システム制御理論 I 期末試験 解答例

 システム制御理論 I
[1]
期末試験 解答例 ⎡
f1 ] とおく.A − BF = ⎣
⎤
0
1
⎦. 状態フィードバック系の特性多項式は ϕf b (s) =
a − f0 b − f1
s2 + (f1 − b)s + (f0 − a). これが (s − λ1 )(s − λ2 ) = s2 − (λ1 + λ2 )s + λ1 λ2 に一致すればよい.よって
1. F = [ f0
F = [ f0
f1 ] = [ a + λ1 λ2
⎡
b − (λ1 + λ2 ) ].
⎤
⎤ ⎡
0 1
C
⎦. 可観測 ⇐⇒ MO が正則 ⇐⇒ a = 0 (b は任意).
⎦=⎣
2. 可観測性行列は MO = ⎣
a b
CA
3. 前問より a = 0 である.このとき,u(t) = 0 として,状態方程式を x(t) = [ x1 (t)
x2 (t) ]T の要素ごとに書
くと,x˙ 1 (t) = x2 (t), x˙ 2 (t) = bx2 (t), y(t) = x2 (t). これより,x1 (t) は(もしくは,x1 (t) の初期値 x1 (0) は)
x2 (t) および y(t) に影響を及ぼさないことがわかる.よって,
⎡
⎡
⎤
⎤x2 (0) が共通で,x1 (0) が異なる初期値に対す
る y(t) は一致する.答としては,x01 = ⎣
p1
q
⎦, x02 = ⎣
p2
q
⎦, p1 = p2 なるベクトルを例示すれば良い.
[2] 外乱(ステップ信号)を生成するシステムは x˙ w (t) = 0, xw (0) = a, w(t) = xw (t) と表せる.状態変数を
xa (t) = [ x(t) xw (t) ]T とするシステムは
⎡
⎡
⎤
⎤
1 1
1
⎦ xa (t) + ⎣
⎦ u(t),
x˙ a (t) = ⎣
0 0
0
Aa
Ba
y(t) =
1 0 xa (t)
Ca
(1)
となる.これに対する(同一次元)オブザーバ,すなわち,La をオブザーバゲインとして
x
ˆ˙ a (t) = Aa xˆa (t) + Ba u(t) − La ye (t),
yˆ(t) = Ca xˆ(t),
ye (t) = yˆ(t) − y(t)
(2)
が外乱推定オブザーバとなる.ここで x
ˆa (t) は xa (t) の推定で,したがって xa (t) = [ x(t)
xw (t) ]T = [ x(t) w(t) ]T
の推定となる.以下ではゲイン La を決定しよう.
⎡
⎤ ⎡
⎤
Ca
1 0
⎦=⎣
⎦, Aa の特性多項式は ϕ(s) = det(sI − Aa ) =
(1) 式のシステムの可観測性行列は MO = ⎣
1 1
CaAa
⎡
⎤
⎡
⎤
a
1
−1
1
1
⎦ = ⎣
⎦ とすると,可観測正準形への状態の
s(s − 1) = s2 − s, a0 = 0, a1 = −1. W = ⎣
1 0
1 0
⎤
⎤
⎡
⎡
0 1
0
0
⎦. (1) 式のシステムを座標変換すると A˜ = T Aa T −1 = ⎣
⎦,
座標変換行列は T = W MO = ⎣
1 0
1 1
⎡
⎤
l
˜ = ⎣ 0 ⎦ とおくとき,A˜ − L
˜ C˜ の極をすべて
C˜ = Ca T −1 = [ 0 1 ]. 可観測正準形でのオブザーバ下ゲインを L
l1
⎡
⎤
0 −l0
˜ C˜ = ⎣
⎦ の特性多項式(誤差系の特性多項式)ϕe (s) = s2 + (l1 − 1)s + l0 が
−1 に配置するので,A˜ − L
1 1 − l1
⎡
⎤
3
˜=⎣
⎦.
(s + 1)2 = s2 + 2s + 1 に一致すればよい.よって l0 = 1, l1 = 3. もとの座標でのゲインは La = T −1 L
1
以上により題意を満たす外乱推定オブザーバ (2) が構成される.
⎡
[3] f(x, u) = ⎣
⎤
x2
1 2
2 x1
− x1 + (x21 − 1)x2 + u
⎦ とおく.
1. u = 0 より,f(x, 0) = 0 となる x が平衡点を与える.第一要素より x2 = 0, これを用いると第二要素より
1 2
2 x1
− x1 = 0 となる.∴x1 = 0, 2. 平衡点となる xe は xe = [ 0 0 ]T , [ 2 0 ]T .
⎤
⎡
⎡
⎤
0
1
0
∂f(x, u)
⎦, ∂f(x, u) = ⎣
⎦. (x, u) = (xe , 0) まわりの近似線形システムの
2.
=⎣
2
∂x
∂u
2x1 x2 + x1 − 1 x1 − 1
1
∂f(x, u) ∂f(x, u) 係数行列は A =
,B=
であるから,
∂x x=xe ,u=0
∂u x=xe ,u=0
⎡
⎤
⎡
⎤
⎡
⎤
0
0
0
1
⎦
⎦ の場合:A = ⎣
⎦, B = ⎣
• xe = ⎣
1
0
−1 −1
⎡
⎤
⎡
⎤
⎡
⎤
2
0 1
0
⎦ の場合:A = ⎣
⎦, B = ⎣
⎦
• xe = ⎣
0
1 3
1
3. A の特性多項式を求めると,前者は s2 + s + 1 であり,システムは安定である.後者は s2 − 3s − 1 であり,
)
システムは不安定である.
(2 次の場合,安定 ⇐⇒ A の特性多項式の係数が全て正.
[4]
⎡
1. 可制御性行列は MC =
B
2. 解の公式より,
x[3] = A2 x[0] +
AB
A2 B
⎢
⎢
=⎢ 1
⎣
0
⎡
B
1 −1
0
u[2]
0
1
⎤
⎥
⎥
0 ⎥. det MC = −3 より,システムは可制御である.
⎦
2
⎤
⎥
⎢
⎥
⎢
AB A2 B ⎢ u[1] ⎥
⎦
⎣
u[0]
MC
である.x[0], x[3] の値を代入して解くと u[0] = −2, u[1] = 1, u[2] = 3 が得られる.