はじめに 津 島 市 公 共 施 設 再 構 築 案 検討にあたって考慮すべき事項

津島市公共施設再構築案
はじめに
【施設保有量及び市有施設総面積に占める各施設の割合】
「公共施設再構築案」は、「津島市公の施設等のあり方検討会」の提言を受けて、市が策定する
市は道路等インフラ資産を除いて、延床面積で20万平方メートルという建物を
「基本計画」です。
有しています。
この基本計画は、施設(建物)の耐用年数を60年程度としたときの40年後の津島市の状況を見据え
施設面積の約66%を占める学校・公営住宅の施設更新がポイントとなります。
ながら、今後の5年から10年後を目途とした公共施設再構築の「基本的な方向性」を示すものです。
多くの行政分野に影響を与える中長期の指針となりますので、議会、市民の皆様から、より多くの
会館等施設
意見を頂くため、行政内部での検討と同時期に、案の段階からご説明するものです。
検討にあたって考慮すべき事項
・本格的な超高齢社会の到来と核家族化の進展
・膨大な公共施設更新経費と財政の硬直化
・市民協働によるまちづくり
本格的な超高齢社会の到来、核家族化の更なる進展、単身世帯の増加と膨大な公共施設の更新は、
財政の硬直化を招き、自治体の政策の柔軟性を奪いかねない状況にあります。
観光・文化施設
2,163 ㎡
健康・福祉施設
7,520 ㎡
教育・児童施設
14,510 ㎡
スポーツ施設
10,246 ㎡
学校施設
83,511 ㎡
庁舎等施設
9,337 ㎡
消防施設
3,449 ㎡
公営住宅
50,839 ㎡
その他
また、少子高齢化の進行による市民の年齢別構成割合が大きく変化し、従来のように目的別に施設
10,942 ㎡
9,579 ㎡
合計
202,096 ㎡
を整備していくことは、高齢者福祉施設等の特定目的の施設を増やすことに繋がります。
会館等
(5%)
その他
(5%)
観光文化
(1%)
健康福祉
(4%)
教育児童
(7%)
スポーツ
(5%)
公営住宅
(25%)
学校
(41%)
消防
(2%)
庁舎等
(5%)
延床面積の内訳
公の施設の総量抑制をしていくべき状況の中では、目的別の縦割りの施設整備のあり方から、地域
【今後40年間における施設更新経費】
が主体となって、活用の仕方を調整していくような施設のあり方への移行が必要となってきています。
高度経済成長期から昭和50年代にかけて、また、バブル経済崩壊後の数次の経済
対策を通じて、平成8年度から12年度にかけて、集中的に施設が建設されました。
津島市の状況と市有施設が抱える諸課題
今後予測される更新経費を40年間で平均すると約20億円/年が必要となります。
【年齢別人口】
【世帯数】
過去5年平均の2.6億円/年の更新経費の約8倍の経費が必要となります。
平成17年に19.4%だった高齢者(65歳以上)は平成32年
世帯数は、近年の核家族化の進行や単身世帯の増加など
には30.2%と増加します。また、平成17年に15.7%だった
により伸び続け、平成17年には22,000世帯を超えています。
年少人口(14歳以下)は平成32年には10.8%に減少します。
平成32年には25,800世帯、1世帯あたり2.56人となります。
公共施設の将来の更新費用の推計
億円
(%)
0
100
(世帯)
30,000
12.8
15.9
19.4
23.6
28.0
30.2
20
80
25,000
(人)
4.0
3.5
3.23
3.06
2.94
40
35
30
2.81
2.68
20,000
3.0
25
2.56
2.5
40
60
20
68.4
64.8
2.0
15,000
61.9
40
60
20
59.4
59.1
24,900
10,000
19,708
21,393
25,500
1.5
22,307
1.0
20
80
40
0.5
15.7
15.7
14.5
12.6
10.8
H7
H12
H17
H22
H27
H32
1000
年少人口(実績値)
生産年齢人口(実績値)
老年人口(実績値)
年少人口(推計値)
生産年齢人口(推計値)
