HSBC投信株式会社 2016年3 月23日 India Insights (2月号) (インド市場を見る眼~現地からの報告) <トピックス> 1.2016年度予算案は経済成長と財政規律のバランスを重視 2.銀行業界~当面の課題は不良債権処理 マーケットサマリー(株式・債券・為替市場) 2月は、月間ベースでは株式・通貨は軟調、債券は堅調となった。しかし、2月末に発表された2016年度予算案は、 特に財政赤字削減計画などが市場で好感され、その後は株式・通貨・債券ともに上昇している。 <トピックス> 2.銀行業界~当面の課題は不良債権処理 1.2016年度予算案は経済成長と財政規律のバ ランスを重視 政府は2月29日、2016年度(2016年4月-2017年3月) 予算案を発表した。経済成長と財政規律のバランス を重視した点が同予算案の特徴である。 予算配分ではインフラ整備、農業振興に重点が置か れた。インフラ整備では特に道路・鉄道建設への投資 を拡大。農業振興では、農村所得を今後5年間で倍 増させる目標を掲げており、かんがい農地拡張や農 村向け貸出拡充などの政策が盛り込まれている。 財政規律は堅持されている。財政赤字の対国内総生 産(GDP)比は2015年度見込みの3.9%から2016年度 は3.5%に圧縮する計画であり、これは市場予想の 3.7%を下回る水準。政府が財政健全化策を維持した ことから、インド準備銀行(中央銀行)には金融緩和 余地が生まれており、市場は予算案を好感している。 財政赤字の対GDP比率の推移 (2011年度~2016年度) 6.0 5.5 5.0 市場予想 3.7% 4.0 3.5 予算案 3.5% 3.0 2011 2012 2013 2014 2015 出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成 市場では今回も同様の状況が繰り返されるのでは ないかと懸念されている。実際、1-3月期に増益を 見込む銀行は、昨年末に不良債権を一気に引当て 処理した業界第3位のバローダ銀行のみである。 こうした状況に対し、政府は国営銀行支援を目的に 最低2,500億ルピー(約4,100億円)の公的資金注入 を発表、中央銀行も自己資本比率改善に繋がる規 制緩和(不動産再評価益の中核自己資本(Tier1) への算入許可など)を発表した。 また、政府は2月末、国営銀行の経営機能改善を目 的に「Bank Board Bureau (銀行理事会)」の設置を 決定、4月から活動を開始する。加えて、2016年度 予算案では、国営銀行再編と政府保有株比率の 50%未満への引き下げも盛り込まれた。 (%) 4.5 中央銀行は本年3月末を期限に銀行検査を行って いるが、不良債権額は既に公表されている1,310億 米ドルを上回ると見込まれている。昨年10月にも検 査が行われた結果、不良債権額が急増し、11銀行 が引当金を積み増したため、10-12月期に損失を計 上した。これは、インドの銀行株がこの数ヶ月間低 迷した要因でもある。 2016 (年度) 当資料の「留意点」については、巻末をご覧ください。 インドでは、銀行業界改革に向けた各種取り組みが 進行しているが、当面、銀行業界は、そのプラス効 果を享受する前に、深刻化する不良債権問題への 対応を迫られている。 図表2 図表2 インド10年国債利回りの推移 インド10年国債利回りの推移 (2015年1月1日~2016年2月29 日) (2015年1月1日~6 月XX 日) <マーケットサマリー> 株式市場 8.1 8.0 7.9 7.8 7.7 7.6 7.5 7.4 軟調推移の後、予算案発表後は反発 2月のインド株式市場は軟調に推移し、代表的株価指 数のSENSEX指数は前月末比-7.5%で取引を終えた (図表1参照)。世界的に株式市場が不安定な動きを 続ける中、国内では銀行をはじめとする主要企業の 2015年10-12月期決算が不冴えであったことなどが悪 材料となった。 しかし、2月末の2016年度予算案発表後は、株式市場 は反発している。経済安定化、財政健全化に向けた 政府の姿勢を株式市場は好感している。 今後、株式市場上昇の強力なけん引役となり得る要 因としては、企業収益の回復、物品サービス税(GST) 法案の成立が挙げられ、この動きに特に注視したい。 当社の株式運用戦略 当社では、インド株式ファンドの運用においては、イ ンド経済の回復から恩恵を受ける景気敏感セクタ ーを有望視し、一般消費財、資本財をオーバーウ エイトとしている。財務体質が良好で景気回復の 流れに素早く乗る企業には特に注目。 景気動向の影響を受けにくい生活必需品やヘルスケ アはアンダーウエイトに維持しているが、最近の株価 下落で割安感が強まっている銘柄は組入れを増やす 機会と見ている。 (%) 出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成 (年/月) インフレ率を2017年3月までに5%に低下させる中央銀 行の目標は達成可能と見る。 中央銀行は本年4-6月期中に追加利下げを行うと当社 では予想している。その後の利下げについては、経済 情勢次第と見ている。 当社の債券運用戦略 当社では、インド債券ファンドの運用において は、引き続きルピー建インド国債を有望視してい る。今後、10年を超える同国債の発行量は多くな る見通しであり、10年超の長期債券は金利上昇圧 力を受けやすいことから、残存期間5年から10年を 選好している。 