共創・共育・共感 尾鷲市教育長だより 2014.5.9.(金) 第73号 【So・da・te・ru】そだてる 『子育て』に関する講演会で、 「子どもを『育てる』ときには、時として『s』 をとってみませんか」といった話がなされました。 意味は、『育てる』をローマ字で書くと『So・da・te・ru』となりますが、 その最初の『s』をとって考えてみましょうということでした。 つ まり 『 Sodateru』から最初の『S』をとると、『odateru』(おだてる) と な り ま す 。『 お だ て る 』 と い う と 少 し 語 弊 が あ る か も し れ ま せ ん が 、『 叱 る より、褒めて育てることを大切にしましょう』というお話でした。 確かに、口やかましく言われてから仕事に取りかかるよりは、褒められた り、認められたり、ここでいうおだてられたりしたときの方が、いい気持ち でスムーズに仕事に取りかかることができます。 いつもいつも、おだててばかりはいられないにしても、 『認めるときは認め、 しっ か り やれたと きは大いに褒める』といった視点を、『子 育て』の中 ではと くに大切にしましょう!といった内容でした。 こうしたことは頭の中では結構わかっているつもりでも、いざ日常生活の 実際の場面となると、気になるところばかりに目が行って、素敵なところ、 大切なところを見逃してしまいがちです。 ついついものごとに流されがちですが、家庭の中で、どのようなスタイル で子育てに臨んでいるか、また、学校生活の中で、子どもたちとどのように 関わっているか、ときどき振り返ってみることが大切です。改めて考えさせ られることが結構あるのではないでしょうか。 育て るから、時には『S』をとってという言葉を、自分自身への警鐘の言葉 として受け止めたいと思います。 -1- これも講演会での話ですが、数年前、増岡 弘さん(サザエさんのマスオ さんの声優役)を招いての教育講演会が海山公民館で行われました。 講 演 の 中 で 増 岡 さ ん は 、「 言 葉 に は 温 度 が あ る 」「 言 葉 は 発 し て し ま っ た ら 戻らない」といった話をされました。 氷 の よう な「冷 た い言葉 」、他者を火傷 させて しまうよう な「熱湯の ような 言葉」、それらの言葉は人の心を凍らせ、痛めつけてしまいます。 家族やまわりの人々とのつながりの中で、今一度、増岡さんのメッセージ をしっかりと受け止めて、人を安心させ、ホットさせるような言葉や、やる 気が出る言葉、そんな温かな励ましの言葉かけをしていきたいものです。 も う ひと つ、「幸 せや健 康はそれを 無くしたと きにはじめ て、そのあり がた さに気づき、大切さを感じるもの」という話もされました。 病気になったとき、怪我をしてしまったときに、あ~健康って大切なんだ、 健康であるってことは幸せなことなんだと感じるが、普段はあまり感じない。 健康や幸せを失ったときに、はじめてそれらの大切さに気づくのだが、でき るだけ失わないように、普段のこうしたあたりまえの状態を大切にしたいね ・・・。そういった話でした。 そのとき、友人からの話を思い出しました。家の風呂のボイラーが壊れ、 数日間、実家まで入浴に出かけることになった。修理が終わったら今度は台 所の水道がポタポタと流れっぱなしで、止まらなくなり、修理が終わるまで の期間、その音が気になり毎日使い終わった後、外の元栓を閉めておくとい った日々を過ごしたという話です。 このことがあるまでは、毎日暖かいお湯が出る。使った後はきちんと水道 が止 ま る 。そんな のは当たり前で、「ありがたい」などと考え たことはな かっ たそうですが、それらの便利さを失ったときに、はじめてそのありがたさを 実感したというのです。 増岡さんの話といい、友人の話といい、毎日あたりまえのように生活でき ていること自体が、たいへんありがたい、幸せなことなんだということを改 めて考えさせられます。あたりまえこそ大切なことなのだと・・・。 -2-
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