学位論文審査の結果の要旨 ※ ロ ふりがな おばた しんすけ

別紙様式第 7号 (第 14条 関係 )
学位論 文審 査 の結果 の要 旨
※
ふ りがな
氏
名
整理番 号
Changcs in C02 COnCenttation increase the invasivc ability of colon cancer
cells(大 腸 癌 細 胞 は
主査
審 査 委 員
副査
査
冨吋
C02の 濃 度 変 化 に よ り浸 潤 能 が克 進 す る)
永ん じ
内呻 身
学位 論 文題 目
おばた しんすけ
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火田 真 介
小
聯 入
は手
緒 言 】近年 、腹腔鏡 手術 は多 くの 疾 患 に導入 され てお り、特 に大腸 癌 イ
【
へ
つつ
あ る。
術器 械 や外 科 的手技 の 向 上 もあ つて進 行 度 の 高 い症 例 と適応 が 拡 大 され
しか しポ ー トサ イ ト再 発 や 腹 膜 再 発 な ど腹 腔 鏡 手術 特 有 の 有 害 事 象 の 報 告 も認 め ら
れ てお り、そ の原 因 を追 究す る こ とは重 要 で あ る。 一 般 に腹腔鏡 手術 時 の腹腔 内 にお
け る空 間確保 に は、非 引火 性 で 安価 な 二 酸化 炭 素 (C02)を 使 用す る こ とが 多 く、この
腹腔 内環 境 が癌 細胞 の 増殖 ・ 進 展 に影 響 を及 ば してい る可能性 を否 定 で きな い。本研
こ重 要 で あ る細胞 浸潤 に着 日 し、C02に よる変 化
究 で は、大腸癌 腹膜 再発 の成 立 過 程 イ
につ い て検討 を行 な っ た。
方 法 】大 腸癌 細胞株 (SW620,Colo205,HCTl16)と 腹 膜転移 を認 めた大腸癌 5症 例
【
の 癌性 腹水 か ら採 取 した 癌細胞 を対象 と した 。 C02濃 度 の 異 な る条件 下 、(o50/O C02
下 6時 間培 養 群 (コ ン トロー ル 群 )、 (b)200/O C02下 6時 間培養 群 、(c)200/O C02下 6時
間培養 後 に 50/O C02下 6時 間培養 群 にお け る細胞 浸潤 能 の 変化 を Biocott MatrigelTM
6-well invasion chamberに て 検討 した。 また 、 3群 間 にお け る matrix mctalloproteinasc
(MMP)2お よび MMP9の mRNA発 現 の 変化 を RT― PCR法 にて検討 した。
結果 】いずれ の細胞株 も、(a)群 と比較 し(b)群 で 1.2∼ 2,1倍 と浸潤細胞数 の有意な
【
増加 を認 めた。 また、C02濃 度変化 を加 えた(c)群 にお いて、浸潤細胞数 は(a)群 と比
較 し 2.5∼ 7.9倍 と有意な増加 を認 めた。同様 の方法にて、大腸癌患者 の癌性腹水 か
ら得 られた癌細胞 を使用 し浸潤能 を検討す ると、(a)群 と比較 し(b)群 では 1,25∼ 2.08
倍 と浸潤細胞数 の有意な増加 を認 め、(c)群 では 1,75∼ 6.4倍 と有意 に増加 した。
大月
易癌細胞株 における MMP2お よび MMP9の mRNA発 現は、(b)群 においては
SW620お よび HCTl16で 、(c)群 におい ては Colo205を 加 えた 3細 胞株で有意に増強
してい た。
結語 】以上 の結果 より、大腸癌細胞 に対す る C02の 新 しい作用 として、MMPの 発
【
現 を増強す る ことによ り浸潤能 を克進 させ る ことが考 えられた。本研究 は、進行大
腸癌 における新規再発機序 の存在 を示唆す るもので あ り、本学学位論文 として充分
価値 があるもの と判断す る。
(平 成熟伊年 6月 十 日)
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