IF5-ピリジン-HF を利用した脱硫モノフッ素化反応 Desulfurizing Mono

IF5-ピリジン-HF を利用した脱硫モノフッ素化反応
Desulfurizing Mono-Fluorination Reactions Using IF5-pyridine-HF
國頭
正貴 1、布施
ちあき 1、原
正治 1,2(北大院総化 1、北大院工 2)
フッ素化剤は一般に危険で扱いにくいものが多いが、当研究室で開発した IF5-ピリジン-HF は、
空気中で安定で安全に取り扱える白色固体状のフッ素化剤であり、種々のイオウ化合物のフッ素
化に有効であることを報告している 1)。今回、フェノール・アルコール・カルボン酸(1)にメチル
チオメチル(-CH2SMe)基やフェニルチオメチル(-CH2SPh)基を導入したあと IF5-ピリジン-HF を反
応させると、脱硫モノフッ素化反応が起こり対応するフルオロメチル化体(2)が得られたので報告
する(Scheme 1)。
Scheme 1
この反応はガン診断のPETトレーサーとして期待される O-フルオロメチルチロシン誘導体
(3)の合成に利用できる(Scheme 2)。
Scheme 2
また、この試薬は多糖合成の重要な中間体であるフッ化グリコシド合成にも利用できる。チオ
グリコシルからの合成には従来、酸化剤とフッ素化剤を必要とした。しかし、今回チオグリコシ
ドに IF5-ピリジン-HF を反応させるだけで容易にフッ化グリコシドが生成することを見出したの
で併せて報告する(Scheme 3)。
Scheme 3
<参考文献>
1)S. Hara et al., Tetrahedron, 2012, 68, 10145-10150.
発表者紹介
氏名
國頭
正貴(くにがみ
所属
北海道大学大学院
総合化学院
まさたか)
総合化学専攻
学年
修士2年
研究室
反応有機化学研究室
研究室紹介写真