疲労改善による慢性疾患の予防と改善 (疲労研究概要) 大阪市立大学大学院医学研究科 福田早苗 疲労研究の概略 疲労克服が疾病予防につながる 日本人の6割が疲れている 乳がん患者で術後、疲労度の高い患者の方が再発率が 高い(Groenvold, et al. 2007) - 2004 年 疲れていますか? 文部科学省研究班 - 高齢者で疲労していると答える人の方が、その後の余命 が短い(Hardy & Studenski, 2008) 就労人口 8,000 8,000万人中 万人中 はい (56 %) いいえ(44%) 勤労者で疲労を訴える人は、その後の欠勤率やうつ病発生率 が高い(Janssen, et al., 2003) 4,480万人 6 ヶ月未満 6 ヶ月以上 (16 %) (39 %) 3,120万人 休職・退職 (1.2 %) 期間は? 日常生活 疲労がその後予後不良や、パフォーマンスの低下、疾病発症を 予測するという報告が見られる 支障なし(55 %) 能力の低下(37 %) 疲労と不登校 しばしば・時に休む(7.4 %) 病気 過労(42 %) 原因不明(38 %) (19 %) 慢性疲労の原因 Predictor variables Gender B 0.62 Grade -0.001 Sleeping hours (T1) A :Fatigue score at T1 OR 95%CI 1.86 0.71-4.88 1.00 0.71-1.55 The incidence of school absenteeism tendency at T3 B : Fatigue score at T2 C :δFatigue score (T1-T2) B OR 95%CI P B OR 95%CI P 1.06 2.88 1.03-8.01 0.02 0.09 1.09 0.46-2.59 0.84 P 0.21 0.97 0.14 1.15 0.76-1.74 0.35 0.36 1.44 1.07-1.93 0.02 -0.12 0.89 0.70-1.12 0.30 Sleeping hours (T2) 疲労の統計(大阪地区:2,742 人回答) Sleep problems (T1) Sleep problems (T2) Physical activity (T1) Physical activity (T2) Fatigue (A, B or C) 疲労の原因 0.03 1.03 0.98-1.09 0.21 -0.13 0.88 0.60-1.29 0.50 0.15 1.17 0.82-1.66 0.40 0.19 1.21 0.94-1.56 -0.05 0.95 0.77-1.18 0.66 0.09 1.10 1.04-1.16 <0.001 -0.02 0.99 0.68-1.43 0.94 0.08 1.09 0.74-1.60 0.67 0.30 1.35 1.05-1.74 0.02 0.14 -0.13 0.88 0.70-1.10 0.27 -0.07 0.93 0.89-0.98 0.009 OR = Odds ratio, CI = Confidence interval T1:the initial assessment, T2:the assessment 12 months after T1, and T3: the assessment 24 months after T1 School absenteeism tendency: yes = 1and no = 0. (Now submission) 6ヶ月以上 39% 38% (14.8%) 原因不明の疲労 42% (16.4%) 過労 19% (7.4%) 病気が原因の疲労 2006年12月 2007年12月 2008年12月 疲労得点高い 睡眠問題多い 不登校傾向↑↑ 疲労得点上昇 腎疾患 身体疾患(透析患者)の疲労と予後 糖尿病 3.4% 20.0% 疲労総得点の度数分布 旧厚生省研究班(1999) 自律神経症状と心血管イベント 疲労感 疲労を測定するとは? 累積イベントフリー率 慢性疲労症候群 認知テスト なんとなく忘れやすいなあ いつもより理解が悪いなあ 集中できない なんとなく憂鬱だ イライラする やる気がおきない 口が渇く 喉が痛い 血液等 酸化ストレスの発生 食欲がない 下痢や便秘 腹痛 脳でのアラーム検出機能の低下 脳機能測定 自律神経機能の乱れに伴う症状 副交感神経 容積脈波 dt 2 c 1.0 加速度脈波 d b 1.2 1.4 縮小 ドライアイ 涙腺 口が渇く 唾液線 気管支拡張 気管支収 肺 縮 動悸・血行不良 拍動抑制 拍動促進 血管拡張 血管収縮 排出機構の低下 心臓 d2y a 0.8 瞳孔 拡大 aa間隔 0.6 副腎 1.6 0 10 20 30 0 追跡期間(月) 10 20 30 Yes: 健常者平均+ 2SD 以上 N No: 健常者 2SD未満 健常者+ メタボリック症候群予備群の疲労と予後 メタボリック症候群予備群につながりやすい 生活習慣の数が多い程、疲労得点が高い! 