修 研究科・専攻 氏 名 論 文 題 目 要 大学院 士 論 文 の 電気通信学研究科 三木 真優 和 文 要 旨 電子工学専攻 学籍番号 博士前期課程 0732084 ホログラフィック高分子分散液晶を用いた 2 次元フォトニック結晶に関する研究 旨 本論文はホログラフィック高分子分散液晶を用いた 2 次元フォトニック結晶の作製とその波長 分散効果及び屈折効果における電気光学特性の究明に関するものである。 まず、記録光の偏光及びサンプルセル中での複数の記録光の繰り返し多重反射による干渉を考 慮することにより、形成されるフォトニック結晶構造を求めた結果、TM/TE 偏光記録時には、 局所的にそれぞれ 2 次元ハニカム構造/2 次元 6 角格子構造が形成され、屈折率が膜厚方向に 20µm の周期で変化することを示す。そして、実際に作製したフォトニック結晶を SEM によっ て確認し、TM/TE 偏光記録時には計算結果と同様にそれぞれ 2 次元ハニカム構造/2 次元 6 角 格子構造が形成され、さらに TM 偏光記録時には多重干渉による影響があることを示す。次に、 作製したフォトニック結晶の透過率スペクトル電場依存性の評価について述べる。無電場時では、 TM/TE 偏光記録時共に、TE 偏光に比べて TM 偏光読み出しでの透過率減少が顕著となり、液 晶の凝集領域では TM 偏光方向に配向している液晶分子が多いと考えられ、高濃度部分の液晶分 子を TM 配向と仮定した計算結果によって定性的に説明可能であることを示す。電場印加時では、 TM/TE 偏光記録時共に TM 偏光読み出し時では印加電場 9V/µm で透過率の減少をほぼ消滅で き、約 50%の透過率の変化が得られることを示す。また、印加電場の増大に伴い Bragg 波長が短 波長側にシフトすることも示す。計算においても印加電場によって透過率の減少が低減され、 Bragg 波長が短波長側にシフトするので、実験結果を FDTD 解析により定性的に説明することが 可能であることを示す。次に、作製したフォトニック結晶の波長分散効果の評価について述べる。 TM 偏光記録時の TM 偏光読み出しにおいてのみ、赤から青色波長域までの分散を確認し、9V/µm の電場のオン、オフによって分散効果の電気的スイッチングを確認できることを述べる。さらに、 作製したフォトニック結晶の屈折角の入射角及び入射波長依存性について評価し、特異な屈折効 果の観測結果について述べる。ただし、このような屈折効果は ITO 透明電極付ガラスセルを使用 しない場合には観測されなかったことから、多重干渉によって形成されたフォトニック結晶構造 に起因しており、FDTD 解析によって定性的に説明可能であることを示す。
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