闘華12月号 (HP)

ユニオン東京合同 機関紙
と う
闘
華
2015 年 12 月 10 日発行
No.101
発 行:ユニオン東京合同
発行人:佐藤陽治
か
闘 華
東京都千代田区三崎町 2-17-8 皆川ビル 301 朔気付
TEL&FAX 03-3262-4440
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00110-8ー120661
戦後史を画する「戦争をする国」への転換を安倍が進
第六に「TPP大筋合意」
「消費税増税」
「マイナンバ
めようとするのに対し、国会前での闘い等を共にする。
ー制度の導入」などが一気に労働者人民に襲いかかって
もちろん、大会のなかでの議論を通じ労働組合に安倍打
くることを見なければならない。家族農業を基本とした
倒の力の源泉があることを深めて、2016年の闘いを
日本の農民の生活と生産の基盤を破壊し、消費税が本格
さらに進めよう。今号では、安陪の戦争・改憲攻撃の反
的に戦費調達のために創設されたことを覆い隠し、公明
動性を弾劾し、闘いを振り返る。
党を抱き込んで「軽減税率」論議にスリ替え、1 億 2000
安倍の戦争・安保での攻撃は、第一に「安全保障環境
万の日本の人民に勝手に 12 桁の番号を付けて監視社会の
の悪化」である。北朝鮮・中国を「仮想敵国」に仕立て
総仕上げにしようとしている。マイナンバー配達受け取
あげ、その「脅威」に立ち向かうためとして「集団的自
り拒否から始めよう。消費税増税ではなく廃止を。
衛権の行使容認」を昨年7月閣議決定で容認した。本年
第七に以上述べた戦争と改憲の総攻撃に日本の労働者
に入り、1本の戦争法案と自衛隊法改正案をはじめとし
人民が黙っちゃいないことを恐れて飛躍的な治安弾圧の
た現行法の改正を含め、11の戦争関連法案を9月に強
強化を目指していることだ。司法取引、盗聴法拡大を一
行成立。労働者人民の怒りは沸騰し、労働組合は闘った。
気に押し進める「刑事司法改革」だ。さらに四度の廃案
第二に「積極的平和主義」である。これは「帝国主義
にも関わらず、1 月 4 日から開会しようとする通常国会で
支配を平和だという倒錯」
(鎌倉孝夫)そのものだ。
「戦
共謀罪法案の上程が必至だということである。正念場だ。
争のできる国」から実際に海外派兵を積極的に押し進め
組合は、そうした安倍への反撃の主軸としての解雇撤
る「戦争する国」への決定的転換である。絶対許さない。
回闘争に勝利しよう。そのためにも、安陪の「解雇自由
第三に沖縄・辺野古新基地建設を「世界一危険な普天
法」
、ないし「解雇争議買い取り法」とも言われる解雇金
間基地を放置してよいのか」というすり替えの論理で居
銭解決法案の攻撃も射程に入れ現場から闘い、第15回
直っていることだ。組合は現地の闘いに学んで共に闘う。
定期大会での議論を通し反撃を大きく作り出していこう。
第四に戦後レジームの解体だ。戦後レジームの根幹と
は何か? 日米安保であり、それに伴う地位協定だと断
言できる。また、それを団結権確立を頂点とする戦後労
第15回定期大会開催お知らせ
働法制へとすり替え、
「岩盤にドリルで穴を開ける」と言
い放ち「規制緩和」の極致ここにあり、と宣言している
月 日:2015年12月23日(水・祝日)
のだ。労働問題が焦点となる。
時 間:13:30~16:30
第五にそこから必然的に、集団的労使関係を解体して、
会 場:西神田コスモス館 2階音楽室
「労使対等」を実質的に崩壊させる労働法制の根底的破
壊が生まれてくる。戦争協力の連合すら許さず、桜井よ
(住所:千代田区西神田 2-6-2)
し子を先兵にしたUAゼンセンの賛美を通して日教組・
終了後、交流会あります。
自治労などの左派組合の破壊を全面的にしかけようとし
ている。解雇撤回闘争の勝利が、これを穿つ。
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■■手をつなぐ育成会分会から■
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なぜ起きるのか、虐待防止に向けて育成会として何が出
来るか、何をしなければいけないのか 議論を深めたい」
1.11月11日 東京都労働委員会 第10回調査
とし「権利擁護センターで取り組み作成しました 。知的
第10回目となる労働委員会の調査がありました。事
障害理解と権利擁護冊子『知ってほしい・知っておきた
前に全日本育成会からは準備書面(6)と証拠として解
い-知的障害と「警察」-』で紹介。
」とありました。
雇無効確認裁判とほぼ同様に過去6年分の決算書、理事
会・評議員会の議事録などが提出された。そして育成会
全日本育成会の低料第三種郵便なりすまし事件が発端
連合会からは、調査の前日に準備書面(3)と証拠とし
組合は今回、分会ニュース83号で、かつての「警察
て事業報告書などが提出されました。
パンフ」の低料第三種郵便制度不正利用事件を取り上げ
ました。実は全ての発端は、この「全日本育成会になり
法人の会計上、社会福祉事業を示す区分がない?!
