2W 数学演習 V・VI 標準 H005-1 担当教員 : 浜中 真志 研究室 : A327 E-mail:[email protected] 連続性, コンパクト性, 位相空間 作成日 : November 14, 2011 Updated : November 17, 2011 実施日 : November 18, 2011 連続写像 定義 1. (連続写像の ε − δ 論法的定義) 写像 f : Rn → Rm が点 a ∈ Rn において連 続であるとは次が成り立つことである. ∀ ε > 0, ∃ δ > 0, s.t. f (U (a, δ)) ⊂ U (f (a), ε) 定理 1. X = Rn , Y = Rm とおく.写像 f : X → Y が X の各点において連続で あることと,次のおのおのは同値である.(cf. ボーナス問題) ・ Y の任意の開集合 O に対して f −1 (O) は開集合である. ・ Y の任意の閉集合 F に対して f −1 (F ) は閉集合である. 同値であるのでこちらを定義にすることができる. このように定義を抽象的に与えた恩 恵を以下でみる. (初等関数が連続関数であることは用いてよい.) 問題 1. R2 の部分集合 S = {(x, y) | x2 + y 2 = 1} が閉集合であることを示せ. ・ Rn 上の連続写像 f の零点集合 Sf = {x ∈ Rn | f (x) = 0} は超曲面と呼ばれる. Sf が閉集合であることは上の問題と同様に示せる. 問題 2. f を X = Rn 上の連続関数とする.このグラフ Γf = {(x, y) ∈ X × R | y = f (x)} は X = Rn+1 の閉集合であることを示せ. 問題 3. f : X → Y, g : Y → Z がともに連続写像ならば,g ◦ f も連続写像であることを 示せ. 定義 2. (線形代数群) M (n, R) を実数係数の n 次正方行列のなす集合とする. この 部分集合 GL(n, R), SL(n, R) をそれぞれ次で定義する. GL(n, R) := {g ∈ M (n, R) | det g ̸= 0} SL(n, R) := {g ∈ M (n, R) | det g = 1} M (n, R) は成分を対応させることによって自然に Rn と 1 対 1 に対応させること ができる.この対応によって M (n, R) 上に開集合を定義する. 2 問題 4. M (n, R) の部分集合 GL(n, R), SL(n, R) はそれぞれ Rn の開集合か閉集合か判定 せよ. (ヒント:det は R への連続写像であることを使う.) 2 標準 H0-2W11-05 難易度 : C 名古屋大学・理学部・数理学科 2W 数学演習 V・VI 担当教員 : 浜中 真志 研究室 : A327 標準 H005-2 E-mail:[email protected] Rn におけるコンパクト性 問題 5. Rn の部分集合 A が Rn の有界閉集合であるとき, コンパクトであるという. (Rn の部分集合 A が有界であるとは, それが Rn のある開近傍 U (a, ε) に含まれるときをいう.) (1) SL(2, R) は R4 の部分空間としてコンパクトではないことを示せ. (2) 直行行列全体 SO(2) := {g ∈ M (2, R) } | t gg = e, det g = 1} を考える. SO(2) = { ( ) a b g= | a, b ∈ R, det g = 1 と表されることを示せ. ここで SO(2) の −b a 成分を対応させることによって SO(2) を R2 と同一視する. SO(2) は R2 の部分集合 としてコンパクトであることを示せ. (e は 2 次単位行列) 位相空間 定義 3. (位相空間) X の部分集合からなる集合を OX とおく. これが次の 3 つの 条件を満たしているとする. (1) ϕ, X ∈ OX (2) 任意有限個の OX に属する集合の共通部分はまた OX に属する. (3) 任意個数 (有限または無限) の OX に属する集合の和集合はまた OX に属する. このとき,OX に属する X の部分集合を開集合と呼ぶ.また OX を位相といい,X は位相空間であるという. x ∈ X を含む開集合を x の開近傍という. ユークリッド空間同様, 内点・触点・集積点 が以下のように定義される. • a ∈ X が A(⊂ X) の内点であるとは, ある a の開近傍 U (a) が存在して U (a) ⊂ A. • a ∈ X が A の触点であるとは, 任意の a の開近傍 U (a) に対して U (a) ∩ A ̸= ∅. • a ∈ X が A の集積点であるとは, 任意の a の開近傍 U (a) に対して (U (a) − {a})∩A ̸= ∅. 