短期予報解説資料1

短期予報解説資料1 2015年12月23日03時40分発表
気象庁 予報部
1.実況上の着目点
①日本付近に影響する強風軸は
500hPa5640~5760m 付近にまとまってお
り、トラフが東経 125 度付近。その東で
は、深まりつつある 5580m 付近のトラフ
の影響や太平洋のサブハイ西側を北上す
る流れが合流し、強化しつつある加速場。
強風軸南側は上層発散に伴う上昇流で雲
の発生域。
②下層では、南西諸島の西で暖気移流が
強まっており、850hPa12℃付近に前線。
①の雲域と結びついた降水域が西から拡
大。前線の南は 850hPa 相当温位 320K 台
半ば以上の暖湿気で可降水量 40mm 以上。
③日本の東のブイでは、周期 9 から 10 秒、波高 4m 台に上昇。日本のはるか東で発達中の低気圧を波
源に南西へ向かううねりの影響。変動幅も考慮すると、モデル程度か高め。
④西日本では潮位偏差が+20cm 前後に高くなっている地域がある。
2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①日本付近の上空の流れは 500hPa5760m と 5640m 付
近が接近しているが、1 項①のトラフが西日本に接近する。上昇流の位置や渦位予想などから、概ね
5760m 付近に低気圧が発生して東北東進する見込み。発達は緩やか。1 項②の暖湿気の影響で九州南部
や南西諸島では大気の状態が不安定。落雷、突風や短時間強雨(激しい雨)に注意。トラフ東側の上
層発散や鉛直シアーの条件が重なり、停滞性と発達度が増して非常に激しい雨が持続して大雨になる
可能性もある。動向に留意。このほか、500hPa5640m の流れに対応して西日本太平洋側を進む別のじょ
う乱が影響する可能性もある。この付近でも落雷、突風、短時間強雨に注意。
②24 日には 500hPa5760m の流れはやや南下する一方、5640m の流れに 5580m 付近の流れの短波トラフ
が結びついて主要な強風軸が次第に 5640m に遷移し、低気圧はこれに沿って東北東に進む。また、ト
ラフの深まりにより発達がやや進む。これに関しても①と同様に、低気圧が通過する伊豆諸島に加え
て、北側の正渦に対応して東日本太平洋沿岸でも対流雲が発達する可能性がある。動向に留意。低気
圧周辺では 23 日から 24 日にかけて風が次第に強まる。強風、高波にも注意。
③南西諸島では、25 日にかけて前線が停滞する。対流雲が再び発達する可能性もあり、動向に注目。
④24 日午後には、長波のトラフが北緯 40 度付近まで南下しながら中国東北区に進む。その東側で
850hPa0~-3℃付近の日本海で低気圧が発生する。25 日にはこの低気圧の西側で冬型気圧配置が強まる。
3.数値予報資料解釈上の留意点 ①低気圧の位置は、最新 GSM を基本に、強風軸の予想を目安に MSM
も参考に修正する。また、両モデルとも低気圧中心付近での局所的な深まりは大幅に割り引く。
4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(06 時からの 24 時間):奄美 150、九州鞍部
100mm。2 項の短時間強雨に留意。②波浪(明日まで):伊豆諸島・四国・近畿 3m。③潮位:大潮の時期。
注意報基準に近づく地域がある。偏差に留意。
5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はありません。
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量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。