Title Author(s) Citation Issue Date URL Microbacterium ammoniaphilumのL-グルタミン酸産生能な らびにその工業的利用に関する研究( Abstract_要旨 ) 宮井, 恭一 Kyoto University (京都大学) 1966-11-24 http://hdl.handle.net/2433/212041 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 【3 3 6】 氏 宮 井 恭 みや い き よう いち 学 位 の 種 類 農 学 博 士 学 位 記 番 号 論 学位授与の 日付 昭 和 41年 1 1月 24 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 5条 第 2項 該 当 学位論文題 目 Mi c r o b ac t e r i um ammo ni aphi t um の L -グル タ ミン酸産生能 農 博 第1 49号 な らび にその工業 的利用 に関す る研究 論文 調査 委員 数(㌔ i ,'J、野 寺 幸 之進 論 文 内 教 授 緒 方 浩 一 容 の 要 教 授 蒲 田久 輝 旨 Ml ' c r o b ac t e r i u m ammo ni a Phi l um とは著者が新 しく分離 した強力な L - グル タ ミン酸産生能を もつ細菌で ある。 本論文 は この新菌 を使用 して L - グル タ ミン酸の工業生産 に役立 て るため行な った基礎研 究 を 論 述 した もので ある。 著者 は本菌 の生育 ・ 増殖 に必要な栄養環境 を生化学 の立場 か ら検討 しひいては本菌 による工業生産 を有 利に導 くための条件 を設定す ることを 目標 と して, 次の事項 を問題点 と して とりあげ追求 した。 (1) 本菌 は従来 よ り使用 されてい る L - グル タ ミン酸産生菌 (た とえば Mi c r o c o c c usgl ut ami c us )と同 じく生育因子 と して ビオチ ンを要求す るが, そのほかに L- シスチ ンを も要求す る。 L-シスチ ンの要求量 は 1 -2 0mg/ lで あるが, その効果 は ビオチ ン使用量の一定 の範 囲内で発現 し, L - シスチ ン添加量の増加 とともに L - グル タ ミン酸 の生産量が増加す る。 これ らの栄養要求性 を明確 に した結果 , 常 に安 定 した強 力な種菌 を比較的短時間 に うることがで きるよ うにな った。 ( 2) 本菌 の生育環境 を糖濃度で規制す ると, 生育 に対 す る ビ オ チ ンの要求量は糖濃度 によ って変動 し, これ とともに L - グル タ ミン酸産生 に対す る至適 ビオチ ン量 も変動す る。 こ の 条 件 を詳細 に追求 した ところ,L- グル タ ミン酸産生 に導 く主要因子 は本菌 の ビオチ ン欠乏で あることがわか った。 そ こで菌体 内 外 の ビオチ ンの消長 を しらべた結果 , L - グル タ ミン酸 の生成蓄積 には菌体 内 ビオチ ン量が重要 な意義を も つ ことが明 らか とな った。 (3) 本菌 の生育培地で糖濃度 を 1, 5,1 5% に調整 し, これ にビオチ ン供与量を変えて菌 を培養 し, さらにこれ を二次培養す ると, ビオチ ン完全供与の場合 , 著 しい菌体 の増殖 と L - グル タ ミン酸 の 蓄 積 が 4時間後, 糖 のみを供給 して さらに培 み られた。 そ こで低糖濃度で ビオチ ン完全供与 の合成培地 を用い ,2 養 をつづ けた ところ, 糖 の添加後 に著 しい菌 の増殖がお こるとともに L - グル タ ミン酸の多量の 蓄 積 が お こった 。 さらに種 々条件 を検討 した結果 , 培 養 経 過中に菌体 の増殖が常に随伴す るよ うな環境は L-グル タ ミン酸発酵 に有利で あることが 明 らか とな った。 