140 交感神経 0.4 症状あり 0.8 P=0.072 (log rank) (Koyama, Fukuda et al. CAJN in press) 脳での過剰な検出 自律神経機能を測定する 0.2 症状あり 血液等 疲労測定の見える化の例 0.0 症状な し 0.9 0.8 P=0.24 (log rank) 血液等 (毒素排出機能の過剰反応?) 質問票・問診・自律神経機能測定 加速度脈波 症状な し 慢性疲労 なんだか身体に 力が入らない 身体が痛い 関節痛がある 冷え 血流・血行 腎不全 10 1.0 0.9 血液等 炎症反応 免疫機能の低下 めまいがする 光がまぶしい 立ちくらみがある 血液等 ドライアイ エネルギー産生機能の低下 吐気・嘔吐 抗酸化機能 の低下 血液等 細胞修復機能の低下 血液等 胃がおもい ホメオスタシ スが崩れる 1.8 腎臓 胃の不調 肝臓 2.0 TIME [sec] はたらき抑制 短時間の計測で評価可能 ⇒2分間 非侵襲的⇒無痛 簡便⇒指先を載せるだけ 汎用性⇒前額部、耳朶も可 胃 蠕動促進 腸の不調・便秘・下痢 腸 頻尿 収縮促進 蠕動抑制 (アルテッドC、ユメディカ株式会社) 拡大促進 はたらき促 進 CISによる疲 疲労得点 睡眠計・活動量計 眠れない よく目が覚める 頭痛がする 朝すっきりしない 自律神経症状 10 1.0 健常人 120 100 80 60 40 メタボリック症候群につながりやすい生活習慣 20 0 0 1 2 3 4 5 6 メタボリック症候群につながりやすい生活習慣の数 F=6.90, P <0.001 1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施して いますか? 日常生活において歩行又は同等の身体活動(運動と生活活動を併 せたもの)を1日1時間以上実施していますか? 同世代の同性と比較して歩く速度が速いと思いますか? 現在一人暮らしですか? 食べる速度は人と比べてどうですか? BMI25以上かどうか ○疲労測定ツール開発 ○データバンク開発 膀胱 産学連携展開可能事例1: ○予測システム開発 疲労改善による慢性疾患の予防と改善 (食と疲労に関する研究概要) 大阪市立大学大学院医学研究科 福田早苗 疲れと食事 疲労発見・早期回復⇒疾患予防 疲労回復効果 一般成人の食と疲労の関係 食態度得点 運動健康得点 12 10 8 6 4 2 0 平均以下 <1SD <2SD 2SD以上 疲労度 F=22.6 , P<0.001 食行動得点 平均以下 <1SD <2SD 2SD以上 16 14 12 10 8 6 4 2 0 平均以下 <1SD 155 63 30 14 <2SD 疲労度 18 16 14 12 10 8 6 4 20 平均以下 <1SD <2SD 2SD以上 以上 疲労度 F=4.41 , P=0.005 食意識得点 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 平均以下 <1SD 夜遅く食べる 画像イメージ ング 食べ過ぎ 一人で食べる 企業・ 団体 生産性の向上、危機管理、 コスト削減 医療費削減、歳入の増加 疲労見えるか(測定)⇒発見・気づき⇒効果的改善方法 提案⇒疾病予防・QOL向上システム構築 ・検証試験の実施 脂肪エネルギー比率(20歳以上) 外食・市販弁当が多い QOLの向上、健康増進、 疾病予防、報酬の向上 国 <2SD 2SD以上 2SD 疲労度 F=1.71,, P =0.17 2SD以上 2SD F=3.94 , P=0.009 個人 可視化 バイオマーカー 評価開発学 主観的訴え 痛み 不安 疲れ 健康 出典:平成19年国民健康・栄養調査結果 の概要(厚生労働省) 朝は食べない 予兆診断 未病領域 発症前診断 発症 健康増進 集団形成と追跡可能なシステム構築 人材 場所 資金 食・運動 機器 その他 開発 疲労回復関連機器 研究 眠るためにアルコール 健康科学 エビデンス化 疲労⇔食双方に係る問題 ホメオスタシスが崩れる 疲れると体内で何が起こる? 代謝拡大図 産学連携展開可能事例3: 酸化ストレスの発生 細胞修復機能の低下 免疫機能の低下 抗酸化機能の低下 ○上記システム構築 ○上記システムに基づく検証試験 炎症反応 ○上記システムの経済効果算出 エネルギー産生機能の低下 (毒素排出機能の過剰反応?) ○上記システムの実証フィールド提供 脳でのアラーム検出機能の低下 脳での過剰な検出 自律神経の調節不足 イミダゾール ジペプチド 研究から分かった疲労に効果のある可能性が高い成分 食 品 成 分 表 に 掲 載 イミダゾール ジペプチド 産学連携展開可能事例2: 食品 成分 表に 非掲 載 ○実際の食事での疲労回復効果 検証試験 ○抗疲労食選択装置開発 ○抗疲労成分検索システム開発 ○食事から抗疲労成分摂取量を 推定する方法開発 展開可能と想定される企業 ○食品業界全般 ○計測機器 ○システム開発 ○電機 ○情報 ○バイオ ○健康診断 ○病院 等
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