重力カシミール効果

重力カシミール効果
2015/04/09 安東研輪講
桑原祐也
紹介する論文
James Quach: 物性研 押川研の研究員
3/13に話を聞きに行ってきました
概要
2枚の超伝導体の板
Heisenberg-Coulomb (HC) 効果
重力場による
カシミール力
Wikipedia
>
電磁場による
カシミール力
重力が量子化されていることの証明
HC 効果の証明
電磁場の零点エネルギー
Ø  電磁場のとあるモードのエネルギー
!
1$
Ek = !ω k # nk + &
"
2%
1
零点エネルギー !ω k
2
Ø  零点エネルギーをモードについて総和
1
E0 = ∑ !ω k
k 2
→ 発散 ただし定数なので普通は関係ない
カシミール効果
金属の平行平板を狭い間隔で置いた場合
○
○
Ø  外側
どのモードも許される
→ E0 =
∫
1
!ω k dk
2
境界条件
E=0
○
断面積 S
a
Ø  平行平板の内側
許されるモードに制限 (量子化)
1
→ E0 = ∑ !ω k
k 2
カシミール効果
金属の平行平板を狭い間隔で置いた場合
○
○
無限大の零点エネルギーの差
E(a) =
∫
1
1
!ω k −∑ !ω k
2
k 2
→ 有限の引力: カシミール力
○
境界条件
E=0
断面積 S
a
F(a) = ∂E(a) / ∂a
2
π !c
F(a) / S =
4
240 a
カシミール効果の検証
5% の精度で理論と一致
ねじれ振り子
ここの間にはたらく力を測定
1umで10-7 Nぐらい
残差
重力でも同様に
電磁場に限らず,量子化された場があれば
対応するカシミール効果が存在
重力場が量子化されていれば … 重力カシミール効果
なにか重力波を反射する板
Maxwell-like equations
線形化したEinstein方程式
κ=
8π G (リーマンテンソル ­ リッチテンソル)
c4
境界条件
許されるモードが決まる
!
+
×
E0 = ∑
(ω k + ω k )
k 4π
零点エネルギーの差
!
!
+
×
E(a) = ∫
(ω k + ω k )dk − ∑
(ω k+ + ω k× )
4π
k 4π
!
2 −2qa
2 −2qa
=
[ln(1−
r
e
)
+
ln(1−
r
)]i dω
∫
+
×e
4π
反射率 r に依存
問題
重力カシミール効果は小さすぎる
← 普通の物質は重力波をほとんど透過させる
(r が非常に小さい)
密度 10g/cm3,の2枚の板を距離 1umに置いた場合
→ 重力カシミール力 = 10-30 Pa
測定するには小さすぎる
Heisenberg-Coulomb (HC) 効果
Ø  重力波の反射率をエンハンスする効果
e2
42
= 4 ×10
→ 重力と電磁力の比程度
2
4πε 0Gme
Ø  超伝導体のクーパー対が等価原理を破る運動をする
Ø  重力カシミール力が電磁場のカシミール力より大きくなる
1umで10-3 Pa
(弱い)等価原理
= 重力によって生じる加速度は物質の種類に依存しない
= 慣性質量と重力質量は同じ
運動方程式
重力
ma = F
Fg = mg ag
慣性質量
重力質量
重力加速度
m = mg , a = ag
重力による粒子の運動
-
重力波
+
-
原子核
電子
粒子は測地線に沿って進む
超伝導体中のクーパー対の運動
反射
+
-
重力波
非局在化
-
-
クーロン力
原子核
測地線に沿って進む
クーパー対
BCS gap 周波数(~ 0.5 THz: Pb)
以下の重力波では動かない
なんで?
HC効果 (Minter, et al) の主張
•  測地線(古典論): 位置が確定していることが前提
波束の収縮,デコヒーレンス
+
-
等価原理はデコヒーレンス後のみ有効
•  エンタングルした量子状態(非局在化)
: 等価原理を破っていてもよい(らしい)
-
-
超伝導薄膜
(ω < ω BCS )
HC効果を入れた場合
2
コヒーレンス長 λ (=83nm)
表皮深さ δ (=37nm)
−1
" 2δ
λ%
rE = $1+
iω × '
cd
d&
#
2
厚さをコヒーレンス長より短くすれば
| rG |>| rE |
厚さ d (2nm)
−1
! 2δ
$
rG = #1+
iω &
cd %
"
3つの特徴的な長さ
(Pbを用いた場合)
HC 効果によるエンハンス
超伝導体として厚さ2nmのPbを用いた場合
超伝導体中の電磁場による
カシミール力よりも
1桁大きくなる
常伝導での
電磁場によるカシミール力
(超伝導とはどうも異なるよう)
超伝導での電磁場による
カシミール力
実験(1)
フランスの超伝導のグループがやろうとしているらしい実験
柏で聞いただけなので詳しくは知りません
まともなグループなのかどうかが気になるが聞かなかった
超伝導体
絶縁体
超伝導体
これの弾性変形を測定
ただし感度が2桁足りないそう
どうするんだろう・・・?
実験(2)
我々がやるとしたら…
→ 共振型重力波検出器
インパクト
Ø  重力カシミール効果が観測された場合
- 重力が量子化されていることの証明
- HC 効果の証明
- すごい
Ø  観測されなかった場合
- HC 効果が棄却される
- (もしくは重力は量子化されていない)
- ある怪しい理論を1つ棄却しただけになってしまう
別のパラメータへの制限
Ø  逆二乗則の検証
α-λプロット
Ø  等価原理の検証
超伝導体中のクーパー対が
等価原理を破らないため
→ 本当に検証になるのかは
よくわからない
J. Murata+, 2014
まとめ
Ø  超伝導薄膜を用いることで重力カシミール効果の
検証が可能
→ 重力の量子化,グラビトンの証明
Ø  ハイゼンベルグ ‒ クーロン効果
Ø  見えなかったときにインパクトが弱い
→ 逆二乗則の検証,等価原理の検証にも