第49回 No.2 骨粗鬆症防止の栄養について

第 49 回アンチエイジング講座
……H27 年 1 月
新春口福・・・明けまして!おめでとうございます(*^_^*)
NO2.骨粗鬆症
防止の栄養につい
て!
今年の干支は未…主人は未年生まれ、そして還暦です。
そのため、歯科医師会の会報に年男からの抱負の執筆を依頼され、
12 年ぶりに執筆をすることとなりました。執筆内容の一部を記載し
今年の年初めの御挨拶とさせて頂きます。
還暦を迎えて…
H27 年 1 月 1 日(木曜日)・2015(未年)
ありがたいことに、無事に還暦を迎えることができました。
思い起こせば昭和 38 年山陰豪雪の時に兄が歯科医院を開業したのを
きっかけに、
(当時小学 2 年生)おぼろげに歯科
というものに触れたように思います。父はその当
時、歯科とは無縁な和菓子、羊羹、駄菓子、餅等
の製造販売、練炭、豆炭、炭俵等の燃料販売、そ
して趣味が高じて果樹や栗、山を造林して、松、杉、檜の植林等手
広くやっていました。そのため、その頃の私は、朝から晩迄野山や
川を遊び場として、季節の自然にある食べ物、川魚,野鳥、草花、
また、父が作っていた果物、等々を食していました。
その結果?私が小学6年生の時(朝日新聞主催・文部省、厚生省後
援)”健康優良児”
(6 人の島根県特選)に選ばれました。その時の新
聞インタビューに将来は歯医者にと答えたことを覚えています。
昭和 54 年に東京歯科大学を卒業。我が母校は
今年なんと!120 年の大還暦。
この時の教えを胸に…
”医はこれ済世ひとえに仁なり”
あの頃から現在、はや 36 年歯科医療に従事し、この間、自分の体験、
失敗、勉強、実践、行動等を繰り返してきた中で、もう一度自分を
リセットできる”還暦”…かんれき!
人の心と体の素晴らしさを歯科(口腔医という立場で)を通じて…
むし歯になって破壊された歯は元には戻らないこと…歯周病で破壊
された歯槽骨も歯も元には戻らないこと等々、ならないように…そ
の人、一人一人の生活環境に合わせた予防を実践して貰える、かか
りつけ歯科医院として”健康な心と体はお口の予防から、そして天
使の微笑みとアンチエイジングは家族全員で”を理念に掲げ、皆が
健康寿命を全うできるように、微力ながら地域に貢献できればと思
います。最後に、自分を健康な心と体に産んでくれた今は亡き両親、
それから、これまで色々な方との付き合い
の中で、私を育てて頂いたこと、そしてこ
れまで波乱万丈?な私の行動をいつも見守
ってくれた家内と家族に感謝し、今年は特
に!…ひつじには、優しいひつじ、強い未
がいます。両方を使い分けることにより、この年男の一年を充実し
た年としたいものです。
さいせい[済世]…
世の中を救うこと。世人を救い助けること。社会の救済
じん[仁]…
1. 己に克ち、他に対するいたわりのある心。儒教における五常の一つ
2. 愛情を他に及ぼすこと。いつくしみ。おもいやり。厚い心。
3. 仁の道を行う人の意から
健康優良児…けんこうゆうりょうじ
心身が健康で学業その他の面でも優れている児童という意味であるが、戦
後WHO憲章の健康の定義に基づいて、身体面に加えて学業面や行動面、
更に社会的(協調性や積極性等)も加味されて選ばれるようになった。
NO2…骨粗鬆症予防の栄養=えいよう(骨代謝に関与する栄養素)
一概に骨=カルシウムと考えることはとても危険です。
カルシウムは体内に存在する 99%が骨(ほね)や歯(は)に蓄えられて
いるために、骨の原料としては欠かせない栄養素であることには変
わりないのですが、何事にもバランスが大切です…バランスを知り
ましょう!
さてさて?牛乳だけで骨は強くなれるでしょうか?