すまし」事件で、1 冊100円の「警察パンフ」を全日本
社会福祉法人は、社会福祉事業をやっているから、社
育成会以外の場所で販売・集金し、発送は、全日本育成
会福祉法人なのです。社会福祉法人には、社会福祉事業
会の低料第三種郵便を利用していたことにあります。
のその公益性から社会福祉法人に課せられた「会計基準」
この不正事件に気が付いてしまった労働者を解雇した
があり、社会福祉法人においては収益性よりも公益性を
事件に端を発し、問題をもみ消そうとし、疑問を持った
重視するため、損益計算書よりも貸金収支計算書のほう
元事務局長や職員を排除する意図で、2007年3月に
がその経営状況が理解しやすいのです。
理事会で特別監査をすることが決まった。
「特別監査」で
事業会計区分は、定款にある「社会福祉事業」は「社
元事務局長が突然解職されたこと、また「特別監査」の
会福祉事業会計区分」
、
「公益事業」は「公益事業会計区
撤回を求めて育成会分会が結成されたという経緯であっ
分」で分けられることになっていました。
た。そうした自分たちの問題を切開できない使用者たち
今回全日本育成会から提出された2009年度決算書
だから、今日まで労使問題を長引かせているのです。
以降からは明確に「社会福祉事業会計」区分が消失され
ていたのですから、社会福祉法人の要件を満たしてない
偽装解散・粉飾逆決算・不当解雇が明らかになる中で「権
こと、またそれを自覚していたことになります。この「事
利擁護」セミナーをする育成会連合会
―ブラックが 赤字の粉飾 白ばくれー
業」と、
「会計」区分と、
「社会福祉法人の解散」の関係
を示した図を(国会でもやっているような)大きなパネ
第3回権利擁護セミナーの組合情宣では、これまでの
ルにして、3人の審査委員にわかるように説明しました。
裁判で明らかになったことでは、①社会福祉法人の解散
今後、準備書面でも説明していきます。
後に、56正会員による連合体を作ることを前提にして
いたこと、②全日本育成会の理事会、評議員会の議事録
「社福解散」と「解雇」は無関係ということが明白に。
で「偽装解散に疑われないように」とか、
「偽装解散」と
全日本育成会は、
「社会福祉法人の解散は、真正の解散
いう見方もありますし」などという言葉が飛び交ってい
である」と言っています。確かに社会福祉法上、社会福
たことや、③最終の決算書においては、資産を減らすし、
祉事業は形骸化・不適切化していたので、廃止する必要
負債を増やす「粉飾」決算を行なっていたこと、したが
は遅きに失していたくらいなのですが、それは社会福祉
って、今の育成会連合会・久保厚子会長に偽装解散劇及
法上の手続きのことであり、またすでに5年も前に社会
び解雇の責任があることや、また現在は権利擁護センタ
福祉法人の要件を喪失していたのですから、2014年 5
ー運営委員長の松井美弥子(当時:全日本育成会副理事
月31日に労働者を解雇する理由にはならないというこ
長)のメール誤送信にも触れて、労働者の給与を含む個
とです。
「社福解散」と「解雇」は無関係ということが明
人情報漏えいのメールを自宅から誤送信しながら再発防
白になりました。
止策を作らなかったことをセミナー参加者に対し、明ら
次回の調査は、1月18日です。今度は組合が書面を
かにしたのです。
「再発防止策」とは、問題の解明から、
提出する番です。お屠蘇も返上で取り組みます。
今後このようなことを繰り返さないという法人の姿勢な
のです。したがって、
「再発防止策」を作らないというこ
2.11月25日 第3回権利擁護セミナーで情宣
とは、
「今後は繰り返さない」という法人の意思はなく、
