数学 A2 §8 極大・極小

数学 A2
§8 極大・極小
8.1. 極大と極小.
定義 8.1. 2 変数関数 z = f (x, y) が, (a, b) の近くの点 (x, y) に対して (x, y) ̸= (a, b) ならば
f (a, b) > f (x, y) のとき, f は (a, b) において極大であるといい,値 f (a, b) を極大値とよぶ. 同様
に, (a, b) の近くの点 (x, y) に対して (x, y) ̸= (a, b) ならば f (a, b) < f (x, y) のとき, f は (a, b) に
おいて極小であるといい,値 f (a, b) を極小値という.
極大値と極小値を合わせて極値という.
注. 逆にいうと, (a, b) で 極値をとらない ということは, (a, b) にいくらでも近い点くて f (x, y) >
f (a, b) となる点も, f (x, y) < f (a, b) となる点もあることになる.
8.2. 極値をとり得る点. z = f (x, y) が (a, b) で極大値を取ると仮定すると, 平面 y = b での断面曲線
が x = a で極大になることから fx (a, b) = 0 が分かり, 平面 x = a での断面曲線が y = b で極大にな
ることから fy (a, b) = 0 が分かる. 同じことは極小値についてもいえる.
定理 8.2. z = f (x, y) が点 (a, b) で極値をとるならば, fx (a, b) = fy (a, b) = 0
例題 8.3. z = ye−x
2 −y 2
とすると zx = −2xye−x
)
(
1
りうる点は (x, y) = 0, ± √
2
2 −y 2
, zy = (1 − 2y 2 )e−x
2 −y 2
である. よって, 極値をと
8.3. 極値判定. fx = fy = 0 となるからといって, 必ずしも極値をとるとは限らない.
例 8.4. z = x2 − y 2 は (0, 0) において zx = 0, zy = 0 となるが, (0, 0) で極値をとらない.
fx (a, b) = fy (a, b) = 0 のとき, 実際に極値とるか判定する方法を考えよう. (a, b) の近くの点
(x, y) = (a + h, b + k) における f の 2 次近似をとると,
1
ε2
f (a + h, b + k) = f (a, b) + {fxx (a, b)h2 + 2fxy (a, b) + fyy (a, b)k 2 } + ε2 ,
lim
=0
2
(h,k)→(0,0) h + k 2
2
ゆえに, A = fxx (a, b), B = fxy (a, b), C = fyy (a, b) とおくとき, 2 次式 Q(h, k) = Ah2 +2Bhk +Ck 2
が (h, k) ̸= 0 に対して常に Q > 0 となるか, 常に Q < 0 となるか, あるいはそのどちらでもないかに
より, それぞれ極小, 極大, 極値をとらないことが分かる.
(
)2
B
AC − B 2 2
まず, A > 0 であると仮定すると, Q(h, k) = A h + k +
k と変形できることから,
A
A
(h, k) ̸= (0, 0) に対して AC − B 2 > 0 ならば常に Q > 0, AC − B 2 < 0 ならば Q > 0 にも Q < 0 に
もなることが分かる. 同様の考察を A < 0, A = 0 についても行うことにより, 次を得る.
定理 8.5. fx (a, b) = fy (a, b) = 0 とする. D = fxx (a, b)fyy (a, b) − {fxy (a, b)}2 とおくと,
(I) D > 0 なら極値をとり,
⃝
1 fxx (a, b) > 0 なら極小
(II) D < 0 なら極値をとらない.
⃝
2 fxx (a, b) < 0 なら極大
注. D = 0 のときは, この方法では判定できない (極値をとるかもしれないし, とらないかもしれない).
(
)
1
−x2 −y 2
例題 8.6. z = ye
の極値をとりうる点は 0, ± √
であった.
2
(
)
1
1
0, √
においては D > 0, fxx < 0 となるので極大 (極大値 √ ).
2 )
2e
(
1
1
0, − √
においては D > 0, fxx > 0 となるので極小 (極小値 − √ ).
2
2e