【NT14-07】 DONETハイドロフォンの校正

DONET ハイドロフォンの校正
西田 周平,川口 勝義(海洋研究開発機構)
○今泉 智人,赤松 友成(水産総合研究センター)
現在,科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業「海洋生物の遠隔的種判別手法の開発」プロジ
ェクトにおいて,海洋研究開発機構では海底地震総合観測システムや DONET1 のハイドロフォンによ
る定点型音響観測から得られたデータの提供を行っている.このプロジェクトでは,音響データから
の生物鳴音抽出を行い,年単位の海洋生物動態を明らかにすることを目標としている.海洋研究開発
機構で現在整備を進めている観測システムの主目的は地震活動や津波のモニタリングであるが,これ
らのデータが海洋生物のモニタリングにも応用できることを実証することを目指している.
本研究では,DONET1 ハイドロフォンを用いた生物音響データ計測能力の評価データ取得のため,
自己記録式の生物音響観測用広帯域録音機(AUSOMS)を DONET1 観測点近傍に設置する計画を
NT14-13 航海(2014 年 4 月 22~29 日)において行い,計測データの比較検討を実施した.AUSOMS
の設置位置は,AUSOMS と DONET1 ハイドロフォンの両者で同じ音源が捉えられるように,
DONET1A-1 観測点から約 10m 離した位置とし(図 1),両者のハイドロフォンで同位置同時計測を行
った.回収された音響データの内,特にイベントのない背景雑音に対して周波数解析を実施し比較し
た結果,図 2 に示した様に数 Hz から 80Hz の帯域においてスペクトログラムは相似な形状をしている
ことが確認された.したがって,数 Hz から 80Hz の帯域において DONET1 のハイドロフォンは,生物
音響観測に用いられるハイドロフォンと比較して同等の性能を持っていることが確認できた.また,
今回収録された音響データの中には地震イベント以外のものも含まれており,生物由来のものがある
かどうかについて今後調査を進める予定である.
図 2 AUSOMS と DONET1 ハイドロフォンの較正結果
図 1 観測点 A-1 における AUSOMS の設置位置関係