1. カルシウム、リン、マグネシウム……骨の形成に必要
カルシウム:牛乳、乳製品を適量(1 日に牛乳ならコップ 1 杯=
200ml)
、ヨーグルト 1 個(83g)を食べるとカルシウム 100 ㎎)
…健康な日本人 1 日当たりの平均摂取量は 500 ㎎以上、また骨量が
少なめ人では 1 日 700~800 ㎎の摂取を推奨されています。
チーズ、小魚(しらす干し…食塩には要注意=
食塩の過剰摂取は骨粗鬆症になりやすくなる
ため注意が必要です。
)
✿多く含む食材⇒さくら海老、田作り、いわし
丸干し、小松菜、ブロッコリー、からし菜等の
色の濃い野菜、豆腐等の大豆製品。
リン:摂りすぎが注意!炭酸飲料や練り製品、インスタント食品、
スナック菓子、ハム、等々リンが多く含有。
マグネシウム:6 割は骨や歯に存在し、不足すると骨から溶けだし
ます。マグネシウムはカルシウムと共に骨の健康維持に必要
です。外食やコンビニ食が中心ではほとんど摂取できず、更
に甘いお菓子やスナック菓子、甘い飲み物やアルコールを大
量に飲んだりすると著しく消耗するため、カルシウムよりも
意識して摂りたい栄養素です。
●(アーモンド等のナッツ類、ひじきやわかめ等の海藻類に多
く含有)
●理想のバランス…カルシウム:マグネシウム=2:1
カルシウムをいくら多く摂取しても、それと同時にマグネシ
ウムの摂取が少なければ、骨からカルシウムが溶け出て骨密
度が減少し、骨粗鬆症を招く大きな理由となってしまいます。
また、このミネラルバランスの崩れは、狭心症や心筋梗塞等
のリスクが高まることも明らかになっています。更に、現代
人が多くかかえるストレス、食生活の乱れ等により、カルシ
ウムに比べてマグネシウムは相対的に不足=消耗しがちにな
ります。そのような心あたりのある方は、カルシウム:マグ
ネシウムを 1:1 に摂るようにして行きましょう。
2. ビタミンD:腸管におけるカルシウムの吸収を促進して骨形成
を助ける。血液に入ったカルシウムを骨まで運ぶ。
血液中のカルシウム濃度を一定に保ち、カルシウ
ムが必要以上に排泄されないように調整し、カル
シウムを再吸収させる働きもある。骨や歯の形成
に作用し、骨粗鬆症の予防に非常に大切な栄養素。
干しシイタケ等のしいたけ類=
エルゴステロールというビタミ
ンD前駆体が含まれている。またこれは、紫外線
を浴びるとビタミンDになる成分でしいたけ類は
調理する前に太陽を浴びせるとビタミンDの摂取
量が増やせます。特に最近の干ししいたけは機械
乾燥で日光を浴びずに作られているものが多いた
め、調理前に天日干しをすることをお勧めします。
1 日の所要量:男性=2.5μg
妊婦さんや授乳中の方=7.5μg
1 日の上限摂取量:成人男女共に=50μg
ビタミンDの多い食材=あんこうの肝、鮭、いわ
しの丸干し、うなぎのかば焼き、さんま、カワハ
ギ、かじき、さば、白きくらげ、きくらげ(乾燥)
しらす干し、干ししいたけ、しめ
じ⇒但し、ビタミンDは脂溶性の
ビタミンですので、調理には油を
使うことをお勧めします=吸収率がアップする。
追加⇒ビタミン D は腸管からのカルシウムの吸収を促進すると共に、
血中のカルシウムが低下した時には副甲状腺ホルモンと共同で骨の
吸収、促進し、血中カルシウム濃度を高めて体のカルシウムの恒常
性=バランスを維持します。血中のカルシウム濃度が上昇するとカ
ルシトニンというホルモンが甲状腺から分泌され骨からのカルシウ
ムの溶出を抑えるように調整されています。このように、女性ホル
モンには骨吸収を抑える作用があることから、閉経は人生の超難関
時期であり、そこからも骨への予防の最前線であることを周知して
頂きたいものです。そして、更に 40 歳頃からそれを、実行、寝たき
りにならない!結果へとゴールを見定めるためには?を常に考える
ことをしてみましょう。
ビタミンK:骨へのカルシウムの沈着・固定を促し、骨を丈夫にす
る働きをします。止血ビタミンとも呼ばれ、けが等で出血時に血液
を固めて傷を塞ぐ働きをします。また骨基質(オステオカルシン)
の合成に必要な栄養素です。
多い食品は2系統で、(ビタミンKはK1~K7 種類あり)、天
然の食品に含まれるビタミンKはK1 とK2
です。
●ビタミンK1⇒主に植物の葉緑体で作られる。緑黄色野菜や
海草類などの食品に多く含まれています。
●ビタミンK2⇒私達の腸内細菌によって作られるので、普通
の食事をしていれば不足になることは殆どあ
りませんが、片寄った食事ではビタミンKの
作られかたに問題が出てきます。
✿多く含む食材⇒納豆、モロヘイヤ、アシタバ、オカヒジキ、
ホウレンソウ、春菊、小松菜、ニラ、パセリ、芽キャベツ、や
ブロッコリー、大根の葉、レタス、昆布の佃煮…野菜や納豆が
苦手な人は、毎日一杯の抹茶を飲
むことをお勧めします。またレタ
スやキャベツは日光にあたった外
葉の方が芯に近い部分よりビタミ
ンKが多く含まれています。
(極端な偏食は要注意!(>_<)です
よ!)