為替市場 ルピーは底堅い推移を予想 図表1 SENSEX指数の推移 (2015 年1月1日~2016年2月29日) 2月のインドルピーは対米ドルで下落した(図表3参 照)。下落の背景には、インドの株式市場からの投資 資金の流出がある。 (ポイント) 31,000 30,000 29,000 28,000 27,000 26,000 25,000 24,000 23,000 22,000 当面は、引き続きインドルピーは対米ドルで他のアジ ア通貨と同様の動きを示すと当社では予想する。 15/1 15/3 15/5 15/7 15/9 15/11 16/1 16/3 中期的には米国とインドのインフレ格差に縮小傾向 が見られるため、ルピー安により競争力維持を図る 必要性は低下すると見られる。原油安、潤沢な外貨 準備、経常赤字の縮小が引き続きルピー相場の下支 え要因となろう。ルピーは底堅い推移を予想している。 (年/月) 図表3 インドルピーの推移 出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成 4-6月期に追加利下げを予想 2.00 1.95 1.90 1.85 1.80 1.75 1.70 1.65 1.60 (米ドル/ルピー、逆目盛) 対円(左軸) 対米ドル(右軸) 15/1 15/3 15/5 15/7 15/9 15/11 16/1 16/3 出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成 当資料の「留意点」については、巻末をご覧ください。 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 (年/月) 2 ルピー安 2月のインド債券市場は、10年物国債利回りが0.16% 低下(価格は上昇)し、7.62%となった(図表2参照)。 2016年度予算案が財政規律を堅持する内容であった ことが、とりわけ債券市場で好感された。 .インフレ指標は改善しており、2月の消費者物価指数 は前年同月比+5.2%と1月の+5.7%から低下、市場 予想の+5.5%を下回った。 (ルピー/円) ルピー高 債券市場 (2015年1月1日~2016年2月29日) 留意点 投資信託に係わるリスクについて 投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象としており、当該資産の市場に おける取引価格の変動や為替の変動等により基準価額が変動し損失が生じる可能性があります。従いまして、 投資元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金または保険契約ではなく、預金保険機構 または保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。また、登録金融機関でご購入の投資信託は投資 者保護基金の保護の対象ではありません。購入の申込みにあたりましては「投資信託説明書(交付目論見 書)」および「契約締結前交付書面(目論見書補完書面等)」を販売会社からお受け取りの上、十分にその内 容をご確認頂きご自身でご判断ください。 投資信託に係わる費用について 購入時に直接ご負担いただく費用 購入時手数料 上限3.78%(税込) 換金時に直接ご負担いただく費用 信託財産留保額 上限0.5% 投資信託の保有期間中に間接的に ご負担いただく費用 運用管理費用(信託報酬) 上限年2.16%(税込) その他費用 上記以外に保有期間等に応じてご負担頂く費用があります。 「投資信託説明書(交付目論見書)」、「契約締結前交付書面(目論 見書補完書面等)」等でご確認ください。 ※上記に記載のリスクや費用につきましては、一般的な投資信託を想定しております。 ※費用の料率につきましては、HSBC投信株式会社が運用するすべての投資信託のうち、ご負担いただく それぞれの費用における最高の料率を記載しております。 ※投資信託に係るリスクや費用はそれぞれの投資信託により異なりますので、ご投資される際には、かならず 「投資信託説明書(交付目論見書)」をご覧ください。 HSBC投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第308号 加入協会 一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会 ホームページ www.assetmanagement.hsbc.com/jp 電話番号 03-3548-5690 (受付時間は営業日の午前9時~午後5時) 【当資料に関する留意点】 当資料は、HSBC投信株式会社(以下、当社)が投資者の皆さまへの情報提供を目的として作成したものであり、特定の金 融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。 当資料は信頼に足ると判断した情報に基づき作成していますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また、 データ等は過去の実績あるいは予想を示したものであり、将来の成果を示唆するものではありません。 当資料の記載内容等は作成時点のものであり、今後変更されることがあります。 当社は、当資料に含まれている情報について更新する義務を一切負いません。 3
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