漏れモード解析によるマルチへテロステップ共振器の Q 値増大の検討 Improvement of Q factor of multihetero nanocavity through the analysis of leakage positions 京大院工 1,阪府大ナノ科学・材料セ 2 瀬古口 洋 1,高橋 和 2,中村 達也 1,田中 良典 1, ○ 浅野 卓 1,野田 進 1, Kyoto Univ. 1, Osaka Pref. Univ. 2, ○H. Sekoguchi1, Y. Takahashi2, T. Nakamura1, Y. Tanaka1, T. Asano1, S. Noda1, E-mail: [email protected] Photon counts(ln-scale) [序]我々はこれまでシリコンスラブを用いた 2 次元フォトニック結晶ナノ共振器の高 Q 値化に取り組 んできており,Q 値 440 万という世界最高値を図 1 に示すヘテロ構造ナノ共振器を用いて達成してい る 1).この実験 Q 値は共振器の理論 Q 値 8000 万程度が、実際に作製した共振器の構造揺らぎ,特に 空気孔の位置・半径揺らぎ基づく散乱損失によって低減された結果であると考えられている.この揺 らぎの大きさは 0.6 nm 程度と見積もられており 2),今後の Q 値向上には作製精度の向上だけでなく, 空気孔揺らぎに強い共振器構造開発が重要である.最近,我々は FDTD 計算で得られた L3 共振器の 電界分布の漏れ成分を実空間で可視化し,その漏れ成分が集中する部分の空気孔位置に補正を加える ことで高い理論 Q 値を実現する手法を提案した 3).今回,マルチステップへテロ共振器に対してこの 手法を用いて理論 Q 値の向上を試みるとともに,30 個の揺らぎパターンを用いて,空気孔揺らぎが生 じた場合の漏れ成分の可視化を行ったので報告する. [計算・実験]図 1 において a を 425 nm,Δa を 3 nm,スラ ブ厚さを 220 nm,空気孔半径を 110 nm とした共振器構造 の共振モードの電界分布を 3 次元 FDTD 法により計算し, フーリエ変換して得た波数成分のうちライトコーン内の成 分に対してのみ逆フーリエ変換を施すことで,実空間にお ける漏れ成分の分布を得た(図 2) .この漏れ成分の集中し 図 2.マルチステップヘテロ共振器 ている空気孔に位置補正を加える手法を 2 度繰り返すこと の漏れ成分の分布 により,設計 Q 値を 8000 万から 2 億 2000 万に向上した. 8 次にこの構造の共振器を作製し,TCSPC 法を用いた光子寿 = 4.06ns 命測定により Q 値の測定を行ったところ, 光子寿命 4.06 ns, 6 Q 値 471 万の共振器を得ることに成功した(図 3) .また, この構造に対して標準偏差 0.5 nm の大きさのランダムな 4 空気孔の位置・半径揺らぎを 30 パターン用いて漏れモード 2 を計算した.図 4 はそれらを足し合わせた結果である.漏 れ成分はヘテロ中央部分の空気孔に集中していることが分 0 かり、この結果は,揺らぎに強い共振器の設計にとって重 0 10 20 Time (ns) 要な知見を与えるものと考えられる. 詳細は当日報告する. 図 3.最高 Q 値 471 万の共振器の [文献] 1)田口他,26p-KA-10 春季応物(2011).2) Y. Taguchi,et. al., 光子寿命測定結果 Optics Express 19(2011)11916.3)中村他,26p-KA-8 春季応物(2011). 図 1.マルチステップヘテロ共振器の構造 図 4.標準偏差 0.5 nm の空気孔揺らぎ 30 パターンの漏れモードの計算結 果を足し合わせた分布
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