問題19 円管内定常流れ(Hagen-Poiseuille流れ)
水道局から家庭まで円管を通って水が供給されている。もちろん,水道局側である程度の圧力をかけている
おかげで,離れた場所の蛇口をひねっても水が出る仕組みになっている。水道管は固定されていて,内壁に
接触している流体要素はやはり静止している。ということは,内壁に接触していない流体要素はある程度の
速度で内壁表面の位置での速度勾配はニュートンの式により壁面にせん断力(摩擦力)を与えることにな
る。水道局はこの力によって減少する圧力(圧力損失)を考慮した上で,供給元の水圧を設定しいている。
r
では,その摩擦力を知るためにも円管内の流れの分布,軸方向の
vz
流速の半径方向の分布を求めよう。
流体の速度分布を知りたい → 運動の式 €
z
R
ΔP
円管内,中心軸に対して軸対象 → 円筒座標
L
€
€
座標の設定は右図の通り, 知りたいのはz方向の流速 → z成分
€
1 ∂  ∂v z  1 ∂ 2v z€ ∂ 2v z 
∂v z
∂v z vθ ∂v z
∂v z
F
1 ∂P
+ vr
+
+ vz
= ν
+ z
基礎方程式
 r  + 2 2 €+ 2  −
∂t
∂r
r ∂θ
∂z
∂z 
ρ ∂z
ρ
 r ∂r  ∂r  r ∂θ
∂
∂
∂
=0
= 0 軸方向には十分長く流れて →
= 0 軸対称 →
簡単化 定常状態 →
いて,変化しなくなっている
∂z
∂θ
∂t
v
=
v
=
0
流速はz成分のみ →
r
θ
€
特に問題で指摘されてい
→ Fz = 0
∂P
−ΔP
ないので外力は考えない
圧力勾配は問題で →
=
与えられている
∂z
L
解くべき式
この段階で1変数のみ
の微分になっており,
ではなくdを使う
1 d ! dvz $ 1 ΔP
ν
=0
#r & +
"
%
r dr dr ρ L
(軸対象で定常)
1 d ! dvz $ 1 ΔP
#r & = −
r dr " dr % µ L
→
境界条件
(粘着条件)
d ! dvz $ 1 ΔP
r
r を両辺にかけて
#r & = −
dr " dr % µ L
dvz
1 ΔP 2
=−
r + A r で割って
積分して r
dr
2µ L
dvz
ΔP
=−
r
dr
2µ L
さらに積分する
ΔP 2 2
vz =
(R − r )
4µ L
µ
ρ
∂vz
= 0 at r = 0
∂r
①
vz = 0 at r = R
②
ΔP 2
r +B
4µ L
境界条件①より
z
R
流速分布
r=0
R
vz
L
€
€
P2
ΔP 2
R
4µ L
大となり,そこを頂点と
vz
す放物線の分布になる。
dvz
dr
解を検証する:壁面に作用する力,圧力差を作用反作用で考える
流体が壁に摩擦力を作用させているの
で流体は反作用の抵抗力を受けている
A=0
中心軸の位置で流速が最
vz
€
B=
境界条件②より
R
P1
なので.もう少し
簡単にしておく
dvz
1 ΔP A
=−
r+
dr
2µ L
r
円管
式を整理する
解
vz = −
ν=
τ = −µ
作用面の面積 2π RLτ = π R 2 ΔP
をかけて
図の円柱部分の流
2
2
体に作用する圧力 π R (P1 − P2 ) = π R ΔP
=−
RΔP
2µ L
=
RΔP
2L
r=R
dvz
dr
r=R
円柱部分の流体に作用す
る力は釣り合っている
検証できた!