橋下市政を振り返って、有権者に教えたこと

2015年12月21日
橋下市政を振り返って、有権者に教えたこと
橋下徹氏は大阪府知事から大阪市長へ就任して在任期間8年を分り易い言葉で政治を語
り、硬直した大阪の行財政運営改革に辣腕をふるった。府知事時代に政党大阪維新の会を
発足させて国政にまで足掛かりを付ける。大阪市長就任後は、大阪府域全体を視野に入れ
た行政運営を行う事が無駄を省き大阪経済の活性化に繋がる、又大型公共工事等事業の失
敗の再発を防止するなどなどの理由を述べ、府域全体の再編、大阪市を解体して区へ再編
成するという「都構想」を掲げた。
特にこの2015年4月12日の統一地方選挙から同年5月17日住民投票まで、大阪
の改革を唱え「都構想」を訴え続けた、が、統一地方選挙においては大阪維新の会は議席
を過半数に満たすこととならず、「都構想」住民投票でも僅差で否決される結果となった。
しかし、同年11月22日の大阪府・大阪市両首長のダブル選挙では、「都構想」は改革
の手段にすぎない、大阪を変えるのか、このまま現状維持かを有権者に問い、継続して「都
構想」の再考を訴えた。この間、橋下市長は何度市民集会に足を運んだのだろうか、疲弊
した大都市大阪の経済の活性化を訴えながら、
「都構想」とする理由の説明を繰返した。そ
の粘り強い訴えは市民に改革の必要性を理解させる事となる。そして有権者は現状維持よ
り大阪が変わることを望んだ、それがダブル選挙での圧勝となる。
明らかに大阪府市民は政治を我がことのように身近に捉えることができ、有権者の権利
に目覚めたはずだ。
行政とは全て私達納税者の納める税で運営されるが、納税後の税の行方については納税
者には全く周知されないままに行財政運営が行われているのが現状だ。これは行政を運営
する側、つまり首長・議員や職員が意図的に知らせようとしないからだ。大阪市のような
基礎自治体の仕事は、市民生活に必要なごみの収集・健康・福祉・教育・治安等々の施策
からなる。国からの補助金(これも税だが)を含め、税を必要な施策に配分して運営する
が、大阪市の場合は行政運営者が大型公共工事や土地信託事業等を乱発して失敗したこと
により多額の借金が市民負担となった。少子高齢化で税収が不足ぎみであることに加え社
会保障費用の増大等から、将来世代への子供の教育費用等に税の配分が少なくなったこと
などは、この度の選挙や住民投票における橋下市長の説明を聞くまで大半の納税者の誰も
が知らなかのではないのか?限りある税を何に使うのかを決めるのが役所職員と首長で議
員がそれらをチェックし承認する、が、大阪市のように歴代職員上がりの首長と地元の意
見ばかりを聞く議員ではチェック機能など果たされるべくもなかったはずだ。
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度々触れるが、10年以上前にもなるが大阪市の職員厚遇問題を発端に当会は発足した。
当時の市長関氏はほぼ全市会議員に声高に反発される事態におちいりながら外部委員を招
へいして市政改革を唱えたが、その理由として阿倍野再開発事業の起債の償還が始まるこ
とにより大阪市財政が破綻する危機を感じたからだろう。関市長或いは職員等はチェック
機能を果たせない市議会議員に市政改革などは出来ないと思ってのことからではなかった
のか、と今さらながら思い至る。
大阪市は市政改革室を設置して外部委員による改革に取組んだが、結局改革を唱えなが
ら大阪市職員組織に阻まれたかその進捗は遅々としたものでしかなかった。
橋下市長就任後には職員問題に端を発し、市政改革方針として、歳出の削減・歳入の確
保の観点から庁舎維持管理費やIТ経費、施策・事業・補助金等の見直し、未収金対策、
外郭団体等の必要性の精査、市民利用施設の適正化、区長・局長の公募を経て区役所への
権限移譲や業務の集約化を諮り、経営システム改革として地下鉄・バス・水道・幼稚園・
保育所・博物館・一般廃棄物(収集輸送)等の適正・効率化として民間移管へ、そして改
革を推進する職員づくりまでを、PDCAサイクルにて検証しながら改革の進捗の確認を
することまでを矢継ぎ早に実行してきた。
そしてこの府市首長ダブル選挙に於いて、「都構想」は改革の手段でしかないと継続して
大阪の改革の必要性を訴え続け、大阪市の大型公共工事や土地信託事業等の失敗を分り易
い言葉でいとも簡単に市民に暴露し、税収には限りがあることから優先順位を付けて施策
運営しなければならないことなどを有権者に明らかにした。
橋下市長は自らの若さとエネルギーをもって、行財政運営には過去からの施策運営を漫
然と継続することなく、少子高齢化時代を迎え税収不足の懸念の有ることからも何を優先
するか等の施策の選択が必要であることを市民に訴えて選択を迫った。
橋下氏の行財施運営の数々の改革の取組みはこれまでの首長や議員の誰にも出来なかっ
たものと大いに評価する、そして確かに有権者は支持を示した。有権者の一票は弱い、が、
この一票が全てを決めるのだ、誰かに任せることなく自分で確かめ選択することで政治は
変えられることを納税者である有権者は確信したはずだ。
「自分で考えて選択せよ!」と有権者に知らしめたことは橋下氏を最も高く評価できる
ことの一つになる。
以上
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