2014/09/02

2014 年 9 月 2 日
田中精密工業(7218)
担当 近藤 浩之
レーティング:
NEUTRAL
NEUTRAL(2014/4/30)→
受注量が想定下回り、下振れ懸念。
売上高
伸び率
(百万円)
(%)
連 11/3
38,174
13.1
連 12/3
36,373
-4.7
連 13/3
47,179
29.7
連 14/3
51,648
9.5
連 15/3(予)
47,400
-8.2
第 1 四半期累計期間
連 13/4-6
13,118
19.6
連 14/4-6
11,240
-14.3
株価(2014/9/1)
期末発行済み株式数(14/6 末)
期末自己株式数(14/6 末)
時価総額
企業価値(EV)
ROE(14/3 実績)
予想配当利回り
予想 PER
BPS(14/6 実績)
PBR
CFPS(14/3 実績)
PCFR
EV/EBITDA(14/3 実績)
営業利益
(百万円)
2,169
682
1,874
1,732
2,500
伸び率
(%)
-68.5
174.5
-7.6
44.3
経常利益
(百万円)
2,205
631
1,635
1,549
2,300
伸び率
(%)
-71.4
158.9
-5.3
48.5
純利益
(百万円)
430
235
-11
212
650
伸び率
(%)
-45.3
206.1
EPS
(円)
44.10
24.11
-1.23
21.75
66.59
1 株配
(円)
10.00
8.00
14.00
16.00
16.00
492
175
825
9,763
2
8,055
23,307
1.3
1.9
12.4
1,705.32
0.484
675.9
1.2
4.2
15.9
-64.4
円
千株
千株
百万円
百万円
%
%
倍
円
倍
円
倍
倍
446
139
4.5
-68.8
122
-212
-43.2
-
12.54
-21.80
-
株価チャート(週足)
出所:田中精密工業、ブルームバーグ、今村証券
ホンダ及びその関係会社向けの販売が全売上高の 86.6%(2014 年 3 月
期)を占め、四輪車に搭載するエンジン向けのロッカーアーム ASSY が主
力製品である(資料1、出所:同社ホームページ)。ロッカーアーム ASSY
は、エンジンのバルブ開閉タイミングとバルブのリフト量をエンジンの回
転域に合わせて切り換えるための部品で、同社と日進製作所(非上場)で
供給の大半を担う。
(資料1)
ロッカーアーム ASSY
今期から、複数の商社を経由する取引の連結消去対象を厳密化した。こ
れにより、今第 1 四半期の売上高は 756 百万円、営業益、経常益は 161 百万円減少した。前年同
期をこの会計基準に合わせたものと比較すると、今第 1 四半期は売上高▲9.1%、営業益▲47.1%、
経常益▲51.1%である(資料2、出所:同社決算短信)。減収の要因は「受注減少」、減益要因
は「国内の収益悪化」と「新拠点での赤字拡大」だ。為替は前年同期と比較して大きな変動がな
かった(資料3、出所:ブルームバーグ)。
・ 売上高
ホンダの四輪車生産台数は高水準を維持した(資料4、出所:ホンダ四輪車生産実績)
。国内
は消費増税後の反動減が懸念されていたが、小型車や軽自動車などの新車種の堅調な販売が下支
えした。フィット、ヴェゼルでリコールが発生した影響で生産が遅れ、増税後も多くの受注が残
ったことも大きかった。海外は中国が好調、北米、中国以外のアジアは前年同期比で微減となっ
た。
同社については、国内では小型車や軽自動車向けの受注が少なく、輸出も減少傾向にある。中
国には生産拠点がない。そのため、ホンダの好調を享受できなかった。北米でも同社への恩恵の
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大きい大型車の売上が想定を下回り、タイは減税措置を利用し購入した分の納入の一巡、政情不
安から自動車販売が大きく落ち込んでいることが響いた。
・ 営業利益
米国、タイは原価低減やコスト削減が奏功し、受注減少のなかでも若干の減益にとどめた。
一方で、国内は技術供与の対価である子会社からの受取ロイヤリティーの表示区分を営業外収
益から売上高へ変更したことに伴う影響額(137 百万円)を除くと赤字に転落した。生産拠点の
集約を進めているものの、多品種生産への対応のため生産性が悪化している。また、インド、ベ
トナムにおける新しい生産拠点で赤字計上が続いた。インドは前期第 1 四半期から二輪部品の量
産を開始したが、足元は売上高、利益ともに想定を下回っている。ベトナムは今期第 1 四半期終
盤に二輪部品の納入を開始したばかりで、立ち上げ費用が嵩んだ。
足元の受注量も想定を下回る状況が続いており、収益改善の対策を講じているようだ。ただ、
カバーしきれないと思われる。今村証券では、通期の会社計画以下にとどまるとの期初予想を維
持する。
(資料2) 業績の推移(四半期)
(注1) 15.3 期より、商社経由の取引消去方法を変更した。これに伴い、15.3 期 1Q の「部品製造:国内」の売上高は 756 百