育成会連合会は、2014年4月に第2回権利擁護セ
ミナーを福岡市で開催したのに、第3回権利擁護セミナ
繰り返すということなのです。したがって、組合は再発
ーを11月25日に開催するという案内が出ました。
防止策を立てるまで、いつまでも言うしかありません。
情宣をしていると、タクシーが 1 台来ました。そこに、
第3回権利擁護セミナー要綱には、
「障害者への虐待は
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組合員が分会ニュースを渡しに行くと、降り立ったのは
になってやったことは組合排除のために、56正会員の
三重県育成会の高鶴かほる会長でした。組合員が声をか
連合体として続けることを前提に、社会福祉法人の解散
けると「私ももう年ですから」と言って会場に向ったの
を利用して労働者を解雇した「偽装解散劇」であり、赤
で、「あなたが年をとっても、あなたのやった不当労働行
字を作るための「粉飾決算」だったのです。
為は消せない」と組合員は声を大にして言いました。
育成会の副島、北原、久保の歴代理事長たちがやった
ことは、権利侵害の連鎖を作り出しました。このような
「再発防止」に無関心で、虐待防止ができるのか?
ことはダメと言える「権利擁護」でなければ、障害のあ
労働者の給与を含む個人情報を漏えいしながら、労働
る人や親、家族を護るものにはなりません。
者が気が付かなければ、知らぬ顔でとぼけようとしてい
したがって、一人一人が自分の権利を護ること、権利
た、メール誤送信(自宅から)の張本人が「再発防止策」
が侵害されたら声をあげること、これが長年の育成会運
も策定しないまま、全国手をつなぐ育成会連合会では、
動の基本です。
「権利擁護センター運営委員長」をしているのです。
この日、第3回権利擁護セミナーでの組合の情宣内容
このようなことは育成会の権利擁護の主張を自ら破壊
こそが、本当の「権利擁護」の道なのです。
する行為なのです。自分たちは労働者に対してやった不
当な行為の再発防止はしないけれど、障害者虐待に対し
ては「何をしなければいけないのか」などと言っている
のです。一方で労働者を解雇し、権利を侵害しながら、
障がい者権利を護れと言っているのですから、それは会
員の信頼を損なう、育成会の信用失墜行為です。
全日本育成会理事長のリーダーシップは常に裏目だ。
自ら権利を護る声をあげる人が増えるのはいつのことか。
全日本育成会の職場では、常に理事長のリーダーシッ
プが問われました。たとえば、2008年就業規則の変
更の際に、当時の副島宏克理事長は遵法精神からかけ離
(
「第3回権利擁護セミナー」への情宣)
れ、職員にろくに説明もしないで就業規則を一方的に変
更して、職員代表の意見ではなく「顛末書」を労基署に
3.11月28日
提出し、後に職員就業規則に「公民権行使・公の職務の
手をつなぐ育成会中国・四国ブロック大会で情宣
執行」に関連する条文を削除していたことで、賃金カッ
組合は、11月28日に香川県高松市で開催された
トしました。労働者は職場で何度説明を求めても、まと
手をつなぐ育成会中国・四国ブロック大会で、分会ニュ
もな説明をしないで副島宏克元理事長は、今度は賃金カ
ースの配布を行いました。副島宏克元理事長や、全日本
ットし忘れた分(36、173円)として、本人の了解
育成会清算人三上正浩氏も広島県で、このブロックです。
なくその労働者の給与から勝手に引いたのでした。それ
分会ニュースを配っていますと、副島宏克全日本育成
で裁判で闘いましたが、高裁で、就業規則の不利益変更
会元理事長/現:広島県育成会会長と大嶋宏史山口県育
