大 名 の 雅 び - 奥道具 -

第5展示室
徳川美術館
大 名 の 雅 び - 奥道具 -
平成28年1月5日(火)~4月17日(日)
A:1月5日(火)~2月9日(火)/B:2月10日(水)~3月15日(火)/C:3月16日(水)~4月17日(日)
おく
大名自身やその夫人・子供達の私的な生活の場「奥」で、身の回りを飾ったり、使用した道
具、また教養を高めたり、趣味や遊びに用いた道具を奥道具という。
ま き え
じ ゅ よ
大名の華やかな生活をしのばせる豪華な蒔絵の調度品は、婚礼の際の入輿道具に多い。その種
類は、香道具・化粧道具・文房具・飲食器、旅道中具・遊戯具・楽器など多岐にわたる。王朝文
かいあわ
もんこう
化の伝統をひく貝合せや聞香は、単なる遊びではなく、武家の婦人に欠かせない教養だった。楽
器の演奏も、たしなみの一つである。
こひつ
こ
が
か の う は
と
さ
は
古くから宝物視されていた古筆や古画はもとより、江戸時代の狩野派・土佐派の作品や、浮世
絵なども愛好されていた。
凡例:⦿は国宝、○は重要美術品
№
1
指定
作品名
作者・所用者・寄贈者等
小朝拝・朔旦冬至図屏風 六曲一双 板谷慶舟筆
時代
世紀
期間
江戸
18
A
2 ○ 厳島・松島図屏風 六曲一双
土佐光起筆
江戸
17
B
3
吉野図屏風 二曲一双
狩野常信筆 徳川斉温(尾張家11代)所用 江戸
17
C
4
四季草花折枝図屏風 二曲一隻
土佐光孚筆 大脇家寄贈
5
江戸
文化8年
C
<1811>
琉球楽器 銅鑼(トンロウ)
琉球
18
A
6
琉球楽器 鼓(クウ)・
小銅鑼(シャウトンロウ)
琉球
18
A
7
琉球楽器 夜雨金(ヤウキン)
琉球
18
A
8
琉球楽器 新心(スイシン)
琉球
18
A
9
琉球楽器 両班(リャウハン)
琉球
18
A
10
琉球楽器 三板(サンハン)
琉球
18
A
11
琉球楽器 三金(サンキン)
琉球
18
A
12
琉球楽器 横笛(ホンテツ)
銘 周蘭所製
琉球
18
A
13
琉球楽器 管(クハン)
琉球
18
A
14
琉球楽器 哨吶(ツヲナ)
琉球
18
A
15
琉球楽器 琵琶(ヒイハア)
琉球
18
A
16
琉球楽器 長線(チャンスエン)
琉球
18
A
17
琉球楽器図巻
江戸
19
A
18
琉球歌舞音楽図巻
江戸
19
A
19
狭衣物語絵巻(模本)
外題 松平定信(白河松平家3代)筆
江戸
18-19
B
20
文正草子絵巻 三巻の内
俊恭院福君(尾張家11代斉温継室)所用
江戸
17-18
B
21
石清水八幡臨時祭礼図巻
三巻の内
原在明筆
俊恭院福君(尾張家11代斉温継室)所用
江戸
19
C
22
舞楽図巻 二巻の内
江戸
18
C
23
調子笛 十二律 銘 薗相模守
薗相模守作
瑩珠院新君(尾張家3代綱誠正室)所用
江戸
17
BC
24
篳篥 名物
景仁作
鎌倉
13
BC
第5展示室
№
指定
徳川美術館
作品名
作者・所用者・寄贈者等
時代
世紀
期間
江戸
18
BC
25
横笛 銘 占月
26
笙 銘 元禄丸
27
篳篥譜
28
筝・和琴の譜三帖の内
瑩珠院新君(尾張家3代綱誠正室)所用
江戸
17
C
29
松梅蒔絵手箱
宣揚院梅津(綱誠側室・宗春生母)所用
室町
15-16
AB
30
菊折枝蒔絵将棋盤
俊恭院福君(尾張家11代斉温継室)所用
江戸
19
C
31
赤地牡丹文錦筒守・
松竹梅蒔絵筒守掛
徳川五郎太(尾張家5代)所用
江戸
18
A
江戸
榊原分六作
室町
元禄7年
BC
<1694>
応永9年
B
<1402>
32 ⦿ 初音蒔絵硯箱
霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)所用 江戸
寛永16年
BC
<1639>
33
菊折枝蒔絵十二手箱
俊恭院福君(尾張家11代斉温継室)所用
江戸
19
AB
34
菊折枝蒔絵十種香箱
俊恭院福君(尾張家11代斉温継室)所用
江戸
19
C
以上
第5展示室のみどころ
琉球楽器
ちゆうざん
ふ よう
琉球王国・中山王府の華麗を極めた楽器セットである。江戸時代、琉球王国は薩摩藩の付庸国
し や おん
として、琉球国王即位の際と、幕府将軍襲職の際に、朝貢使節団を派遣していました(謝恩使およ
けい が
し
び慶賀使)。この使節団には楽人も含まれており、使節が来朝した際には将軍の御前で演奏する慣
わしでした。
尾張徳川家伝来のこの琉球楽器は、寛政二年(一七九〇)に琉球使節が江戸へ来朝した時に携
えてきたと推定されており、同十年には尾張徳川家の江戸・戸山屋敷で島津家の家臣が演奏した記
録があります。
国宝 初音の調度
いえみつ
ち
よ ひめ
初音の調度は、寛永16年(1639)9月22日、三代将軍家光の長女・千代姫が、尾張徳川家二代
み つとも
光友に婚嫁する際に持参した調度で、日本一豪華な嫁入り道具といわれる徳川美術館の代表的所蔵
品の一つです。鏡台や貝桶、棚などの蒔絵調度を中心に、染織・金工品など総計70件が国宝に指
定されています。
「初音の調度」の名は、『源氏物
語』「初音」の帖の「年月を 松に
ひかれて ふる人に 今日鶯の 初音き
かせよ」の歌意を全体の意匠とし、
あし で
その歌の文字を葦手書きに散らして
いるところに由来しており、見飽きる
ことのない「日暮らしの調度」の別
名があります。