万円減少、営業益は 161 百万円減少、調整額の消去金額は 161 百万円増加。
(注2) 15.3 期より、受取ロイヤリティーの表示区分を営業外収益から売上高へ変更した。これに伴い、15.3 期 1Q の国内の
セグメント利益は 137 百万円増加、調整額の消去金額は 137 百万円増加。
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(資料3) 為替相場の推移(月末)
(注) 米国の子会社の決算日は 3 月末、タイの子会社は 12 月末。
(資料4) ホンダ四輪車生産台数の推移
今後の重点施策は「海外事業の拡大」
、「ホンダ以外への拡販」である。
海外では、現地ニーズの多様化に迅速に対応すべく、現地主導で最適な事業戦略の企画提案が
できるように組織を再編した。メガサプライヤーが部品を組み立ててモジュール化し供給する体
制を構築しているのに対抗し、高付加価値化や低コスト化を進める。
ホンダ以外の自動車メーカーには変速機部品「シンクロナイザーリン
(資料5)
シンクロナイザーリング
グ」を売り込んでいる(資料5、出所:同社ホームページ)。変速をスム
ーズに行うための部品で、従来品より耐摩耗性や、瞬時の切り替えを可能
とするための摩擦力を高めた。提案したメーカーからは好感触を得ている
模様だ。他業種へは生産設備を売り込む。これまでは主に自社で使う設備
を手掛けていたが、外販を拡大する。
もっとも、新型モデル対応のための先行費用が嵩む。ホンダ以外への販売拡大には数年かかる
見込みだ。このことから、2017年3月期の利益は今期見通しより減少する見通しだ(資料6、出
所:同社決算説明資料)。
以上をまとめると、今期利益予想の下振れ、中期での収益圧迫―という2つの懸念材料がある。
この懸念が当面、株価の上値を抑えそうだ。現在のPBRは0.5倍と、直近5年間の平均と同水準
である。投資判断はNEUTRALを継続する(資料7、出所:各社決算短信、有価証券報告書、
決算説明会資料)。
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(資料6) 中期経営計画の業績目標
(資料7) ホンダ系列部品メーカーの業績一覧
7218
JQ
5970
JQ
5989
JQ
7220
東1
7296
東1
7313
東1
(注)
予想配当
予想
株価
売上高
営業利益
経常利益
純利益
EPS
BPS PBR 配当金
伸び率
伸び率 利益率
伸び率 利益率
伸び率 利益率
利回り
PER
(14/9/1) (百万円)
(百万円)
(百万円)
(百万円)
(円)
(円)
(倍)
(円)
(%)
(%) (%)
(%) (%)
(%) (%)
(倍)
(%)
47,179 29.7
1,874 174.5
4.0
1,635 158.9
3.5
-11
- -0.0 -1.23
1,617.29
14.00
田中精密工業
825 51,648
9.5
1,732 -7.6
3.4
1,549 -5.3
3.0
212
0.4 21.75
1,713.28
0.5 16.00
(①24.3%、②86.6%)
47,400 -8.2
2,500 44.3
5.3
2,300 48.5
4.9
650 206.1
1.4 66.59
12.4
16.00
1.9
154,518 14.1 11,392 16.5
7.4 11,815 33.3
7.6
7,537 -45.1
4.9 358.11
3,328.45
34.00
ジーテクト
1,097 181,517 17.5 14,121 23.9
7.8 13,852 17.3
7.6
8,020
6.4
4.4 182.76
2,076.61
0.5 40.00
(①29.7%、②概ね7割)
185,000
1.9 12,400 -12.2
6.7 11,200 -19.2
6.1
7,200 -10.2
3.9 164.06
6.7
22.00
2.0
138,042 17.4
5,595 124.7
4.1
5,624 131.5
4.1
5,081 769.7
3.7 206.77
1,766.03
20.00
エイチワン
750 179,944 30.4
5,318 -4.9
3.0
5,663
0.7
3.1
3,496 -31.2
1.9 136.58
1,897.94
0.4 22.00
(①21.3%、②大半)
191,000
6.1
6,000 12.8
3.1
5,100 -9.9
2.7
2,700 -22.8
1.4 95.10
7.9
22.00
2.9
125,993
0.6
938 -91.0
0.7
2,597 -75.7
2.1
2,529 -42.9
2.0 81.09
1,672.14
40.00
武蔵精密工業
2,342 148,820 18.1
8,567 812.5
5.8
9,623 270.4
6.5
6,827 169.9
4.6 218.86
1,966.01
