ギフテッド・教育セミナーの開催にあたって ギフテッド (Gifted)は先天的に平均よりも顕著に高い能力を持っている才能あるいは人 のことである。 我が国では、英才児などと訳されるが「飛び級できるような賢い子」という一面でしか捉 えられていない。 割合は、全体の2~3%の割合(偏差値 2SD 以上)存在するので、クラスに一人いること になる。 早期教育をおこなっても、ギフテッドに成長するようなことはない。ギフテッドは常に多 様な知的刺激を切望して満たし、興味ある分野を自分の好む学習方法で極めて深く掘り下 げ探求する傾向がある。 結果的に学んだ分野に関しては、高いレベルに到達することが多い。 昔は、IQ130(2SD)以上を基準としてきたが、現在では徐々に IQ だけでは知ることが できないと考えられるようになってきている。 【症例】 S くんは、4才でひらがな、かたかな、そうして漢字も読めるようになり、自分で興味のあ る事柄、である宇宙について図鑑、ネットを通して学びはじめ、恐竜の名前を全て記憶し ているだけでなく、惑星間の距離も知っている。 3 歳の T くんは、韓国の修学旅行の時に沈んだ船がなぜ、どのように沈んだのか、どうした ら防げたのかを母に議論を持ちかけている。 いわゆる「ギフテッド・チャイルド(Gifted child)」と呼ばれる子どもたちだ。 好奇心が旺盛で話し方が他の子と違う。驚くほどの記憶力を持ち、同年齢の児童と比べる と、彼らの理解力はまるで大人のようだ。しかし、満足する答えが得られなければ、相手 に対して暴力を振るい、大声で叫びだしてしまう。小学校に行くとどうなるのだろうと、 療育センターに相談し、どんぐり受診となった。 【行動特徴】 学習内容が本人の能力や興味とかけはなれているため、あまりに簡単すぎたり、理論的に 納得できない説明であるため課題に集中できない、周囲の誤解や批判を得るような反社会 的な行動をとる。 課業に集中できなかったり、話題と外れてしまうことがある。興味のあること以外のこと をやりたがらない。飽きっぽい。クラスを乱す行動をとる。繰り返しや暗誦することに、 非常な抵抗感を示す課題をさっさとこなすが、やり方が雑である。やり過ぎて、自分を消 耗させてしまう。批判をうまく受け止められない。グループ協同作業がうまくできない。 権威のある人に批判的な態度をとる。自己、他者に対して批判的である。また完璧主義で ある。議論の中で、自分の主張を通そうとする。 クラスの道化師になったり、ジョークに対して大げさに反応する。ギフテッドの思考パタ ーン(論理性、認知方略)や、感性の豊かさ、完璧主義傾向などにより、教師と同級生な どと適応しながら学習を進めていくことが難しい。 このような行動が積み重なり、授業を拒否し、学業成績に支障が出、集団から孤立するこ ともある。周囲に同化しようとするあまり、意図的に能力以下の成績を修めようとするこ とも指摘されている。結果としてこれらの要因が気分的うつやストレスを生み出す。 結果としての不適応、不登校、ひきこもりなどにつながっていく。 この段階で、クリニック受診となる。 クリニックだけで扱う問題であろうか。教育と医療が連携して取り組まなくてはならない。 そのために今回の学際的なセミナーを企画しました。
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