老年人口(推計値)
10
5
0
5,000
16.1
15
25,800
0
0.0
H7
H12
H17
H22
H27
H32
H18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
2026
2027
2028
2029
2030
2031
2032
2033
2034
2035
2036
2037
2038
2039
2040
2041
2042
2043
2044
2045
2046
2047
2048
2049
2050
71.1
耐震改修
大規模修繕
築31年以上50年未満の公共施設の大規模修繕
維持補修
世帯数(実績値)
世帯数(推計値)
既存更新分
新規整備分
一世帯あたり世帯人員(実績値)
一世帯あたり世帯人員(推計値)
既存更新分(5箇年度平均)
既存更新分+新規整備分(5箇年度平均)
既存更新分+新規整備分+用地取得分(5箇年度平均)
資料:国勢調査、平成22年以降は市の推計値
中期的な財政見通し
施設見直しの基本方針
① 施設目的の有効性
当初の施設の設置目的は、現在も有効か。また、必要以上に目的や対象者が限られ、市
民にとって利用しづらい施設となっていないか。
② 施設配置
適正配置の観点から、利用者から見て施設の空白地区や重複地区を解消する。特に、県
からアイプラザの移管を受けることに伴い、その機能が重複することとなる既存の市の施
設については、他用途への変更、廃止、地元移管、民間貸付、民間譲渡を検討する。
③ 将来需要
今後の市民需要に対して、柔軟に対応できる施設となっているか。
④ 老朽化
施設の老朽化が進み、今後、維持管理にどの程度の費用負担を見込まなければならない
のか。
⑤ 利用率
利用率が極端に低い施設等については、使用形態・利用形態の見直し等により、効率的
な利用を図る。
⑥ 公的関与の必要性
社会経済情勢の変化や民間サービスの充実等により、市役所が関与すべき施設かどうか
を検討し、他用途への変更や廃止、指定管理者制度の導入や地元移管、民間譲渡を積極的
に進める。
1 将来予測
平成25年度
平成27年度
形式収支の赤字額 形式収支の黒字額
6億円
2億8,400万円
財政調整基金は平成26年度にはいったん7億円程度にまで減少す
るが、平成27年度には10億円を上回るまで回復する。
平成25年度には、当該年度の形式収支が赤字となります。
これは、今後予定される大規模な投資的事業の経費負担を反映した結果です。
しかし、現実の財政運営においては、不要不急の経費の削減、事務事業の見直しなどで
歳出を抑制したり、退職手当債等の特例的な起債を活用した臨時の財源対策をすることに
より、一定額以上の財政調整基金を確保します。
将来への負担の先送りを減らし、政策実現の財源を確保するためにも、できる限り、財政
改革行動計画の前倒し実施に取り組み、臨時の財源対策を抑制していく必要があります。
単位:百万円
2 試算結果
コミュニティ活動支援のための拠点形成
<背景>
これまで、市は縦割りの施策体系に基づき、老人憩の家やこどもの家、集会施設、公民
館などの施設整備を行い、地域の市民に数多くの集いの場を提供してきた。
しかし、社会情勢の変化に伴い、市民やボランティア、NPO等による地域活動が関心
を集め、自己決定、自己責任による地域づくりのためのコミュニティの活性化がさらに求
められてきたため、これに適応する新しい発想に立った施設のあり方が求められている。
<目的>
小学校区を基礎単位として、地域の施設の中から、地域の意見を聞きながら、コミュニ
ティの拠点施設として活用できる施設を選定していく。これにより、コミュニティ推進協
議会の事務所が整備され、コミュニティ活動の活性化と充実が図られる。
<管理運営>
① コミュニティ推進協議会が拠点施設として選択した施設については、コミュニティ推
進協議会と協議し、当面の間、土地及び建物を無償貸付とする。
② 将来的に運営が軌道に乗るのを見届けたのち、土地は無償貸付、建物は無償譲渡とす
る。
③ 先行的に建物の無償譲渡が可能な地域について、最初から無償譲渡による移管をする
