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徳川美術館
第4展示室 武 家 の 式 楽
- 能 -
平成28年1月5日(火)~4月17日(日)
A:1月5日(火)~2月9日(火)/B:2月10日(水)~3月15日(火)/C:3月16日(水)~4月17日(日)
さるがく
足利将軍家は、猿楽=能を庇護し、高度に洗練された舞台芸能に育てあげた。大名たちに
も大いにもてはやされ、公式行事に演能は欠かせぬものとなった。江戸幕府もこの伝統を承
ぶ が く
く
げ
しきがく
け、舞楽が公家の式楽であったのに対して、能を武家の式楽と定めた。
け い じ
御殿の広間の前庭には能舞台が設けられており、慶事や公式行事の際には必ず能が演じら
うたげ
れ、それを見ながら宴は進められた。そのため大名家には能役者が召抱えられ、各種の曲目
しょうぞく
に応じられるように、いろいろな装束・能狂言面・小道具が備えられていた。
うたいぞ
正月二日(後に三日)には幕府で「謡初め」が行なわれ、大名家でも年中行事とされた。大
名自身も謡い、時には自ら舞うことも必須の教養とされていた。
№
作品名
作者・所用者・寄贈者等
時代
世紀
期間
1
能面 白式尉
伝元休満総作
江戸
18
A
2
能面 黒式尉
江戸
17-18
A
3
能面 孫次郎
江戸
18
B
4
能面 鷹
室町
16
B
5
能面 萬眉
江戸
18
C
6
能面 大癋見
江戸
17
C
7
腰替梅花文肩衣
江戸
19
A
8
黒花色檜垣文肩衣
江戸
19
A
9
能管
江戸
17-18
BC
江戸
19
BC
指定
伝出目満茂作
10
木目蒔絵小鼓
11
葡萄蒔絵大鼓
江戸
18-19
BC
12
若松・鶴蒔絵太鼓
江戸
19
BC
13
松竹鶴亀図中啓
江戸
18-19
A
14
鈴
江戸
19
A
15
松に鶴・竹に亀図中啓
江戸
18-19
B
16
銀地梅図鎮扇
江戸
19
B
17
胴箔枝垂桜文鬘帯
江戸
18-19
C
18
胴箔七宝文腰帯
江戸
18
C
19
白地桐唐草文腰帯
江戸
18-19
C
20
紅・白段簾に花の丸文唐織
江戸
18
A
21
浅葱・茶段七宝に鶴菱・雲文厚板唐織
江戸
17
A
22
紅地雷文・四ツ花菱文厚板
江戸
17
B
23
白・萌黄・赤・有平縞熨斗目
江戸
17
B
24
紅・白段金霞枝垂桜に扇文唐織
江戸
19
C
25
白地亀甲に雪輪・蒲公英文縫箔
江戸
17-18
C
伝弥助作
徳川慶勝(尾張家14代)所用
徳川美術館
第4展示室 №
指定
作品名
作者・所用者・寄贈者等
時代
世紀
期間
能舞台
26
浅葱地蜀江文狩衣
江戸
19
A
27
紫地八ッ藤文指貫
江戸
19
A
28
黒地松竹・鶴亀文直垂
江戸
18
A
29
赤地蔦唐草文金襴舞衣
江戸
17
A
30
萌黄地檜扇に仙桃文金襴長絹
江戸
18
B
31
金茶地牡丹文金襴袷狩衣
江戸
17-18
B
32
黄地亀甲に若松鶴亀文直垂
江戸
18
B
33
黄地枝垂桜に尾長鳥文金襴長絹
江戸
17-18
C
34
萌黄地亀甲に桐文金襴袷狩衣
江戸
18
C
35
洲浜に桜・蝶小紋素袍
江戸
18-19
C
以上
第4展示室のみどころ
尾張徳川家の能面
かん ぜ
ほうしょう
こ ん ぱる
こんごう
能には、観世・宝生・金春・金剛などの流派がある。尾張徳川家では、初代義直以来金春流
つななり
つぐとも
を、シテ(主役)方として重用してきたが、3代綱誠は宝生流を金春流と同格に扱い、6代継友の
なりとも
時代に金剛流、10代斉朝の時代に観世流を重用したため、それぞれの流派にちなんだ能面が製
作された。
徳川美術館には、現在、尾張徳川家に伝えられた能面126面、狂言面30面が保存されてい
にっこう
え
ち きっしゅう
る。この中には、伝説的な能面の作者である日光や越智吉舟作と伝えられる室町時代の面をは
ぜ か ん よし みつ
ゆ う かん みつやす
か わ ち だいじょういえしげ
じめ、是閑吉満や友閑満庸、河内大掾家重など名人として名高い面打師たちの作品が多く含ま
れており、尾張徳川家の能面コレクションの質の高さを示している。
おきな
新年を祝う演目「翁」
「能にして能にあらざる曲」と呼ばれる「翁」は、一つのストーリーをもった演劇ではなく、
天下泰平・国土安穏・五穀豊穣を祈願して、正月や神事能など特別な催しの際の初頭に演じら
れる、神聖で儀式性の高い曲である。
ひためん
うたい
せんざい
直面(素顔)で舞台に入った翁が祝言の謡をうたいだし、それを受けて千歳が「千歳の舞」を
しろしきじょう
さん ば そ う
舞う。続いて翁は舞台上で白式尉の面を付け「翁の舞」を舞い、最後に三番叟が、躍動的な
もみ
だん
くろしきじょう
「揉ノ段」、続いて黒式尉の面を付け鈴を持ち、豊饒を祈る「鈴ノ段」を舞納めて幕に入る。