産業組織論 I 第 12講 練習問題

産業組織論 I 第 12 講 練習問題
練習問題の答え合わせがしたい場合は,解いたノートを持参しオフィスアワーに研究室まで来ること.
(部分的な解答でも構
わない.
)もしくは個別にアポイントメントをとること.
9.1 (シュタッケルベルク競争) 講義で扱った広島と愛媛によるシュタッケルベルク競争を以下のように修正する.講義で
扱ったケースと異なり,企業間で生産技術に差があるケースを考える.具体的には広島の費用関数は CH (qH ) = 10qH ,
愛媛の費用関数は CE (qE ) = 20qE で与えられていると仮定する.需要関数は D(p) = 70 − p であり,各企業は 0∼60
までの任意の値を生産量として選択することが出来る.このとき以下の問いに答えよ.
(1) 広島と愛媛の利潤関数 πH (qH , qE ) と πE (qH , qE ) をそれぞれ求めよ.
(2) 後向き帰納法でゲームを解く.まずは愛媛の手番から始まる部分ゲームを考える.広島の生産量 qH を所与とし
た時,愛媛の最適反応 qE (qH ) を求めよ.
(3) (2) の結果を踏まえた上で,元のゲームを縮約する.縮約された広島の手番から始まるゲームにおいて広島の直面
している利潤関数 πH (qH , qE (qH )) を求めよ.
(4) (3) の結果を踏まえた上で,広島の利潤を最大化する生産量を求めよ.
(5) このシュタッケルベルク競争における部分ゲーム完全均衡を求めよ.また部分ゲーム完全均衡における (i) 各企
業の生産量,(ii) 均衡価格,そして (iii) 均衡利潤も併せて求めよ.
(6) (5) の結果は,講義で扱った同一の生産技術を有するケースと比較してどのような違いがあるか,簡潔に述べよ.
9.2 (コミットメント) 本問では以下のような変則的シュタッケルベルク競争を考察する.レモン市場において広島と愛媛
は数量競争を行っている.まず広島が生産量 qH を暫定的に決定し,その生産量を観察した上で愛媛は自身の生産量
qE を選択する.加えて広島は,愛媛の選択を観察した上で全く費用をかけずに自身の生産量を変更することが出来る
と仮定する.各企業の利潤は最終的な生産量に依存し,各企業は C(qi ) = 10qi で与えられる同一の生産技術を有して
いると仮定する.需要関数は D(p) = 70 − p であり,各企業は 0∼60 までの任意の値を生産量として選択することが
出来る.このとき以下の問いに答えよ.
(1) 講義で扱ったケースの部分ゲーム完全均衡における帰結,qH = 30, qE = 15 は本ケースにおいても部分ゲーム完
全均衡の帰結となるか,その理由と共に簡潔に述べよ.
(2) このゲームの部分ゲーム完全均衡においてアドバンテージを持つのは広島と愛媛のどちらか?理由と共に簡潔に
述べよ.
9.3 (時間を通じた価格競争) 本問では時間を通じた価格競争を考察する.講義と同様に,同質財・生産能力への制約なし・
同一の固定限界費用を持つすき家と松屋による牛丼の複占市場を考える.まずすき家が自社製品の価格 pS を選択する.
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松屋はすき家の設定した価格 pS を観察した上で自社製品の価格 pM を選択する.各企業の費用関数は C(qi ) = 10qi
で与えられており (qi は企業 i の生産量を表わす),市場需要は需要関数 D(p) = 70 − p で与えられている.各企業は
0∼60 までの任意の値を価格として設定することが出来る.このとき以下の問いに答えよ.
(1) このゲームを後向き推論法で解く.すき家の設定価格を所与とした場合,松屋の最適反応 pM (pS ) を求めよ.ヒ
ント: 以下の 3 つのケースに場合分けし,それぞれのケースにおける松屋の最適反応を求める.(i) 0 ≤ pS ≤ 10;
(ii) 10 < pS < 40; (iii) 40 ≤ pS .
(2) 部分ゲーム完全均衡における各企業の設定する価格を求めよ.
(3) (2) の結果とベルトラン競争,それにシュタッケルベルク競争の結果を比較を簡潔に述べよ.
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