であるという判決が確定しました。使用者は賃金カット
成会会長が並んで歩いて来ました。
当該は、
「偽装解散劇は解決してくださいよ」
「副島理
分を払いましたが、判決文で指摘されても就業規則の不
事長がはじめたことなのですから、副島さんが終わらせ
利益変更を戻しませんでした。
その次の北原守元理事長(北九州市育成会会長)はで
ないと終わらないのですよ、あなたの責任で解決しろ」
っち上げ懲戒処分をしたことに対し、労働者が原告とな
と言いました。副島元理事長はヘラヘラしながら「あん
り裁判に訴えて、裁判官に撤回するように言われて、処
たらも元気だね~」と言って会場に向って歩いていきま
分の撤回を条件に和解して機関紙「手をつなぐ」に掲載
した。大嶋山口県育成会会長も団交に出たことがある人
しても、
「懲戒事由はある」と、各地の会員に対し「口頭
物です。
「困ったな」という表情で、無言で早足に歩いて
で言っている」という北原守元理事長でした。
行きました。
これらの育成会執行部の人たちは謝罪や話し合いを拒
育成会運動の「足かせ」となっているもの
否するなど態度を頑なに変えようとしません。
岡部圀男愛媛県会長は、バスで会員とやって来ました。
副島、北原の流れをくむ久保厚子副理事長が、理事長
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バスから降りてきたので、
「全日本育成会を解雇された岡
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庭です。解決してくださいよ」と声をかけると、岡部会
て、自らの衰退を確認するしかないのかもしれないが、
長は、表情を怪訝に変えて「あんたら暇だね。俺たちは
いずれにしても副島氏は広島県育成会会長であり、高鶴
ボランティアでやっているんだ、あんたらは高い給料を
氏は三重県育成会会長で共に育成会連合会の正会員であ
もらっていただろう」という趣旨のことを言って、会場
るから、やはり不当労働行為意思を構成している張本人
に向って行きました。
から免れていないのであった。
「偽装解散劇」を責任もっ
岡部愛媛県会長は2007年当時から評議員ですから、
て反省し、解雇撤回で解決しろ!
特別監査や就業規則の改悪強行のことも知っています。
■■ブ リ タ ニ カ 分 会 か ら■■
副島宏克氏が全日本育成会理事長だった当時、
「全日本
育成会の職員は高い給料を取っている」など、ウソが流
布されていたのです。そしてまた、2014年3月20
12月2日、午前11時30分からブリタニカ社前情
日の田中常務理事の評議員会の資料では「肥大する事務
宣および、団交要求行動を行った。ここのところ暖かい
費、人件費」と、人件費を問題にしたのです。
日が続いていたが、この日は非常に寒い日であった。に
しかし、資料をよく見れば人件費が下がっていること
もかかわらず12名の仲間が参加してくれた。雨は午後
はわかるでしょう。2013年5月の決算理事会では監
からという予報であったが、昼前からパラパラと降って
事が「人件費は下がって、財務は改善してきている」と
きた。通行人もいつもより少なく、ビラのはけはよくな
賃金破壊を報告しているように、みずから裁判で証拠と
かった。恒例の直接団交要求を、地域の支援者とともに
して出した、2014年3月20日の評議員会議事録と
行ったが、相変わらず奥井社長は団交要求の時には10
決算書を見れば、人件費が問題なのではありません。
0%の確率で「不在」で、労務担当の原尻氏も「不在」
岡部愛媛県育成会会長みたいに労働者に悪意を抱くウ
