PAL パル動物病院 NEWS 2006 年 7 月号 脂肪肝(肝リピドーシス) 今月の診療予定 脂肪肝とは、肝臓内に過剰な量の脂肪 ます。またひどくなると神経障害(流涎、 今月は下記の日程で専門科の が蓄積し、肝臓が正常に機能しなくなる 昏睡、痙攣)も出てしまいます。 診察を行います。 状態をいいます。この病気は食欲不振に 《診断》 ご希望の方は事前に受付にて なった肥満のネコでおこりやすく、死亡 血液検査、尿検査、レントゲン検査、超 お申し込み下さい。 (要予約) 率の高い恐ろしい病気です。脂肪肝は全 音波検査で肝臓をチェックします。脂肪肝 ~人と動物の絆~ ての年齢、品種のネコに発生する可能性 を疑う検査結果が出ると、確定診断として 歯 科 よりよい関係を目指して がありますが、特に中年齢以降で、室内 肝臓に針を刺し肝臓の細胞を顕微鏡で観察 7月 12日(水) 私たちは最先端の診療技術を生かし、飼育の肥満したネコでよくみられます。 します。脂肪肝は肝臓の細胞に脂肪が蓄積 地域に密着した動物病院を目標にして またオスよりもメスで発症しやすいよう しているのが確認されます。 です。 《治療》 おります。 《脂肪肝とはどのようにおこるのか?》 点滴、ビタミン剤および肝保護剤の投与 裾野センター病院 脂肪肝は以下の機序で発症します。 を行います。体内のエネルギー不足を抑え 月~土 午前 9:00 ~ 12:00 ①長期の食欲不振→体内の過剰なエネル るために、強制的に良質な蛋白質の入った 午後 2:00 ~ ギー不足→②体内にある脂肪を壊して、 食事を与えます。 〈診療時間〉 日・祝 9:00 午前 9:00 ~ 12:00 脂肪でエネルギーを維持→③大量の脂肪 《予後》 午後 2:00 ~ が肝臓を経由し体内へ送りこまれる→④ 集中的な治療を行っても、肝リピドーシ 7:00 沼津病院 平日 肝臓へ運ばれる脂肪が体内へ送られる脂 スになったネコの約35%は死亡する可能 午前 9:00 ~ 12:00 肪より多くなると肝臓に脂肪が蓄積する 性があります。早期発見、早期治療が必要 午後 2:00 ~ →⑤肝臓の機能が低下または停止する。 です。また肥満の猫で発症が多いので、日 7:00 木曜日 休診 日・祝 午前 9:00 ~ 12:00 裾野センター病院 TEL: 055-993-3135 沼津病院 TEL: 055-922-6255 奥田 綾子 先生 エキゾチックペット 7月 27日(木) 霍野 晋吉 先生 腫瘍科 7月 11日(火) 川村 裕子 先生 放射線科 7月 8日(土) 肝臓が正常に機能できなくなる(肝不 常の体重管理も大切です。 全)と黄疸、嘔吐、浮腫などの症状がで 眼 科 7月 1日(土) 、5日(水) 、8日(土) 、 ノミ、ダニの予防 15日(土) 、 19日(水) 、 暖かな季節となり今年もノミやダニが発生しております。月に 1 回の投薬 26日(水) 、29日(土) で確実に予防できます。各種予防薬がありますので詳しくはご相談下さい。 小野 啓 先生 動物の涙 また、トイ・プードル、シーズー、チワワなど小型犬種ではまぶたの形 が原因となる流涙症が多くみられます。主な症状は目頭から涙を流し、 被毛が茶色く変色します。これは通称‘涙やけ’といわれます。この病 動物の‘涙’についてのお話です。 気の場合、目の表面の必要な涙も流れてしまうので、ドライアイとなっ 涙は目の表面を覆っている透明な液体です。その役割は角膜を保護 て角膜障害をおこすことがあります。症状によっては外科的に眼瞼形成 し、外部からの異物や細菌から目の表面を保護しています。涙の成分 術を行うこともあります。まぶたの形成を行うと流涙が少なくなり眼の は 3 つに分かれており、油性、水性、粘液(ムチン)から成り立ちます。 表面に潤いが出てきます。 この中で主体となるのが水性成分です。水性成分は人では涙腺から分 2)涙液減少症(涙が少ない病気) 泌されますが、動物では涙腺と瞬膜腺の2ヵ所から分泌されます。瞬 涙が少ない病気を涙液減少症といい、これは人で一般にいわれる‘ド 膜腺は目の内側にある膜(瞬膜)に含まれており、動物特有の器官です。 ライ・アイ’と同じです。原因は先天性、薬物性、後天性などあります この瞬膜はまぶたと同じような働きをしており、瞬きのたびに目の内 が、ほとんどは後天性で免疫に関連した疾患です。この病気は中年齢以 側から出てきます。また、動物の涙は油性成分が人に比べて多いです。 降の犬で多くみられ、角膜炎と結膜炎をともなうことから‘乾性角結膜 そのため目が乾燥しにくいので、瞬きの回数が人に比べて少ないです。 炎’といいます。病気の機序は体内の免疫異常により、リンパ球が涙腺、 動物の中でもウサギの瞬きの回数は極端に少ないです。 瞬膜腺を破壊し涙が減少します。症状は、目やにの増加、再発する角膜 涙は通常、瞬きにより分泌されます。分泌された涙は目の表面を覆っ の病気、眼の表面の乾燥などです。診断には涙液量の測定が必要です。 た後、 鼻涙管へ流れます。われわれが泣いたときに鼻から涙が出るのは、 治療は免疫抑制剤の点眼液を使用します。初診時の涙の量が比較的多い あふれた涙が鼻涙管を通るためです。涙の病気は、この一連の涙の流 と治療に対する反応が良好です。 れに異常があるときにあらわれます。 涙の病気は大きく分けて、涙が多い病気と、涙が少ない病気の 2 つ 今回は、主に涙の水性成分の病気についてお話しました。しかし油性 に分類されます。 および粘液成分の異常による眼疾患もあります。油性成分が減少する病 気では、涙の蒸発が多くなり角膜の病気の引き金となります。また粘液 1)涙が多い病気(流涙症) が消失すると、角膜に涙を留めておくことができなくなるので、これも 涙があふれる病気を流涙症といいます。流涙症の主な原因は、①涙 流涙や角膜疾患の原因となります。このように涙の病気は、涙液器官の が多く分泌される、②鼻涙管がつまっている、③まぶたが内反してい みならず他の眼疾患が原因で二次的に症状がでることがあります。涙に ることです。中でも特に多いのが、目の痛みによって涙が多く分泌さ ついてお困りのことがありましたら、当院の眼科診療をお訪ね下さい。 れる場合です。痛みの原因は結膜炎、角膜炎、眼内炎など様々です。 パルニュース 2006 年 7 月号
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