一 一8 8 7・ これ らの知見 に基づいて培地 中の糖濃度が常 に 1 %以下 とな るよ うに規制 しつつ連続的に糖 を供給す る と, L - グル タ ミン酸 の盛んな産生が直線的につづ け られ, また , 発酵液 中の L - グル タ ミン酸が高収率 ・ 高 濃度でえ られ る。 ( 4) 表面活性剤 s o r bi t a nmo no o l e a t eは本菌 の増殖 および L - グル タ ミン酸産生の点で ビオチ ン完全 o r bi t a n mo no ol e a t e の使用によ って本菌 の継代 代替性 を示す 。 ビオチ ンを全 く含まない培地 において s 生育が可能で あ り, また , L - グル タ ミン酸 の発酵生産 の段階 において も満足 すべ き生産が達成で きる。 (5) 細菌 の L - グル タ ミン酸産生能 の特異性 に関連 して広 く検索 した ところ, 従 来 の 菌 と異な る栄養 要求性 を示す L - グル タ ミン酸産生菌 Co r yn e b ac t e r i u mp o l ymo r ph を兄 いだ した。 本菌 は ビオチ ンだ けで な くア ミノ酸 , 有機塩基 を も要求 しない。 菌体 中に多量の L - グル タ ミン酸 を蓄積す るが , 培地 中にはわず か しか蓄積 しない。 ペニシ リンを添加す ると, 始 めて菌体外 に多量の L- グル タ ミン酸が蓄積す る。L-グル タ ミン酸生成 に関与す る酵素 の活性 の様相 も従 来 の菌 とは異 な ってい る。 この知見 は L- グル タ ミン酸 の 発酵生産 には, それぞれ菌 によ って種 々な方式が可能で あることを示唆 してい る。 な お基礎研究 によ って得 られた種 々の知見を工業的に利用 して おさめた成果 を総括 して述べてい る。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 L - グル タ ミン酸発酵 はわが国で創案 , 開発 された生化学工業で ある。 この工業の根底 とな るものは使用 す る細菌 の生化学的特性で ある。 ' c r o b ac t e r i u ma mmo n i a Ph i l u m と名づ ける新菌 を利用 して L - グル タ ミン酸 を工 業 生産す る 本研究は Ml ため, 基礎研究 と してまず菌 の栄養環境 に重点をお い て 生 化 学 の 立場 か ら追求 し, 多 くの新知見 を得て い る。 工業化 の段階において L- グル タ ミン酸 の生産 を有利に導 くためには本菌 の旺盛な生育 ・ 増 殖 が 肝要で あるとい う観点 の もとに, そ の 栄 養環境 について主要因子 を探索 して, ビオチ ンのほかに L - シスチ ンを も要求す ることを明 らかに してい る。 この知見 に基づいて前培養 (種菌培養) の工程で安定 した旺盛な種 菌 を比較的短時間の培養で得 ることに成功 した。 また工業生産 の段階で L - グル タ ミン酸 の 収 率 を上げる 至適条件 を導 き出す ことがで きた。 さらに栄養環境の追求 によ って天然栄養源 と しての コー ンスチープ リカーの使用を中止 し, 安価な完全 o r bi t a nmo no o l e a t e の使用を開発 し 合成培地を設定 した。 ついで ビオチ ンに代 替 し う る物 質 と して s た。 また本菌 の要求す るビオチ ン量 と糖濃度 との関係, および菌体 内の ビオチ ンの意義を明 らかにす るとと e e di ng による L - グル タ ミン酸発酵生産方式 を設定 してい る。 もに, 糖 の f なお ビオチ ンを要求 しない新菌 を兄いだ し, その生化学的特性 を明 らかに して, 栄養要求性 の点で従来 の概念 とは全 く異 な る L - グル タ ミン酸発酵生産方式 の可能性 を示唆 してい る。 このよ うに本研究 は生化学 な らびに生化学工業の分野 に貢献す るところが大 きい。 よ って本論文 は農学博士の学位論文 と して価値 ある もの と認 め る 。 -8 8 8-
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