相続税調査の傾向は?-2014事務年度調査事績より

相続税調査の傾向は?-2014事務年度調査事績より
●相も変わらず8割強で問題あり!
●無申告には厳しく調査!
2014事務年度(2014年7月から2015
年6月まで)の1年間に実施された相続税の
調査状況が発表になりました。
実地調査の件数は1万2,406件、このうち申告もれ
等の問題があったのは8割強の1万151件で、3,296
億円の申告もれが発見され、加算税87億円を含めて
670億円が追徴課税されました。
2002事務年度以降、申告もれの割合は8割を下
回ったことはなく、高い水準で推移してしているこ
とが覗えます。
相続税がかかるのに知らん顔を決め込んでいた無
申 告 者 に つ い て は 868 件 の 調 査 が 行 わ れ、そ の
76.2%で876億円の申告もれが見つかっています。
1件あたりの申告もれは1億円を超えていて全体
平均(2,657万円)の約3.8倍もの金額に上り、無申告
者がターゲットにされる理由もうなずけます。
●海外資産関連の調査件数は過去最高!
海外資産関連の調査件数は、847件と
前年件数を約100件ほど上回り、とりま
とめ以降最多となっています。申告もれは
45億円と前年対比72%減でした。申告も
れ金額の大幅な減少の背景には“国外財産調書制度
の創設”などの法整備や国税庁の“海外資産関連事
案も積極的に調査をする”というアナウンス効果と
いう意見も!とはいえ、海外投資などの普及を背景
にますます調査の重点が置かれる分野になることは
間違いないようです。
◆マイナンバーで財産は筒抜け!
税務署はあらゆる機会を捉えて大口資
産家などの資産状況に関する資料情報を
収集・蓄積し、調査時に活用しています。独りよがり
の判断で「財産も少ないから申告しなくても・・・。」
と考えているとあとでとんでもない“しっぺ返し”
にあうことに!
今年から運用となったマイナンバー制度が普及す
れば、いろいろな財産が税務署で補足できる仕組み
となる可能性が強く、税務署の方が本人より資産状
況をよく知っているということになりかねません。
●税務調査のおおまかな流れは!?
●海外資産はこうして見つかった!?
税務署:国外送金等調書から被相続人が海外金融機
関に多額の送金をしていた事実を把握して
いた。
相続人:送金額に見合う海外財産のない申告書を提
出。海外財産については“しらを切る”つも
りだった。
税務署:調査着手後、海外税務当局に対し、租税条約
等に基づく情報交換を要請し、被相続人が
海外金融機関に多額の金融資産を有してい
た事実を確認。
相続人:被相続人の死後、相続人が海外資産を動か
していたことまでも把握されて多額の追徴
課税が・・・。
NEWS RELEASE 2016.1
余程のことがない限り、事前に納税者か税理士あ
て電話連絡が入り、調査日程が決まると、被相続人の
自宅へ調査官がやってきます。人数は通常2人、通常
10時に開始し、昼休みに中断、1時ごろ再開して夕
方5時ごろには終了となります。
午前中は相続人へ質問して話を聞き、午後は通帳、
印鑑、その他の書類の確認作業になります。
調査官は下記のような質問で申告もれの有無を
チェックします。税理士でなく相続人に質問します
から、準備しておきたいものです。
◆主な質問事項◆
被相続人の経歴、収入状況と財産の形成過程
(父母などからの相続財産の有無など)
被相続人の性格、趣味
生前の健康状態や死亡原因、入院時期と期間
親族関係の確認
生前の現金・預金の管理の実態
相続人の収入・財産状況、取引金融機関
毎月の生活費の概算額とそれを引き出す銀行口座
相続直前の主な支出の有無とその内容
通帳、権利書、印鑑等の重要書類等の保管場所
貸し金庫の有無
遺産分割協議の状況
相続税の納税資金の原資
Copyright© EIWA Consulting, Inc. All Rights Reserved