第2回:小国マンデル=フレミング・ モデル(1) 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 1 概要 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 今回のねらい 小国開放経済のIS-LM曲線 BP曲線の導出 財政政策の効果(固定&不胎化) 金融政策の効果(固定&不胎化) (非)不胎化政策 例題 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 2 1. 今回のねらい • 小国マンデル=フレミング・モデル の復習をする。 • 特に今回は固定&不胎化のケー スについての復習をする。 • (非)不胎化政策について復習を する。 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 3 2. 小国開放経済のIS-LM曲線 • 財市場の均衡条件:総供給=総需要 Y C I G X M • ケインズ型消費関数:所得↑⇒消費↑ • 投資関数:金利↑⇒投資↓ I I 0 vi 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 4 小国開放経済のIS-LM曲線 • 輸出 • 輸入関数:所得↑⇒輸入↑ M M 0 mY , 0 m 1 これらを使って小国開放経済のIS曲線 が導出出来る。 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 5 小国開放経済のIS-LM曲線 • 財市場の均衡条件(総供給=総需要) Y C 0 cY I 0 vi G X 0 M 0 mY (小国開放経済のIS曲線) i-Y平面で右下がりの曲線になる。 Gの拡大(財政拡張)⇒切片の増大⇒右シフト 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 6 小国開放経済のIS-LM曲線 • 貨幣市場の需給均衡条件 Z P kY L 0 li (LM曲線) 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 7 IS-LMモデル i 財・貨幣市場の同時均衡 LM IS 0 Y • 政策効果 財政拡張:IS右シ フト 貨幣拡張:LM右 シフト (平価切下げ等に よる)ネット輸出増 加:IS右シフト 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 8 3. BP曲線の導出 • 資本は低金利の国から高金利の国に流れ る。ただし、小国開放経済( 𝑖 ∗ = 𝑖0∗ )を仮定。 • k:資本可動性 k=0:金利差に対して資本がまったく反応しな い状態。 kが高いほど金利差に対する資本移動が激し い(グローバルな金融市場)。 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 9 BP曲線の導出 • BP曲線 総合収支を均衡させる(BP=TB+KA=0)金利 i と所得 Y の組み合わせの軌跡。 • BP=0関係 • TBとKAについて展開 BP X 0 M 0 mY KA 0 k ( i i ) 0 * 0 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 10 BP曲線の導出 • iについて解く i-Y平面で右上がりの曲線。 𝑋0 、𝑀0 、𝐾𝐴0 、𝑖0∗ 等の変化に伴ってシフト。 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 11 図による理解 i BP 総合収支黒字 i上昇 →資本流入 →KA黒字化 Y上昇 →輸入増 →TB赤字化 総合収支赤字 0 Y 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 12 資本可動性kの影響 i BP’ • BP:右上がりの曲線 BP • BP’:資本可動性(k) が低いケース BP’’ 0 • BP’’:資本可動性(k) が高いケース Y 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 13 垂直なBP曲線 i BP 0 1 m • 資本可動性がゼロのとき (k=0)、BP曲線は横軸に対し て垂直になる。 k 0 X 0 M 0 KA 0 Y •𝑘 = 0&𝐾𝐴0 = 0のケースが 前回までの資本収支を無視 した議論と整合的になる。(今 回のモデルの特殊ケース)。 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 14 マンデル=フレミング・モデル (IS-LM-BPモデル) i BP LM 財市場、貨幣市場、総合収 支を同時に均衡させるiとY 組み合わせ。 IS 0 Y 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 15 4. 財政政策の効果(固定&不胎化) 資本可動性ゼロのケース i • 財政拡大、IS右シフト。 ↓ • G:財・貨幣市場均衡、 TB赤字、KA均衡。 • Y上昇、i上昇 • BP赤字は貿易収支赤 字の結果。 BP LM G IS’ IS 0 Y 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 16 低資本可動性のケース i BP • 財政拡大、IS右シフト。 ↓ • G:財・貨幣市場均衡、 TB赤字>KA黒字。 • Y上昇、i上昇 • BP赤字は「 TB赤字> KA黒字」の結果。 LM G IS’ IS 0 Y 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 17 5. 金融政策の効果(固定&不胎化) 資本可動性ゼロのケース i • 金融緩和、LM右シフト。 ↓ • M:財・貨幣市場均衡、 TB赤字、KA均衡。 • Y上昇、i下落 • BP赤字は TB赤字の 結果。 BP LM LM’ M IS 0 Y 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 18 高資本可動性のケース i • 金融緩和、LM右シフト。 ↓ • M:財・貨幣市場均衡、 TB赤字、KA赤字。 • Y上昇、i下落 • BP赤字は「TB赤字+ KA赤字」の結果。 LM BP LM’ M IS 0 Y 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 19 6. (非)不胎化政策 負債 資産 国内純資産残高 マネタリー・ベース 外貨準備残高 国際金融論I(南山大学2014) 20 𝐵𝑃と𝑀𝐵の関係 • 資産=負債(複式簿記より) MB Res NDA 𝑅𝑒𝑠:外貨準備残高、𝑁𝐷𝐴:国内純資産残高 • 会計恒等式 国際金融論I(南山大学2014) 21 𝐵𝑃と𝑀𝐵の関係 • 𝑂𝑅𝑇は正(負)が外貨準備減(増) • 𝐵𝑃と𝑅𝑒𝑠の関係 BP Res MB NDA or MB BP NDA ∆𝑵𝑫𝑨 = 𝟎のとき、 𝑩𝑷の黒(赤)字は外貨準備 増(減)と𝑴𝑩増(減)に対応。 国際金融論I(南山大学2014) 22 不胎化政策 • 𝑀𝐵(およびマネー・サプライ)の増減 を相殺するように𝑁𝐷𝐴を減増させて、 𝑀𝐵を一定水準に維持する政策。 • 𝑀𝐵、𝐵𝑃、𝑁𝐷𝐴の関係(再掲) 𝑵𝑫𝑨 を政策的に調整して 𝑩𝑷 → 𝑴𝑩 の影響を相殺。 ⇒不胎化政策。 国際金融論I(南山大学2014) 23 7. 例題 • 固定&不胎化のMFモデルで、 高資本可動性のケースの財政拡大が、 所得、金利、貿易収支、資本収支、総合 収支に与える影響について、図を用いて 説明せよ。 低資本可動性のケースの金融政策につ いても同様に説明せよ。 国際金融論Ⅱ(南山大学2014) 24
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