HSBC投信株式会社 2016年8月24 日 India Insights(8月号) (インド市場を見る眼~現地からの報告) <トピックス> 次期インド中銀総裁は金融改革路線を継続へ マーケットサマリー(株式・債券・為替市場) 7月は、インド株式・債券、通貨ルピーともに堅調に推移。米国の利上げ観測後退、国内では物品サービス税(GST) 法案成立への期待(8月3日に上院で可決)などがプラス要因となった。 <トピックス> 次期インド中銀総裁は金融改革路線を継続へ 現行政策の継続が明確となり市場の懸念はほぼ解消 インド政府は8月20日(土)、インド準備銀行(中央銀 行)のラグラム・ラジャン総裁の後任として、ウル ジット・パテル副総裁を指名した。 市場では、ラジャン総裁の退任に伴い、中央銀行の 政策の継続性が損なわれるとの懸念が一部に見ら れたが、パテル氏の総裁起用で、この懸念はほぼ 解消した。パテル氏は2013年から副総裁としてラ ジャン総裁とともに、金融政策、金融改革に取り組 んでいる。 政府は中央銀行の金融改革を支持 パテル氏の起用は、中央銀行が推進する以下の金 融改革を政府が支持したことを意味すると見られる。 ①インフレ目標の設定と構造的な資金調達コストの 引き下げ~低インフレ、低金利を志向 ②銀行の不良債権処理の徹底と公的金融機関の ガバナンス改革 ③中央銀行の自主性強化 また、金融改革の重要項目の一つに金融政策委員 会(MPC)の設置がある。同委員会はパテル新総裁 を含む中央銀行幹部3名と政府が指名する3名の 計6名で構成されるとみられている。数週間以内に メンバーが発表される見通しであり、当面はその人 選が注目される。 当資料の「留意点」については、巻末をご覧ください。 ウルジット・パテル次期インド準備銀行総裁 出所:インド準備銀行ホームページ 株式、債券市場にとり中長期的にプラス要因 パテル氏はタカ派(インフレ抑制重視)として知られ ており、ハト派の新総裁誕生とその後の積極的な 利下げを期待していた向きには、パテル氏の総裁 起用は失望感を与えるものであったと思われる。 実際、パテル氏総裁指名の発表を受けて、8月22 日(月)にインド国債利回りは上昇した。しかしなが ら、世界的な低金利環境下、インド国債の高い利回 りは引き続き海外から資金を惹きつけている。また、 中央銀行は当面利下げには慎重となると見られる が、引き続き流動性供給の拡大で銀行貸出金利の 低下を図ることが見込まれる。 パテル新総裁は、ラジャン総裁の改革路線を踏襲 することで、中央銀行に対する信認を取り戻すこと が見込まれる。パテル氏の総裁起用は、株式、債 券市場にとり中期的にプラス要因と考える 図表2 <マーケットサマリー> 10年国債利回りの推移 (2015 年1月1日~2016年7月29日) (%) 株式市場 8.0 7月も引き続き堅調な展開 7.8 7月のインド株式市場は前月に続き堅調に推移し、 SENSEX指数は前月末比+3.9%となった。米国の利 上げ観測の後退、国内では夏季国会(通称モンスー ン国会)での物品サービス税(GST)法案成立への期 待(8月3日に上院で可決)などが上昇要因となった。 当社の株式運用戦略 当社では、インド株式ファンドの運用においては、イ ンド経済の拡大から恩恵を受ける資本財や一般消費 財など景気敏感セクターに引き続き重点を置いてい る。中でも健全な財務体質を持ち、景気回復の流れ に素早く対応できる企業に注目。一方、景気動向の 影響を受けにくい生活必需品やヘルスケアはアン ダーウエイトに維持。 7.6 7.4 7.2 7.0 15/01 15/04 15/07 15/10 16/01 16/04 16/07 出所:データストリームのデータをもとにHSBC投信が作成 (年/月) インド準備銀行(中央銀行)は8月9日、ラジャン総裁の 最後の金融政策決定会合で政策金利を6.5%に据え 置いた。中央銀行は金融緩和策を継続するものの、7 月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比+6.1%と6 月の+5.8%から上昇しており、ややタカ派的スタンス に傾いている。 当社の債券運用戦略 物品サービス税は消費財、物流セクターに恩恵 上院は8月3日に物品サービス税(GST)法案を可決 し、複雑な間接税体系を一本化するGSTが導入され る見通しとなった。GST導入により企業の事業環境は 大幅な改善が見込まれ、株式市場に追い風となる。 セクター別には、特に消費財及び物流が恩恵を受け る見込みである。自動車をはじめ消費財は間接税の 低下が見込まれ、また物流は輸送コストの低下や州 境を超える納税手続きの廃止が大きなメリットとなる。 図表1 SENSEX指数の推移 当社では、インド債券ファンドの運用においては、引き 続きルピー建インド国債を有望視している。米国の利 上げ観測後退、欧日の金融緩和継続が見込まれる中、 利回りが高いインド国債は投資資金を惹きつけている。 