India Insights(11月号)インド市場を見る眼~現地からの報告

HSBC投信株式会社
2015年12月22日
India Insights (11月号)
(インド市場を見る眼~現地からの報告)
<トピックス>
1.日本がインド経済の成長を後押し
2.物品・サービス税の導入は遅れる見通し
マーケットサマリー(株式・債券・為替市場)
 11月は株式、債券、通貨ともに軟調となった。11月8日に開票されたビハール州議会選挙での国政与党・インド人
民党(BJP)の敗退が影響している。
<トピックス>
1.日本がインド経済の成長を後押し
2.物品・サービス税の導入は遅れる見通し
インドが日本の新幹線方式を採用
2016年4月のGST導入は困難
 安倍首相は12月11~13日にインドを訪問し、モディ
首相と会談を行なった。3日間の滞在であったが、
両国は高速鉄道計画、防衛分野での連携強化、原
子力の平和利用に向けた協力等で合意した。
 インドでは、物品・サービス税(GST)法案の行方
が注目を集めている。GSTは、連邦政府と州政府
の各種間接税を統合するものであり、インド・パキ
スタン分離独立以来、70年近くで最も大胆な税制
改革と言える。
 両国首脳は、金融の中心地ムンバイとグジャラート
州の州都アーメダバードを結ぶ高速鉄道計画に日
本の新幹線方式を導入することで合意した。日本
政府は、総事業費約1兆8,000億円のうち、最大で
1兆4,600億円の円借款(償還期間50年、利子年
0.1%)を供与する。
原子力協定でも合意
 両国は2010年から交渉を続けてきた原子力協定で
も原則合意した。この原子力協定は、日本からイン
ドへの原発輸出を可能にするものである。インドは
核拡散防止条約(NPT)に加盟していないが、日本
の原発技術の平和利用を約束し、また日本はイン
ドが核実験を行った場合、原子力協定に基づく協
力を停止する方針である。
 モディ首相と安倍首相の信頼関係が強まり、両国
間の関係が深化する中、今後、日本企業にはイン
ドにおけるビジネスチャンスが一段と広がるとともに、
日本はインドの経済成長を後押しできるものと見ら
れる。
当資料の「留意点」については、巻末をご覧ください。
 インドの冬季国会は12月第4週に閉会するが、
GST導入のための憲法改正法案(GST法案)が今
国会で可決される可能性は低くなっている。導入
に反対する野党により度々審議が中断されている。
 また、GST法案可決後も複数のハードルを乗り越
える必要があり、モディ政権が目標とする2016年4
月からのGST導入は困難となっている。国会が憲
法改正法案を可決したとしても、なお全29州のう
ち15州以上の州議会の承認が必要となる。
行政権の行使で改革を推進
 こうした中、インド政府は引き続き行政権を行使し
改革を前進させている。その一例として、モディ政
権は、15業種における外国直接投資(FDI)に関す
る規制緩和を11月に発表している。
<マーケットサマリー>
図表2
図表2 インド10年国債利回りの推移
インド10年国債利回りの推移
(2015年1月1日~
(2015年1月1日~11月30
6 月XX 日)
日)
株式市場
国内投資家が買い越し
 11月のインド株式市場は軟調な展開となり、代表
的株価指数のSENSEX指数は前月末比-1.9%で
取引を終えた(図表1参照)。11月8日に開票され
たインド北東部ビハール州の州議会選挙での国政
与党・インド人民党(BJP)の敗退などがマイナス要
因となった。
 10月と同様に11月も外国人投資家の売り越しに対
し、国内投資家が買い越している。 2015年初来
(11月末時点)の国内機関投資家の株式純購入額
は約93億米ドルと、外国機関投資家の約3倍に達
している。
 2015年7~9月期の決算は市場予想を下回る企業
が多かったが、業績予想を下方修正した企業数が
減少傾向にあるのはプラス要因である。
28,000
27,000
26,000
25,000
24,000
15/3
15/5
15/7
15/9
(年/月)
出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成
為替市場
ルピーは底堅い推移を予想
 11月は、米ドル高が進行する中で、インドルピーは
対米ドルで弱含んだ(図表3参照)。
 当社では、引き続きインドルピーは他のアジア通貨
の対米ドル相場と同様の動きを示すと予想する。し
かし、短期的にはルピーにとり複数のプラス要因が
存在する。まず、ルピーは例年1~3月に上昇する
傾向がある。次に外国ポートフォリオ投資家(FPI)
の国債投資枠が拡大されており、新規の資金流入
が期待できる。また、12月の米利上げ実施によりイ
ベントリスクが後退したこともプラスに働こう。
図表1 SENSEX指数の推移
 。
(2015 年1月1日~11月30日)
 XXXXXX。
(ポイント)
30,000
XXXXXXX。
29,000
XXXXXXX。
15/1
8.1(%)
8.0
7.9
7.8
7.7
7.6
7.5
7.4
15/11
(年/月)
出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成
債券市場
2016年2月~3月に追加利下げを予想
図表3 インドルピーの推移
(2015年1月1日~11 月30日)
(ルピー/円)
(米ドル/ルピー、逆目盛)
2.00
対円(左軸)
1.95
1.90
1.85
1.80
対米ドル(右軸)
1.75
15/1 15/3 15/5 15/7
60
61
62
63
64
65
66
67
68
ルピー安
当資料の「留意点」については、巻末をご覧ください。
 ルピーは中期的には米ドルに対して63~66ルピー
のレンジ内で推移すると当社では見ている。一方、
中央銀行は62~64ルピーが適正水準との見解を
示している。
ルピー高
 11月のインド債券市場は弱含み、10年物国債利回り
は前月末比0.14%上昇(価格は下落)した(図表2参
照)。
 インド準備銀行(中央銀行)は12月初の金融政策決
定会合で政策金利を据え置くことを決定した。 中央
銀行は、緩和的な金融政策を継続し、必要に応じて
調整を行うとしている。当社では、2016年2月または3
月に0.25%の追加利下げが行われると予想する。
 中央銀行は、12月2日、流動性供給を目的に、公開
市場操作を通じて国債を1,000億ルピー(約1,850億
円)まで買い入れると発表した。加えて、2015年度下
半期(2015年9月-2016年3月)は国債発行額が減少
する見通しであり、当面は債券利回りを押し下げる
要因になると見られる
 中期的には米国とインドの間のインフレ格差に縮
小傾向が見られるため、ルピー安による競争力維
持を図る必要性が低下すると見られる。原油安、潤
沢な外貨準備、経常赤字の縮小は引き続きルピー
相場の下支え要因となる。
15/9 15/11
出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成
(年/月)
2
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※上記に記載のリスクや費用につきましては、一般的な投資信託を想定しております。
※費用の料率につきましては、HSBC投信株式会社が運用するすべての投資信託のうち、ご負担いただく
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「投資信託説明書(交付目論見書)」をご覧ください。
HSBC投信株式会社
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