2) 膵エキス工業化の見透しと筋ジストロフィー

2)膵エキス工業化の見透しと筋ジストロフィー
症に対する効果
高 岡 善 人噛
研究協力者 高守 正治串
宰
石井 伸子
**
森 一毅
一瀬 允串 辻畑
寧
光宏
ホ
江口 勝美 中沢
零*
良夫
ホホ
渋谷 統寿 森
率*
民春
目 的
∼32μg/m2添加は3H−uridine&leucineの
昭和27年以来求め続けている膵臓の新しい
とりこみを促進し蛋白同化の指標になること
蛋白同化ホルモン(膵エキスと仮称,PXと
略〉を一日も早く完全に単離精製し量産化し
を用いる方がさらに有用であることを認めた.
て不治の病に応用してみたy・・その中でも特
血清カルシウム減少率8%,尿素窒素減少率
に現在PXを試みつつある進行性筋ジス’トロ
7%のPXは10μg/m4添加でRNAを有意に
を報告した.しかし最近Chang’s liver ceIl
フィー症(DMP)に対する有効性の適否を
増加する・現在Chang−s hver cellsを用い
確定したい.
る組織培養法をルーチン化するよう研究中で
方 法
路が解消することになる.
ブタの膵臓のアセトン粉末から抽出したP
PXの抽出成績は毎年発表しているが,今
ありこれが完成すればPX工業化の最大の隆
Xの凍結乾燥品1mg/kgを家兎に静注,力償
回は昭和45年9月以降5年間の臨床用PXの
(血清カルシウム,尿素窒素の減少率)を測
定する.カルシウム,尿素窒素とも5%以上
年間力償平均を調査してみた.その結果PX
の力償は毎年少しずっ向上してお1)昭和45年
減少するものを合格品として製薬会社に送り,
度に比し昭和47年度は約2倍,昭和50年度は
滅菌後1mgずつに分注してサンプルとしてい
3倍以上の力債を示した.本年度は尿素窒素
る.この生物学的検定法は莫大な金,時間,
人手を要するのでPX量産化のためにも之を
を減少でなく逆に上昇させるAnti−urea因子
を確認できたので抽出毎の力債のバラツキが
組織培養法で代用したい.
少なくなった。さらに最近静岡薬科大学矢内
比較的力償の高いPX l mgをDMP患者に
使用しているが日本ではd・uble blindを行
新生面が開けつつある.
ない難いのでPXがDMPマウス(C57−B
昨年実中研江崎氏はPX(カルシウム,尿素窒
C)の延命に効果があるか否か検討する.
素とも減少率10%の高度精製品)0.05,0.01
結 果
mg Per headと生食水をDMPマウス(dy
dy)各群7匹に220日間腹腔内注射した.そ
の結果最後まで生き残ったマウスは0.瓜
原昇教授が共同研究者となり,PX抽出にも
一昨年の班会議でL−cells HeLa cellsな
0.01mg・群はともに5匹,生食水群は3匹で
ど5種類の細胞を用いる組織培養法でPX3.2
その平均体重は12.62,12.04,11.24gでP
Xには延命効果があるらしいと報告した、匹
*長崎大学医掌部第一内科
**国立療養所川棚病院
数が少なくて統計学的に有意でないので私ど
一217一
もはこの成績を参考にして川棚病院でPX
O.05mgper headと生食水群を作ってこの
別にvolunteerとしてPXを熱望し注射し
ている米国のDMP11名は神経専門医が観察
実験を続行中である.昭和50年11月末で150
している.FSH5名中3名,Duchenne6名
日間注射を終ったPX群は9匹中2匹死亡,
中2名は10ヵ月間の注射でよい兆候がみられ
対照群は10匹中6匹が死亡している.昭和51
ると報告してきた.
年3月末には匹数も増え一応の結論がでる予
定である.
昨年2年以上PXを連用中のDMP患者42
総 括
PXの抽出は毎年向上しているが,矢内原
昇教授の共同研究でさらに拍車がかかってい
名について報告したがこの中FSH5名は全
例,肢帯型15名中8名,Duchenne型22名中
る,純粋単離の完成も近い将来と考える.ま
4名は引続き本年度も症状が悪化せず改善し
たPX量産化の最大の隆路である生物学的検
ているものもある.PX第1号患者(FSH,
42才♀)はすでに5年4ヵ月を経過し下肢挙
上時間は当初の0分が8分まで向上していた
定法の代用としてChang・s liver ceIIを用
が昭和50年6月以降12分に上昇している.し
の工業化は容易となる.
かし変性,拘縮の著しい筋肉,関節はirre−
またPXはDMPマウスに延命効果がある
らしく実験は続行中である.FSH型DMPに
versibleで再生回復は期待できない.従って
できるだけ早期に力憤の高いPXを大量使っ
て10年,20年間観察してみたい.上記Duche−
nne型の中6名は本年度脱落したので本年1
月から川棚病院に入院中のDuchenne40名を
いる組織培養法が検討されつつある.これが
PXの力慣検定としてルーチン化すればPX
はPXが最も有望で肢帯型は半数程度,Du−
chenne型は去程度で病状の進行が緩徐にな
るようである.double bhndを行ない難い
慣強と弱のPXを注射している。5ヵ月後の
日本では,できればDMPの病初期から力債
の強いPXを大量使用して長期問観察すれば
PXのDMP応用の適否が断定できると考え
現在両者間に有意差はない.
ている,
半年間観察した後ほぼ平等に二分し各々に力
一218一
ゾ