エンジェル会便り(労務)「平成27年1月号」

平成 27 年 1 月号
労働保険事務組合
エンジェル会だより
会
長
特定社会保険労務士
森戸
北野
常雅
栄喜
〒730-0017 広島市中区鉄砲町 7 番 8 号
ホームページ:
http: //www.m-cg.co.jp
1月の事務カレンダー
13 日
○源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付【郵便局または銀行】
○雇用保険被保険者資格取得届の提出【公共職業安定所】
20 日
○特例による源泉徴収税額の納付<前年7月~12 月分>【郵便局または銀行】
2月2日
○法人税の申告と納税(11 月決算法人及び 5 月決算法人の中間申告)【税務署】
○健保・厚生年金保険料の納付【郵便局または銀行】
○法定調書<源泉徴収票・報酬等支払調書・配当剰余金調書・同合計表>の提出【税務署】
○給与支払報告書の提出<平成 27 年 1 月 1 日現在のもの>【市区町村】
○固定資産税の償却資産に関する申告【市区町村】
○個人の道府県民税・市町村民税の納付<第4期分>【郵便局または銀行】
感染症と休業手当について
毎年この季節になると、インフルエンザやノロウィルスなどの感染症が流行しますが、感染
症にかかった社員を出勤停止命令により就業を禁止した場合、この社員には事業主都合によ
る休業手当(平均賃金の 100 分の 60 以上)を支払わなくてはいけないのでしょうか?
感染症にかかった場合、一般的には社員が自主的に年次有給休暇を使って休んだり、欠勤と
なりますが、稀に、体調不良で休むべきところ無理して出社しようとする社員もいます。
この場合、会社は社員に対して、休業手当を支払わないで出勤停止命令により休ませること
はできるのかどうかが問題となります。
労働安全衛生規則第 61 条では、次の①から③に該当する対象者の就業を禁止してい
ます。
①
病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者
②
心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるもの
にかかった者
③
前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかった者
※①~③で就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門の医師
の意見を聞かなければなりません。
感染症予防法では、新型インフルエンザや細菌性赤痢などの感染症ごとに、一定の
業務に就かせることを禁止しています。このように法律で就業が禁止されている場合、
会社は感染者に対し休業を指示しなくてはならず、賃金や休業手当の支払いは不要で
す。
しかし、季節性のインフルエンザやノロウィルスは就業禁止にあたる感染症ではな
いため、会社から本人に休業を強制する場合には、「使用者の責に帰すべき事由によ
る休業」となり、休業手当として平均賃金の6割以上を支払う必要がありますので、注
意が必要です。
○労働契約法第 5 条(安全配慮義務)との関係について
労働契約法第5条では、会社に対して従業員の生命及び健康等を危険から保護する
よう配慮すべき義務(安全配慮義務)を求めています。
感染症にかかった従業員が出社することによって、他の従業員に感染し業務ができ
なくなった場合、会社は安全配慮義務を怠ったということにもなりかねません。
そこで、感染症にかかった従業員を休業させるためには、就業規則によるルール整
備をしておくことが求められます。