修研究科・専攻氏名論文題目要士大学院論文の和文要旨電気通信学研究科電子工学専攻大平隆一郎学籍番号博士前期課程 0932014 ホログラフィック高分子分散液晶の光重合誘起相転移特性を用いた高屈折率変調・高透過性体積ホログラム素子に関する研究旨本論文は、ホログラフィック高分子分散液晶(HPDLC)の多機能性を有する体積ホログラム素子への応用を念頭に、HPDLC 中の光学的異方性格子形成に伴う光重合誘起相転移特性及び、HPDLC を用いたホログラム多重化とその回折特性及び光散乱特性の究明を目的とする。第一に、統計熱力学モデルを用いて液晶とモノマーの混合溶液中の自由エネルギー密度を導き、光重合に伴う相転移過程について述べる。第二に、得られた自由エネルギー密度と時間依存 Ginzburg-Landau (TDGL)方程式を用いた HPDLC 中の格子形成過程の数値シミュレーションより、ホログラム記録温度の格子形成ダイナミクスへの影響について述べる。特に、実験的に液晶とモノマーの相互作用パラメータ及び重合レートを抽出し、重合形態の異なるポリマーにおける格子形成ダイナミクスの違いについて議論する。第三に、高温記録による HPDLC の回折特性と光散乱損失特性の実験について述べる。逐次重合型チオール・エン系モノマーと液晶との混合媒質に対して試料温度 63℃でホログラム記録を行うことで、読出し試料温度 25℃において高屈折率変調・高透過率・強い偏光依存性を有する光学的異方性体積ホログラムが作成可能であることを示す。さらに、角度多重記録法と露光スケジューリング法を組み合わせることで、高回折効率のホログラムを多重記録した多機能性を有する体積ホログラム素子への応用ファージビリティについて述べる。