との、解雇事件とは「関係ない」という会社側の対応で
ソを信じている人もいるから簡単には解決しないのです。
あった。女性事務員に団交要求書を託した。会社入り口
障がい者も労働者階級の中に包摂される存在であるの
前の私たちを横目に見て、見慣れない若い社員(?)が
に、障がい者と労働者の存在を対立的にしかとらえない
何人か出入りしていた。ブリタニカ・ジャパンの会社の
見方が育成会運動の足かせになっています。また、福祉
雰囲気は、往時の日本ブリタニカに比べて全く生気、活
労働者を安価にこき使うことが障害者のためになるよう
気というものが感じられない。ともかく、会社側の「関
な勘違いこそ、虐待事件発生の原因の1つのファクター
係ない」対応に抗して、マイク情宣に力を入れて、1時
にもなっています。
間の情宣行動を終えた。
岡部愛媛県育成会会長も、全日本育成会評議員でした
◆ユニオン東京合同活動報告◆
し、評議員会で社福解散に合わせて労働者解雇を決議し
た当事者なのです。そして愛媛県育成会は全国育成会連
合会の正会員ですから、現在においても不当労働行為意
農地法を使った農地取り上げとは!―11・21 集会報告
思により、組合敵視を示したということなのです。いず
れ、労働委員会の証人になってもらいましょう。
11月21日、市東さんの農地取り上げに反対する会
11月は25日、28日と連続的に地方「巡業」に出
主催で「国、この暴力の最たるもの!―『公共性』に名
たのですが、その中で、特徴的なのは、
「偽装解散劇」に
をかりた農地取り上げに反対する」集会が、東京水道橋
至る過程で、もっとも不当労働行為意思と悪意が嵩じて
の全水道会館で開催された。三里塚農民・市東孝雄さん
いた人物である、副島氏・高鶴氏の反応でした。失策続
が、2006年、突然NAA(旧空港公団)から100
きで実権部分から外されたらしく「偽装解散剤」の時点
年近く耕し続けてきた成田市南台の土地の明け渡しを迫
では執行部の外側から眺めていた立場からは、自分たち
られたことから、市東さんの農地取り上げ問題が発生し
の失敗から「偽装解散劇」の失敗への連鎖がわかりやす
た。
いのでしょうか、以前のように、会場の中からわざわざ
NAAは旧地主からこの農地を市東さんに無断で買収
分会ニュースを受け取りに外まで出てきたり、受け取っ
し、18年間も隠し続けてきた上に本来農業と農民を保
た分会ニュースを会場内でちぎったりしていた、ギラギ
護するために制定された「農地法」を悪用して、すでに
ラした悪意の発露がすっかり色槌せ、敵意も抜け殻程度
破産した三里塚への土地収用法による強制収用の代わり
になっているが、かといって反省の色もなし。
「年を取っ
に明け渡しを求めてきたのである。
た」とか 「元気がいいね」などとつぶやき、薄ら笑いし
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2006年この事態を看過出来ない農民・労働者が自
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主的に「市東さんの農地取り上げに反対する会」を立ち
②秘密保護法によって被っている精神的苦痛や不利益に
上げ、裁判闘争を弁護団と共に支える一方、年1回「耕
対し各原告に対し10万円の国家賠償を請求する
す者に権利あり」を基調にしたシンポジウムを開催して
という2つの請求を柱に争われてきた。東京地裁民事第
きた。
38部の谷口豊裁判長は判決要旨を読みあげた。
しかし本年6月12日、後発の農地法裁判控訴審にお
主文は下記の通り。
いて東京高裁はNAAの農地取り上げを認める判決を言