1.2 44.00
(①26.2%、②71.0%)
160,000
7.5 12,000 40.1
7.5 11,500 19.5
7.2
7,000
2.5
4.4 224.36
10.4
48.00
2.0
126,245
7.8 10,964 -0.8
8.7 13,124 14.2 10.4
7,942
9.2
6.3 158.26
1,780.34
36.00
エフ・シー・シー
1,800 144,890 14.8 13,639 24.4
9.4 16,115 22.8 11.1 13,148 65.5
9.1 261.99
2,075.83
0.9 40.00
(①20.7%、②約62%)
148,000
2.1 11,500 -15.7
7.8 12,000 -25.5
8.1
6,500 -50.6
4.4 129.51
13.9
40.00
2.2
359,331 17.6 24,219 157.6
6.7 27,209 149.0
7.6 15,741 234.0
4.4 231.50
1,808.75
34.00
テイ・エス テック
2,811 457,053 27.2 39,133 61.6
8.6 42,937 57.8
9.4 23,900 51.8
5.2 351.49
2,229.53
1.3 54.00
(①22.6%、②93.1%)
438,000 -4.2 37,500 -4.2
8.6 40,000 -6.8
9.1 22,700 -5.0
5.2 333.83
8.4
60.00
2.1
ホンダの出資比率が20%台(2014年3月期末時点)、かつ、ホンダグループへの販売額が連結売上高の50%を超える(同)主な企業の一覧。
銘柄欄…①発行済株式総数に対するホンダの所有株式数割合、②連結売上高に占めるホンダグループ向けの販売額。
業績欄…上段:2013年3月期実績、中段:2014年3月期実績、下段:2015年3月期見通し。
ジーテクト…平成26年4月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を実施。14年3月期のEPS・BPSは当期首に分割が行われたと仮定して算定。配当金は分割前の実際の金額。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明
本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解
を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬
も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。
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---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義
O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。
N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場
合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様
への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券売買に関する申込または勧誘を意図するものではなく、お
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すようお願い申し上げます。
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ませんし、お客様が本資料に依拠した結果としてお客様が被った損害または損失については一切責任を負いません。ま
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当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社
および関係会社は、本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買い
または売りのポジションを有している場合があり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係
会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘
を行う場合があります。
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価の変化、金利・為替の変動などにより、投資元本を割り込むリスクがあります。
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