徳川美術館 第1展示室 武家のシンボル ― 武具・刀剣 ― 平成28年1月5日(火)~4月17日(日) A:1月5日(火)~2月9日(火)/B:2月10日(水)~3月15日(火)/C:3月16日(水)~4月17日(日) 大名はいうまでもなく武士であり、その集団の長であったため、泰平の世の江戸時代にあっても 常に軍備を怠ってはならなかった。 大名家の武器武具は単なる戦闘実用品ではなく、同時に「武士の心根」を表わすように美しく気品 に満ちていることが必要だった。中でも刀剣は「武士の魂」といわれる通り、武士の精神の象徴とし て大切にされ、最も高い格式を持ち、公式の贈答品の筆頭ともされた。 大名の甲冑は、一軍の大将の着用品である。武威と気品に満ち、贅を尽し技術の粋を集めてはた 目にも美しく見えるように作られた。 凡例:⦿は国宝、◎は重要文化財 № 指定 作品名 作者・所用者・寄贈者等 時代 世紀 期間 1 黒塗白糸威具足 徳川義宜(尾張家16代)所用 江戸 17 2 網代三蓋笠馬標 徳川義直(尾張家初代)所用 江戸 17 3 采配 伊予西条松平家伝来 江戸 18-19 A 4 白熊毛采配 桐紋散蒔絵柄 松平通温(尾張家3代綱誠19男)所用 江戸 18 BC 5 葵紋蒔絵糸巻太刀拵 18-19 A 6 葵紋蒔絵糸巻太刀拵 18 BC 7 豹皮尻鞘 徳川慶臧(尾張家13代)・徳川義宜(同16 江戸 代)所持 徳川宗睦(尾張家9代)・徳川斉荘(同12 江戸 代)・徳川慶勝(同14代)所持 徳川義宜(尾張家16代)所用 江戸 19 AB 8 豹皮尻鞘 徳川義宜(尾張家16代)所用 江戸 19 C 9 青貝柄槍拵 江戸 18-19 10 猩々緋陣羽織 松平通温(尾張家3代綱誠19男)着用 江戸 18 A 11 黄羅紗地火事羽織 伊予西条松平家伝来 江戸 18 B 12 白顕文紗地葵紋付陣羽織 徳川慶勝(尾張家14代)着用 江戸 19 C 13 波に鯉蒔絵鞍・鐙 江戸 19 A 14 武具蒔絵鞍・鐙 伝伊勢貞弘作 明治天皇下賜・徳川慶 江戸 勝(尾張家14代)拝領 19 BC 15 小金ヶ原鹿狩図 神谷養朔筆 江戸 寛政7年 <1795> AB 16 御旗御馬印之図 江戸 18 C 17 重籐弓 徳川宗睦(尾張家9代)所用 江戸 18 18 猪毛逆頬箙(征矢付) 徳川宗睦(尾張家9代)所用 江戸 18 A 19 牡丹唐草蒔絵狩箙 徳川義宜(尾張家16代)所用 江戸 18 BC 20 征矢 三十二点の内 徳川義宜(尾張家16代)所用 江戸 18 21 鏃 七十四本の内 徳川宗睦(尾張家9代)所用 江戸 18 22 火縄銃 三匁五分筒 銘 鍛藤巻張 元禄五年申十二月吉日 国友甚六郎重当(花押) 江戸 元禄5年 <1692> 23 火縄銃 三匁五分筒 銘 清直(花押) 江戸 17 24 火縄銃 三匁五分筒 銘 刃鉄重張 寛文十三癸丑年二月吉日 芝辻小兵衛清正(花押) 江戸 寛文13年 <1673> 25 火縄銃 三匁五分筒 江戸 18 26 中貫菱紋付胴薬入 江戸 18 徳川美術館 第1展示室 № 指定 作品名 作者・所用者・寄贈者等 時代 世紀 期間 27 水牛牙口薬入 江戸 18 28 火縄立 江戸 17-18 29 火縄差 江戸 17-18 30 葵紋蒔絵毛抜形黄金造太刀拵 江戸 元禄11年 A <1698> 31 葵紋蒔絵細太刀拵 徳川斉荘(尾張家12代)・徳川慶勝(同14 江戸 代)所持 32 蠟色塗刀拵 徳川義宜(尾張家16代)所持 江戸 33 蠟色塗脇差拵 徳川慶勝(尾張家14代)所持 江戸 徳川家慶(尾張家14代)下賜・徳川慶臧 (同13代)所持 徳川慶勝(尾張家14代)・徳川茂徳(同15 35 蠟色塗脇指拵 代)所持 徳川光友(尾張家2代)・宗勝(同8代)所 36 ⦿ 太刀 銘 国宗 持 刀 銘 左文字吉見正頼研上之 永禄九年 吉見正頼・徳川家康・徳川義直(尾張家 37 八月吉日 名物 吉見左文字 初代)・徳川慶勝(同14代)所持 38 ◎ 脇指 無銘 貞宗 名物 物吉貞宗 徳川家康・徳川義直(尾張家初代)所持 34 39 蠟色塗刀拵 短刀 銘 宗近 徳川家康(駿府御分物)所持 19 元治2年 <1865> 安政4年 <1857> BC 江戸 19 BC 鎌倉 13 南北 朝 南北 朝 平安 14 14 12 42 猿竹馬図目貫 江戸 18 43 波に猿猴図小刀柄 無銘 栄乗 江戸 17-18 44 桐に鳳凰図赤銅鐔 銘 菊岡光利(花押) 大小二枚 江戸 18-19 45 松猿図透鉄鐔 江戸 18-19 46 刀 銘 兼定 徳川義親(尾張家19代)所持 室町 16 47 蠟色塗刀拵(No.46 刀 徳川義親(尾張家19代)所持 江戸 19 江戸 承応3年 <1654> 江戸 19 48 49 附属) 折紙(No.38 脇指 名物 物吉貞宗付) 承応三年九月三日 御腰物元帳 第一巻 仁ノ部 A 19 41 銘 兼定 A 江戸 花生椿水仙菊図三所物 銘 後藤顕乗(花押) 松喰鶴図笄 40 BC 江戸 17 江戸 17 以上 【 三所物 】 こ づ か こうがい めぬき 三所物とは、小刀柄・笄・目貫三点の総称である。これらは同文様、同一作者であることを原則と している。江戸時代には刀剣装具については厳しい格式があって、小刀柄・笄をつける身分の武士 は、上級の者に限られていた。加えて大名家や旗本の正式な拵には、必ず後藤家で製作された金具を 用いるのが慣例とされた。 後藤家は、足利将軍家をはじめ、徳川将軍家に代々仕え、不動の地位を築き上げた。徳川美術館 ゆうじょう しんじょう には初代祐乗から15代真乗に至る代々の作が揃っている。
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