「特定秘密の保護に関する法律が無効であることの確認
い渡した。
を求める部分を却下する」
直ちに上告したが、最高裁が憲法判断を回避して「上
「原告らのその余の請求をいずれも棄却する」
告受理せず」との判断をして来る可能性は高い。そうし
「訴訟費用は原告らの負担とする」
た緊迫した中では、もはや「決起集会」として位置づけ、
傍聴席からは「不当判決!」「ちゃんと憲法判断しろ
司法の場だけではなく、いかに国家暴力に立ち向かうか、
よ!」などの声が上がったが、裁判長はとくに静止をせ
をメインテーマに開催したのである。
ずに聞き流した。
折しも、TPP大筋合意が発表され、企業の農業参入
違憲確認について判決は「具体的な紛争を離れて裁判
と家族農業解体を進める安倍政権の危険な農政との対決
所に法令が憲法に適合するかしないかの判断を求めるこ
が待ったなしに問われているということから、石原健二
とはできない」とし原告の請求を「不適法」とした。し
氏(元立教大学教授)
、大野和興氏(農業ジャーナリスト)
かし、一方で「法令の制定行為自体の違法を訴訟物とす
が発言し、
「公共性」とは何かを中心に鎌倉隆夫氏が、憲
る訴訟であっても、それが、具体的な紛争を前提として
法が措定する抵抗権の発動の一環としての耕作権の意義
提起された場合」は、
「例外的に法律無効確認の抗告訴訟
に焦点をあてた内藤光博氏(専修大学教授)が次々に発
を提起できることがないわけではない」とまわりくどい
言。
言い方で、無効確認の訴訟が成立する可能性を認めてい
一方で、この農地取り上げ攻撃に反撃する力は、沖縄・
る。その上で、原告の「不利益処分等(刑事訴追等)が
福島との連帯にあるという会の基点を示すものとして、
現実に発動されている状況を前提とするものではなく」
、
安次富浩氏(ヘリ基地反対協代表)
、国分氏(福島避難者)
「罰則が適用される一般的な可能性にとどまる」から「抽
の熱いメッセージをもらったのである。
象的なものにすぎない」と断じている。秘密保護法の恐
当の市東孝雄さんが最後に登場し、どんなに農地取り
ろしさは、ジャーナリストや市民の言論活動に刑事罰が
上げ攻撃が激しくても、
「
(農地をNAAが買収しようと
科せられる可能性があることが核心で、言論表現の自由
して)1 億 8 千万円積んでも、1 本 100 円で大根を買って
がないことが無謀な戦争に日本を駆り立てた反省から戦
くれる消費者とつながって行きたい」という当初からの
後の憲法ができたという、日本国憲法の精神をまったく
闘う有機農業実践者としての原点に立って、
「淡々と、し
理解していない言い草ではないだろうか。
かし挫けずに闘う」ことを決意表明。
判決ではさらに秘密保護法の「全文を精査しても、行
たくさんの発言者が登壇し、それぞれ短い時間ではあ
政庁の処分を待つことなく特定の個人の具体的な権利義
ったが、メリハリの利いた中身の濃い集会であった。
務ないし法律関係の存否に直接の影響を及ぼす規定が含
参加者 160 人。定員イッパイの熱気で盛り上がり、交
まれているとは認められない」とまで言い切っている。
判決後の 12 月 8 日、閣議決定直前の 2013 年9月に会計
流会も盛況であった。
検査院によって秘密指定書類が会計検査に提出されない
恐れがあるとして、
「憲法上、問題」と指摘されていたこ
寄
とが報道された。会計検査が満足にできないのであれば、
稿
憲法(90 条)と整合性がとれなくなり、納税者の権利を
根底から否定することになる。この問題も「法律関係の
存否に直接の影響を及ぼす規定」の一例ではないだろう
11月18日、15時から東京地裁103号法廷で、
か?