長短金利格差が拡大していることから、5年物国債を 一部売却して利益を確定し、15年物国債の組入れを 増やしている。 為替市場 中長期的な強気スタンス維持 7月のインドルピーは対米ドルで上昇。米国の利上げ 観測後退、国内ではGST導入期待が主な上昇要因。 (2015 年1月1日~2016年7月29日) (ポイント) 短期的にはルピーは他のアジア通貨と同様の動きを 示すと見ている。中長期的には、インドルピー相場に 対して強気である。経常収支赤字は比較的低水準に とどまる見通しであり、また海外からの直接投資は引 き続き拡大基調で推移することが見込まれ、これらが 通貨を下支えすると見ている。 30,000 28,000 26,000 24,000 図表3 22,000 15/01 インドルピーの推移 (2015年1月1日~2016年7月29日) 15/04 15/07 15/10 16/01 16/04 出所:データストリームのデータをもとにHSBC投信が作成 16/07 (年/月) (ルピー/円) 1.95 債券市場 対円(左軸) 62 1.85 64 7月のインド債券市場は上昇し、10年国債利回りは 0.29%低下し7.16%となった。米国の利上げ観測の後 退、国内ではモンスーン期入り後の潤沢な降雨量が プラス要因となった。 当資料の「留意点」については、巻末をご覧ください。 66 1.65 1.55 68 対米ドル(右軸) 1.45 ルピー安 1.75 債券利回り低下続く ルピー高 (米ドル/ルピー、逆目盛) 60 70 15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 16/4 16/7 (年/月) 出所:データストリームのデータをもとにHSBC投信が作成 2 留意点 投資信託に係わるリスクについて 投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象としており、当該資産の市場に おける取引価格の変動や為替の変動等により基準価額が変動し損失が生じる可能性があります。従いまして、 投資元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金または保険契約ではなく、預金保険機構 または保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。また、登録金融機関でご購入の投資信託は投資 者保護基金の保護の対象ではありません。購入の申込みにあたりましては「投資信託説明書(交付目論見 書)」および「契約締結前交付書面(目論見書補完書面等)」を販売会社からお受け取りの上、十分にその内 容をご確認頂きご自身でご判断ください。 投資信託に係わる費用について 購入時に直接ご負担いただく費用 購入時手数料 上限3.78%(税込) 換金時に直接ご負担いただく費用 信託財産留保額 上限0.5% 投資信託の保有期間中に間接的に ご負担いただく費用 運用管理費用(信託報酬) 上限年2.16%(税込) その他費用 上記以外に保有期間等に応じてご負担頂く費用があります。 「投資信託説明書(交付目論見書)」、「契約締結前交付書面(目論 見書補完書面等)」等でご確認ください。 ※上記に記載のリスクや費用につきましては、一般的な投資信託を想定しております。 ※費用の料率につきましては、HSBC投信株式会社が運用するすべての投資信託のうち、ご負担いただく それぞれの費用における最高の料率を記載しております。 ※投資信託に係るリスクや費用はそれぞれの投資信託により異なりますので、ご投資される際には、かならず 「投資信託説明書(交付目論見書)」をご覧ください。 HSBC投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第308号 加入協会 一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会 ホームページ www.assetmanagement.hsbc.com/jp 電話番号 03-3548-5690 (受付時間は営業日の午前9時~午後5時) 【当資料に関する留意点】 当資料は、HSBC投信株式会社(以下、当社)が投資者の皆さまへの情報提供を目的として作成したものであり、特定の金 融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。 当資料は信頼に足ると判断した情報に基づき作成していますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また、 データ等は過去の実績あるいは予想を示したものであり、将来の成果を示唆するものではありません。 当資料の記載内容等は作成時点のものであり、今後変更されることがあります。 当社は、当資料に含まれている情報について更新する義務を一切負いません。 3
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