 養 塩 が 豊 富 な 親 潮の
ことで得 られる。と くに天日 干 し
と等級色のバンドで結束を行い、製
13
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も
が、昆 布 森の前 浜の岩 盤は昆 布が
ぶ
着 床 しや すいことも 好 条 件のひと
ん
組合が設立された当初から﹁棹前
つ。さ ら に この 岩 盤 海 域 は 水 深
こ
昆 布﹂の名 称 を 使ってお り、長 年
は最 高 品 として高 く 評 価されてい
恵みに加 え、小さいながらも 多 く
は品 質 を 左 右 す る重 要 な工 程で、
品化される。製品化された棹前昆
布 は、昆 布 倉 庫 に おいて、色 目・
重 量・幅・状 態 などの多 種の項 目
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煮て食べる柔らか昆布
昆布森の棹前昆布
にわたって親しまれている。
5 mほどでわり あい浅 く、昆 布が
光合成で成長 するに照度が充分な
る。その要 因は、ま ず 海の自 然 環
時間も2時間半と規定して、環境
のである。
境にある。昆布森漁業協同 組合の
と資源を守っています﹂とのこと。
自慢のうま味は、良質昆布と
労を惜 し ま ぬ 浜 の 天 日 干 し
漁業権が及ぶ昆布森の前浜は海岸
の河川が流れ込んで森からのミネラ
これにより 色 目 は 黒 く 艶 が あ り、
﹁昆 布 森の棹 前 昆 布﹂の特 色は、
ル︵植物プランクトンや海藻の栄養
品 質 維 持の 期 間 も 格 段 と 長 く な
にもわたって続き、プラ
と な る︶な ど が 海へと 注 ぎ こみ、
り、うま味成分を多く含む製品が
量が少なく貴重な食材です。
線が約
また昆 布は岩に着 床して成 長 する
をもとに北海道水産物検査協会の
格 付 員によ り、等 級 が 定 められ、
格付証印により認証される。
今 後の活 動 展 開については、﹁昆
布森﹂という昆布にとっては最高に
よい地名を積極的にPRしてゆき、
食と農研究所
代表
煮物やサラダなどそのもの
加藤 寛昭 氏
合 わせて棹 前 昆 布の特 色やレシピ
前の身薄で柔らかい昆布は
業界とりまとめ団体/昆布森漁業協同組合(北海道釧路郡釧路町昆布森 2-72)
本場の本物 98
99 本場の本物
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昆布産地の前浜海域には多くの川が森からの
栄養を注ぎ込んでいることも昆布の品質の良
さに関与する。
審査専門委員
昆布森漁業協同組合 北海道釧路郡釧路町昆布森 2-72
☎0154-63-2311
わり続けている。成熟する
関連団体
乾燥は完全天日干しにこだ
氏
後藤義勝
紹介などに力を入れ、全国的な販
間と時間でしか操業しない。
製法の特徴/採取後すぐの完全天日干しを基本とし、水分は 18%以下になるまで乾燥さ
せている。天日干しにより、色よく、
うま味が増えておいしい干物ができあがる。
また、天日干し
により高品質が長持ちする。
路 拡 大に取 り 組んでいく 計 画 との
時間半だけといった短い期
名称の由来/釧路郡釧路町の昆布森海岸で採取される若い昆布であり、その昆布は
棹入れ(成長後の昆布漁解禁)前に採取されるもので、産地名と採取による区分から
の名称である。
ことである。
たの 3 日間、それも 1 日 2
品質と安全性/昆布森漁業協同組合が漁日を 6 月の 3 日ほどと決めて、組合員は最良
質の棹前昆布を採取し製品化している。製品化されたものは、北海道水産物検査協会に
より、
「抽出検査」
と
「格付」
を受け、格付け証印により認証されている。
昆布森漁業協同組合
代表理事組合長
昆布森の棹前昆布
特徴
が
ココ
沖合で親潮と黒潮がぶつかりあう道東
太平洋域の海は、魚介類が豊富で、
世界でも有数の漁場として知られてい
る。北海道東部、釧路郡釧路町の沿
岸部に位置する昆布森地区では、栄
養に富んだ親潮が沿岸に沿って流れて
いること、昆布森沿岸部の海底は昆布
が着床するに絶好の岩盤となっており、
当地の漁業は江戸時代後期に沿岸の
昆布をとることから始まり、現在も水揚
げ豊富な昆布漁を誇っている。
昆布森のさおまえ昆布1袋100g
昆布森のさおまえ昆布1箱(100g×5ケ入り)
棹前昆布は、柔らかな食べる昆布。昆布を丸ごと食
べるので、
カルシウム・食物繊維をはじめヨウ素やフ
コイダンなどの美容と健康によいとされる栄養素も
手軽に摂取できる。
資源保護のため年間でたっ
「棹前昆布」は成長前に採取された昆布であり、繊維質も柔らか、天日干し
でうま味成分も増え、煮て食べることに適している。伝統的には鰊や鮭を
昆布巻きにして正月や婚礼などの祝いごとの料理に欠かせぬものだった。
栄養豊富な海に恵まれた
昆布森沿岸
商品情報
年 3 日間だけの操業が守る
北海の成熟前の柔らかな昆布
色・重量・幅・状態などの項目から
等級が定められて20kgごとにま
とめる。
乾燥後は基準に従って選定し、
105cmの長さに裁断する。
水揚げ後すぐに、浜の干場(ほし
ば)
に棹前昆布を広げて天日干し
する。
棹前昆布の解禁日早朝、
漁場に出
て昆布を採取し水揚げする。
原材料の特徴/昆布森の海の自然環境によって良質な昆布が育つことに加え、昆布が
成長(葉が肉厚になる)
する前の 6 月にとれた柔らかさが特色となっている。
20
kg
物
の本
場
定
本 認
採取は昆布が成長する前の6月のみ、
3日程度、
操業時間も2時間半。
漁船のエンジン馬力の上
限を決めるなど資源保護と公正な漁の実施規
定を昆布森漁業協同組合がまとめている。
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北 海 道
と く に 海の栄 養 が 豊 富 と さ れる。
全長20mもある長い昆布をよじれなく広げて
干すのは重労働だが、天日干しで昆布のアミ
ノ酸が増えて味がよくなることから、
「天日干
し製法」
にこだわっている。
cm
42
km