ジャーナリストやライター、フォトジャーナリスト、編
判決には、このほかにも多くの問題点が含まれている。
集者などフリーランス表現者43名で提起した秘密保護
判決に納得した原告は一人もいない。原告はすでに東京
法違憲訴訟の判決言い渡しがあった。
高裁に上告を決めた。第1審での傍聴や集会参加等のご
この裁判は
①秘密保護法が憲法違反なので、無効であることを確認
支援に感謝するとともに、控訴審でもご支援よろしくお
する
願いいたします。 (原告・フリーライター/丸田潔)
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◆◆ ユニオン東京合同のお知らせ ◆ ◆
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組合活動日誌
辺野古埋め立て承認の「代執行」を許さない!
講演と報告の集い
月 日 曜
活動内容
11 水 育成会都労委調査
12 木 臨時執行委員会
19 木 育成会分会会議
11
22 日 辺野古基地建設反対集会・デモ
■日時:12月11日(金)18:30~
■場所:豊島区民センター 6F 文化大ホール
25 水 育成会連合会第3回権利擁護セミナー情宣
(JR池袋駅東口 5 分)
28 土 育成会連合会中国・四国ブロック大会情宣
■講演:徳田博人さん(琉球大学教授)
■資料代:500円
■主催:沖縄一坪反戦地主会関東ブロック
1 火 臨時執行委員会
12 2 水 ブリタニカ社前情宣
3 木 定期執行委員会
「ふくしま共同診療所」
郡山報告会
スケジュール
月 日 曜
11
13
■場 所:ビッグアイ7階大会議室(JR郡山駅西口)
16
■報 告:布施幸彦さん(ふくしま共同診療所院長) 12 17
「甲状腺がん多発と健康被害に向き合う診療を!」
19
23
■講 演:矢ケ崎克馬さん(琉球大学名誉教授)
■日 時:12月13日(日)13:00~
活動内容
金 辺野古埋立代執行を許さない!講演と報告の集い★
日 「ふくしま共同診療所」郡山報告会★
水 育成会分会解雇無効裁判弁論準備 11:00~
木 阿佐ヶ谷市民講座恐るべきマイナンバー制度の本質!★
土 「自衛隊を戦場に送るな」総がかり行動講演集会★
水 第15回組合定期大会 13:00~西神田コスモス館
「内部被ばくの危険を隠し続ける原発利益共同体」
■主 催:ふくしま共同診療所
■参加費: 無料 託児所あり
阿 佐 ヶ 谷 市 民 講 座
恐るべきマイナンバー制度の本質!
11月25日、栃木県宇都宮市での育成会分会情宣を
■日時:12月17日(木)18:30~
終えたのち、少し足を延ばして、奥日光湯元に向かいま
■場所:劇団展望(杉並区阿佐谷南 3-3-32)
した。紅葉の観光シーズンは過ぎ、道路からの視界は落
■講演:斉藤貴男さん(ジャーナリスト)
葉した樹木に遮られているところもあります。いろは坂
「安保戦争法と一体の超監視・管理社会と徴兵制への布石」
を登るにつけて靄が濃くなり、外気温がみるみる下がっ
■主催:阿佐ヶ谷市民講座実行委員会
ていく。道程の最後には0℃になっていました。
目的地の温泉寺に先客はほとんどいなくて、繁忙期な
■参加費:千円
ら順番待ちしなくてはならないところ、待つことなく湯
につかり、熱めの温泉で心と体を温めた。ひなびた建物
「自衛隊を戦場に送るな」
に、軽く硫黄臭のする本物感たっぷりの温泉でした。で
きるだけ加水せずに、低温やけど寸前くらいの湯に包ま
れて、流れ落ちてくるエメラルドグリーンの液体が湯槽
■日時:12月19日(土)14:00~
■場所:北とぴあ さくらホール(JR王子駅2分)
ではミルキーホワイトに変化するのを飽きずに眺めま
した。成分と熱が体に伝わってきます。
■講演:井筒高雄さん(元自衛官)
湯あたりしそうなくらいに堪能してあがり、ほうじ茶
「戦争法と自衛隊」
と甚五郎煎餅をいただきました。忙中閑あり、静寂を感
■主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
■資料代:1000円
じた貴重なひとときでした。
さぁ、また、戦場ケ原をくぐりぬけて行こう。
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