問題 6. (N 点集合の位相) (1) 2 点からなる集合 X = {1, 2} に 入りうる位相 O を全て書き下せ. またそれらの位 相の強弱を議論せよ. (O1 , O2 が集合 X における 2 つの位相であって, O1 ⊂ O2 が 成り立つとき, 位相 O1 は O2 より弱い, 位相 O2 は O1 より強いという.) (2) 3 点からなる集合 X = {1, 2, 3} に対して位相を導入しよう. O0 = {∅, {1, 2} , {2, 3} , X}, O1 = {∅, {1} , {2, 3} , X}, O2 = {∅, {2} , {1, 2} , {2, 3} , X}, とすると, (X, Oi ), i = 0, 1, 2 はそれぞれ位相空間であるか? 標準 H0-2W11-05 難易度 : C 名古屋大学・理学部・数理学科 2W 数学演習 V・VI 担当教員 : 浜中 真志 研究室 : A327 標準 H005-3 E-mail:[email protected] (3) 4 点からなる集合 X = {1, 2, 3, 4} に, 位相の強弱関係のつく, 密着位相 (OX = {∅, X}), 離散位相 (OX = 2X ) 以外の位相を2つ入れよ. (4) 5 点からなる集合 X = {1, 2, 3, 4, 5} に対して O = {∅, {1} , {2} , {1, 2} , {2, 3} , {1, 2, 3} , X} をすると, (X, O) は位相空間となる. このとき A = {1, 2, 4} の内部 A◦ , 閉包 Ā, 集積 点全体 (導集合) Ad を求めよ. (5) 5 点からなる集合 X = {1, 2, 3, 4, 5} に対して O = {∅, {1} , {1, 3} , X} をすると, (X, O) は位相空間となる. このとき A = {1, 2, 4, 5} であるときの A の X に関する 相対位相 Õ を求めよ. また位相空間 (A, Õ) における D = {2, 4} の閉包を求めよ. (A ⊂ X のとき, A の X に関する相対位相は Õ = {O ∩ A | O ∈ OX }.) (6) (2) の位相空間 (X, O1 ), (X, O2 ) に対し, 写像 f : (X, O1 ) → (X, O2 ) を f (1) = 1, f (2) = f (3) = 2 で定める. f は連続写像であるか?f (1) = f (2) = 2, f (3) = 3 の 場合はどうか?(連続写像の定義は定理 1 と同様) 今週の宿題 (提出期限は 11 月 25 日の演習開始時です) 問題 7. (複素積分ワンスモア) 原点中心, 半径 R の円の上半平面部分を CR とする. その { } 半円のパラメータ表示が CR = z ∈ C | z = Reiθ , 0 < θ < π であることを利用して, 以 下を示せ. (積分路の向きは反時計まわりとする) ∫ eiz lim dz = 0 R→∞ C z 1125 R 問題 8. 線形代数群 SU (2) := {g ∈ M (2, C) | g ∗ g = e, det g = 1} について以下の問いに 答えよ. (e は 2 次単位行列) { ( ) } a b (1) SU (2) = g = | a, b ∈ C, det g = 1 と表されることを示せ. −b̄ ā (ヒント:g ∗ g = e より, g ∗ = g −1 となることに注意.) (2) (1) の表記に対して SU (2) の成分を対応させることによって SU (2) を R4 と同一視 する. SU (2) は R4 の部分空間としてコンパクトであることを示せ. 今週のボーナス問題 (提出期限は 11 月 25 日の演習開始時です) 問題 9. X = Rn , Y = Rm とおく.(必要であれば距離はユークリッド距離とする.) (1) 写像 f : X → Y が X の各点において連続であれば, Y の任意の開集合 O に対し て f −1 (O) は開集合であることを示せ. (2) Y の任意の開集合 O に対して f −1 (O) が開集合であれば, 写像 f : X → Y は X の 各点において連続であることを示せ. 標準 H0-2W11-05 難易度 : C 名古屋大学・理学部・数理学科
© Copyright 2024 ExpyDoc