1 日あたりの摂取量↓
男性の目安量 0~5 ヵ月…4μg、6~11 ヵ月…7μg
1~2 才…25μg、18 才以上…75μg
女性の目安量 0~5 ヵ月…4μg、6~11 ヵ月…7μg
1~2 才…25μg、18 才以上…60~65g
※生まれたばかりの赤ちゃんや乳児は、腸内の働きがまだ
未熟でビタミンKは作られません。そのため、ビタミンKが
不足がちで、これが原因で消化系の出血や頭の内出血=K欠
乏性出血症が起こることがあります。これを解決するため、
新生児や乳児にビタミンKを含むシロップを与えることも
あります。また、妊婦、授乳期の女性はビタミンKが不足す
ることが多いため、赤ちゃんのためにもビタミンKが多い、
食品を摂ることが大切になります。
✿1μg(マイクログラム)とは、百万分の 1 グラムのこと
で、1g=1000000μg…成人の場合、体重 1 ㎏当たり、1μg
4・ビタミンC:骨基質(コラーゲン)の合成に必要↓下記参照
5・タンパク質:骨の形成に必要。骨はコラー
ゲンからなる骨基質に、カルシウムとリン酸の
結晶(ミネラル)が沈着して形成されます。骨
の中にはコラーゲン繊維が無数に走り、その間
をカルシウム他が埋めています。骨を鉄筋コンクリートの建物にた
とえると、コラーゲンは骨組み(鉄筋)であり、ミネラルがコンク
リートのようなものであると言えます。良質なコラーゲンのある骨
は、バネのようにしなやかで強度があります。通常は、体内で合成
されますが、加齢によってコラーゲン量は激減してきますので、栄
養、日光、運動、嗜好品の選択、ストレス、健全な睡眠、は常に意
識したいものですね(*^_^*)
✿多く含まれる食材⇒魚の頭、豚足、鳥の手羽先他、食事では摂取
しにくいのでサプリメントでの補給がお勧めです。またコラーゲン
の生成にはビタミン C が必須必要ですので、合わせて摂るようにし
ましょう。
そして、口から入ったコラーゲンもいったん
は消化(分解)されて吸収されますので、再
合成にビタミン C が必須です。またビタミン
C は免疫系統に優先的に使われることが多い
ため、できるだけしっかり…1 日、1000 ㎎以上摂取しましょう。ま
たタンパク質、総合アミノ酸等も骨形成に欠かせない栄養素です。
6・その他の栄養素:○
A シリカ(ケイ素)…骨、関節、血管、皮膚、
毛髪、爪等に多く存在し、組織の結合に欠か
せないミネラルです。骨の強度の維持と向上
の役割をします。
✿多く含む食材⇒ジャガイモ、小麦、大麦、全粒粉穀類
B ボロン(ホウ素)…女性ホルモンのエスト
○
ロゲンを血中に多く存在させる働きがあり、閉経後の女性の骨密度
の減少を遅らせます。また、骨にカルシウムの吸収を促進するビタ
ミン D の働きを助けます。
✿多く含む食材⇒寒天、干しひじき、リンゴ、ブドウ等
気(き)をつけましょう!
骨を弱くする NG 習慣!
NG!NG!
