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基礎制御工学・制御システム序論 中間試験問題解答
単純な計算間違い,式変形の間違いなどの軽微な間違いで,それ以外は正しく計算している場合には,おおむね 1
つにつき 3 点減点。
1. 次のフィードバック制御系の空欄 (1),(2) に当てはまる適切な用語を下の (ア)∼(カ) の選択肢から選べ.
(ア) 制御装置
(イ) 制御対象
(ウ) 目標対象
(エ) 制御量
(オ) 操作量
【解答】配点は各 5 点.計 10 点
(1) (イ)制御対象
(2) (エ) 制御量
2. 次のブロック線図で表されるシステムの出力 Y を X, G1 , G2 , H を用いて表せ.
【解答】配点は 15 点
まず,内側のフィードバックループを置換する.
直列要素をまとめる.
最後に外側のフィードバックループを置換する.
(カ) 定常偏差
従って
Y =
G1 G2
X
1 + G1 H + G1 G2
あるいは,適当な中間の信号を仮に変数を定める.例えば,G1 の要素の出力を Z とすると,以下のように
それぞれの信号を表すことができる.
これより
Z = G1 (X − Y − HZ)
(1)
Y = G2 Z
(2)
(1) 式より
Z=
G1 (X − Y )
1 + G1 H
(2) 式に代入して整理する.
G1 G2
G1 G2
G1 G2 (X − Y )
=
X−
Y
Y =
1 + G1 H
1 + G1 H
1 + G1 H
(
)
G1 G2
G1 G2
1+
Y =
X
1 + G1 H
1 + G1 H
G1 G2
Y =
X
1 + G1 H + G1 G2
3. 次の微分方程式の初期値問題の解をラプラス変換を用いて求めよ.
 2
dx(t)
d x(t)



 dt2 + 5 dt + 4x(t) = 0

dx(t) 

x(0)
=
1,
=2

dt t=0
【解答】配点は 15 点
両辺をラプラス変換する.
)
(
dx(t) 2
s X(s) − sx(0) −
+ 5 (sX(s) − x(0)) + 4X(s)
dt t=0
(
)
= s2 X(s) − s − 2 + 5 (sX(s) − 1) + 4X(s)
(
)
= s2 + 5s + 4 X(s) − s − 2 − 5
(
)
= s2 + 5s + 4 X(s) − s − 7 = 0
整理して部分分数展開する.
s+7
s+7
=
s2 + 5s + 4
(s + 1)(s + 4)
B
A
+
=
s+1 s+4
X(s) =
2
定理を使うと
s + 7 A = (s + 1)X(s)|s=−1 =
=2
s + 4 s=−1
s + 7 3
B = (s + 4)Y (s)|s=−4 =
=
= −1
s+1
−3
s=−4
通分して求めると
A(s + 4) + B(s + 1)
(s + 1)(s + 4)
(A + B)s + 4A + B
=
(s + 1)(s + 4)
Y (s) =
係数を比較すると
{
A+B =1
4A + B = 7
連立方程式を解くと A = 2, B = −1,.
X(s) =
2
1
−
s+1 s+4
逆ラプラス変換をすると,
x(t) = 2e−t − e−4t
4. ある線形システムのインパルス応答(x(t) = δ(t) (単位インパルス関数) が入力されたときの出力)が
y(t) = 4te−2t
であった.以下の問いに答えよ.
(1) この線形システムの伝達関数 G(s) を求めよ.ただし,伝達関数は多項式の比の形
)
( m
b0 s + b1 sm−1 + · · · + bm−1 s + bm
で答えよ.
a0 sn + a1 sn−1 + · · · + an−1 s + an
【解答】配点は 10 点.解答の形式が違っている場合は 1 点減点
伝達関数はインパルス応答をラプラス変換したものと等しいので,y(t) をラプラス変換する.ラプラス
変換表の (7) を用いると,
G(s) = L−1 [y(t)] = L−1 [4te−2t ]
4
4
=
= 2
2
(s + 2)
s + 4s + 4
(2) この線形システムのステップ応答(x(t) = u(t) (単位ステップ関数) が入力された時の出力 y(t))を答
えよ.
【解答】配点は 15 点
ステップ入力のラプラス変換は X(s) =
Y (s) = G(s)X(s) =
1
s
であるからステップ応答のラプラス変換 Y (s) は
4
s(s + 2)2
3
これを逆ラプラス変換してステップ応答を求める.まず,部分分数展開をする.
Y (s) =
4
A
B
C
= +
+
s(s + 2)2
s
s + 2 (s + 2)2
とすると,A = 1, B = −1, C = −2 と求められるので,
Y (s) =
1
1
2
−
−
s s + 2 (s + 2)2
逆ラプラス変換をすると,
y(t) = 1 − e−2t − 2te−2t
5. 次のブロック線図で表されるフィードバック制御系について答えよ.ブロック線図の各要素の式はその要素
の伝達関数を表す.
(1) このフィードバック制御系の開ループ伝達関数
Go (s) と閉ループ伝達関数
Gc (s) を答えよ.ただし,伝
( m
)
b0 s + b1 sm−1 + · · · + bm−1 s + bm
達関数は多項式の比の形
で答えよ.
a0 sn + a1 sn−1 + · · · + an−1 s + an
【解答】配点はそれぞれの伝達関数で 10 点づつ.解答の形式が違っている場合は 1 点減点
前向き要素を G(s),フィードバック要素を H(s) とすると
Go (s) = G(s)H(s) =
Gc (s) =
1
3
3
·
= 2
s+2 s+6
s + 8s + 12
G(s)
=
1 + G(s)H(s)
1+
1
s+2
3
(s+2)(s+6)
s+6
(s + 2)(s + 6) + 3
s+6
= 2
s + 8s + 15
=
(2) このフィードバック制御系のインパルス応答 y(t) を求めよ.
【解答】配点は 15 点
インパルス応答は閉ループ伝達関数の逆ラプラス変換に等しいから,閉ループ伝達関数を部分分数展開
する.
Y (s) = Gc (s) =
s2
s+6
+ 8s + 15
s+6
(s + 3)(s + 5)
B
A
+
=
s+3 s+5
=
4
定理を使うと
A = (s + 3)Y (s)|s=−3
B = (s + 5)Y (s)|s=−5
s + 6 3
=
=
s + 5 s=−3
2
s + 6 1
1
=
=
=−
s + 3 s=−5
−2
2
通分して求めると
A(s + 5) + B(s + 3)
(s + 3)(s + 5)
(A + B)s + 5A + 3B
=
(s + 3)(s + 5)
Y (s) =
係数を比較すると
{
A+B =1
5A + 3B = 6
連立方程式を解くと A =
Y (s) =
3
1
, B = − ,.従って
2
2
3
1
1
1
·
− ·
2 s+3 2 s+5
ラプラス変換すると,
y(t) =
3 −3t 1 −5t
e
− e
2
2
5