DONET・南海長期孔内観測システムと制御震源を用いた 地殻構造時系列観測の試み ○荒木英一郎(海洋研究開発機構) ・木村俊則・小平秀一・三浦誠一・高江洲盛史・高橋成実・中野 優・ 金田義行 東南海地震震源域とその周辺に展開を進めている DONET 海底地震津波観測ネットワークと南海長 期孔内観測システムは、DONET が 2011 年 7 月には 20 点が稼働開始、孔内が計画のうち IODP C0002G 孔に設置された観測システムが 2013 年 2 月から DONET へ接続され連続観測を開始している。今回、 これらの観測点の周囲で、船舶からエアガンによる制御震源発振を行い、信号を DONET および孔内 で受信・解析することによって、観測網のデータ品質管理に資すること、地震波速度異方性など観測 網の下のプレート境界域における地殻構造の詳細な解析を行うこと、今後繰り返し同一点での発振を 行うことによって地域の地殻構造の時間変化を検出分析することを狙いとした観測を実施したので報 告する。 今年度 2013 年 11 月 7 日から 15 日にかけて実施された JAMSTEC かいれい KR13-17 航海において、 チューンドエアガンアレイを DONET20 点および孔内 1 点の周囲で発振した。発振測線は、図 1 の通 り、DONET および孔内観測点を中心とする半径 3km および 10km の円上および3本の観測点の直上を 通過する測線を実施した。円シューティング測線は、観測点方位や表層地盤応答の分析と堆積層およ びその下の地殻の地震波速度異方性解析を目的とし、直線測線は、従来の地殻構造探査実験との比較 や、円シューティング測線でのフェーズ同定のリファレンスとすることを目的とした。 エアガン発振の開始前と終了後に船舶から投入したハイドロフォンによるエアガン波形の観測を実 施し、エアガン波形の参照波形を取得するようにした。また、円シューティングは、来年度以降同一 地点で発振することを目標としたため、エアガン発振位置をサークルの同一地点で発振ができるよう に操船をお願いしたほか、一部の測線ではサークルを2周することによって発振点の位置変化に伴う 記象への影響の評価を試みたが、観測点からの距離がかなり良好に均等な発振が行えたと考えている。 記録は、図 2 の例に示す通り良好なものが得られた。観測点近傍半径 1km 以内ではエアガン発振が 強力なため、DONET では広帯域地震計の一部が飽和したが、強震計での記録は良好であった。 今後データを分析するが、来年度以降も繰り返し同一測線の発振を行うことによって、プレート境 界域の応力変化その他の要因に伴う地殻構造変化の検出を試みる予定である。 図1 KR13-17 航海での DONET および南海長期孔内観測システム C0002G 点周辺でのエアガン発振測線実績 図 2 南海長期孔内観測システム C0002G 点で得られた上下動記録例(NS1 測線)
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