NG:過剰な塩分⇒塩分を摂りすぎるとカルシウムとマグネシウムの
バランスが崩れ骨を弱くする
NG:過剰な加工食品(リン)⇒カルシウムとマグネシウムの吸収を妨
げる
NG:過剰な飲酒⇒アルコールはマグネシウムを消耗させ、カルシウム
の吸収を悪くしビタミン D の働きを抑えます。
NG:喫煙(ニコチン)⇒カルシウムの吸収を阻害します。
NG:いつも屋内にいる(日光を浴びない)⇒ビタミン D の体内合成
ができなくなります。また運動不足になります。
NG:極端なダイエット(特に女性)⇒極端なダイエットは、骨密度
を維持する女性ホルモンのバランスを崩してしまいます。
NG:過剰な甘い物⇒カルシウムの排泄が著しくなる。
以上、骨の健康に欠かせない栄養、生活習慣について解説してきま
したが、骨は文字通り、体えを支える「屋台骨」です。
骨粗鬆症はそれ自体が生命を脅かすわけではありませんが、生
活の質に大きく関わる病気です。元気に楽しく長生きするにも、
体が資本ですね(*^_^*)&もちろん!歯周病にも直結ですね!
歯磨き指導を
受けましょう!
家族全員で!
更に追加…?
骨粗鬆症の診断は?
DX 等の X-ray だけで本当にいいの?
骨密度が高いと安心していたら(>_<)骨折!なんで?どうして?
等の話題がどこかしら…聞こえていませんか?
骨粗鬆症の診断⇒これまでレントゲン検査や骨密度の検査が中心に
行われてきましたが、今後は骨強度という観点から骨質の検査とし
て、骨代謝マーカーも大切な役目を担います。
1・骨密度検査⇒DXA(デキサ)法、超音波法、MD(エムディ)法
の 3 種類です。
A. DXA 法は微量な2種類の X 線を使って骨塩量を
測り、そこから骨密度を割り出す方法
B・超音波法は超音波が骨を通過する速度等をもと
測定。
C・MD 法はアルミ板の横に手を置いて X 線撮影し、
アルミの厚さと比較することで測定する方法。
骨密度の正常値は成人の平均値との比較で決められますが、成人の
骨密度平均値の 80%以上なら正常、70~80%未満は骨量減少、70%
以下になると骨粗鬆症と判断します。(しかし総合診断が重要)
2・骨質の検査…おもに骨代謝マーカーを血液検査や尿検査
で調べます。
骨代謝マーカーは骨形成マーカーと骨吸収マーカーに分類さ
れます。●骨形成マーカー:骨芽細胞(骨の土台と言うべき
タンパク基質を産生・分泌して、骨を作る働きをす
る細胞で、骨の形成において欠くことのできない細
胞)がタンパクをどの位産生できるか、あるいはど
の程度活性があるかを評価するものです。
●骨吸収マーカーは破骨細胞(細胞内に炭酸を作り、
これによって骨質を融解する細胞)によって分解され
た代謝産物を計算することで、骨が破壊される程度を
評価するものです。
骨密度が正常であっても、骨吸収マーカ
ーと言う骨代謝マーカーが高いと骨の
破壊のスピードが速いため、骨折の危険
性が高いと判断されます。
このように、骨代謝マーカーも踏まえて、自分のも本当の骨
の状態を知りましょう。
また、骨粗鬆症、及び予備軍として診断されますと、骨を強
化するお薬が処方されます。骨強化にはすぐれるのですが、
歯科では、抜歯などで反対に骨が壊疽してしまう等の副作用
が出ていまっす。骨粗鬆症のお薬を服用されている女性は非
常に多いですので、必ず、歯科受診の時はそのことを話され、
お薬手帳を提示してください。このようにいくら良い薬が出
た!からと言って喜んではいけません。お薬には必ず副作用
があるからです。
私達は予防を常に考え実行していますので、お
口から栄養を摂り、極力お薬の無い日常生活
を過ごして、頂きたいと願っています。
新春に向けて…
PRESIDENT(プレジゼント)と言う、経済雑誌に数年に一度、
色々なトップテンの順位が載ります。その中で「リタイア前
にやるべきだった」後悔トップテンの中で健康面のページに
が目がいきました。
答えは No1 が⇒“歯を大事にすれば良かった”
、歯医者へ行け
ば良かった…口を揃えて!歯を欠損すると食
事の楽しみが半減するし、見た目が悪い!
NO2 が⇒運動すれば良かった
NO3 が⇒歩く、ジョギングすれば良かった
如何ですか?私も運動量は無しに近い状態ですので(>_<)、皆
さんと共に、今年から一緒に頑張っていきます(*^_^*)