ことを妨げるものではない。
④ コミュニティ推進協議会は、移管を受けた施設について、施設使用料及び市からの運
営費補助金により施設を維持管理する。
⑤ 将来的には、拠点施設として移管された公民館や老人憩の家等で行われる事業につい
ては、コミュニティ推進協議会が自主的に運営を行うことを基本とするが、専門的なア
ドバイスや情報提供等が必要な場合は、市民協働部を連携の中心として、福祉や生涯学
習などの担当部局が行う。
区 分
23年度
歳入合計 ①
歳出合計 ②
歳入歳出差引
③=①-②
24年度
25年度
26年度
27年度
19,728
19,728
19,200
19,200
19,420
20,020
19,661
19,960
18,956
18,672
0
0
△ 600
△ 299
284
0
500
500
500
400
1,705
1,625
1,025
726
1,010
臨 時 の 財 源対
策④
対 策 後 の 財政
調整基金残高
※ 平成23年度は3月補正後予算額、平成24年度は当初予算額。
臨時の財源対策を実施しなかっ
た場合の財政調整基金残高
区 分
財政調整基金
残高
23年度
1,705
24年度
1,125
25年度
26年度
25
公の施設等のあり方検討会提言内容
1 公の施設の総量抑制
2 アイプラザ移管に伴う対応
3 コミュニティの活性化に向けた対応
4 少子高齢化等社会情勢の変化に対応
5 民間によっても提供できる施設運営からの撤退
6 受益者負担の適正化
△ 774
27年度
△ 890
津島市公共施設再構築のイメージ
コミュニティ活動支援拠点の形成
東コミュニティ推進協議会
(例えば)
ひがし憩の家
西コミュニティ推進協議会
(例えば)
西地域防災コミュ
ニティセンター
世代間交流の促進
生涯学習環境の整備
市は道路等インフラ資産を除いて、延床面積で20万平方メートルという建物を
神守コミュニティ推進協議会
(例えば)
神守公民館
蛭間コミュニティ推進協議会
その他の憩の家
わざ・語り・伝承
の館
蛭間地区コミュ
ニティセンター
南コミュニティ推進協議会
(例えば)
みなみ憩の家
高台寺コミュニティ推進協議会
(例えば)
農業文化センター
北コミュニティ推進協議会
(例えば)
ふじなみ憩の家
神島田コミュニティ推進協議会
(例えば)
労政センター
年齢制限を廃止
し、地域に開かれ
た施設とする。
こども会、生涯学
習、地域防犯、自
主防災会、交通安
全等さまざまな活
動の場として提供
するとともに、世代
間交流を促進する
場としていく。
有しています。
アイプラザ津島
児童科学館
(県から移管を受け、生涯学習
施設面積の約66%を占める学校・公営住宅の施設更新がポイントとなります。
(生涯学習センターに改修)
センターに改修)
児童科学館の改修 アイプラザ津島の
を待って統合 改修後統合
中央公民館
(公民館機能を児童科
学館に統合し、取壊す。
新たな施設を検討。)
神島田公民館
神守公民館
(アイプラザ津島に重複
する機能を統合。
地元の希望が有れば
移管。)
高齢者の生きがいづくり・健康づくり
コミュニティの意思を反映して施設のあり方を検討
複合的福祉施設
神島田祖父母の家の
改修を待って統合 改修 地元移管
現行の施設
高齢者福祉施設
憩の家
9施設
わざ・語り・伝承
の館
社会教育施設
公民館
神守公民館
農業振興施設
老人福祉センター
(統合後は他用途に転
用)
神島田祖父母の家
(市全域を対象とする複
合的福祉施設に改修。)
農業文化センター
神守祖父母の家
(教養娯楽室の機能をアイプ
ラザ津島に統合後廃止。
入浴機能は神島田祖父母の
家で代替。)
子育て支援の充実・強化
勤労福祉施設
労政センター
コミュニティ施設
西地区防災コミュニティセ
ンター
縦割りの施策体系に
基づき、目的別の施設
整備を行い、地域の市
民に集いの場を提供し
てきた。
総合保健福祉センター
(子育て支援機能を拡充し、子育
て支援センターとして整備。)
アイプラザ津島
(1階を改修し、子育て支援センター
として整備。)