松橋 奈々

優 秀 賞
まつ
はし
な
な
橋 奈 々
松
おにぎりにこめられていたもの
大仙市立大曲中学校 一年
私たちは、いろいろな場面でお米、おにぎりを食べます。でも、
私は白いごはんに梅、たらこ、すじこなどの定番の具が入ったお
にぎりはあまり好きではありません。私は白ごはんがあまり好き
ではなかったのです。とは言っても、白ごはんそのものが嫌いと
いうわけではなく、普段はおいしく食べるけれど、たまに嫌にな
る、という感じでした。その私に具にたどりつくまで白ごはんを
噛み続 け ろ と い う の は 、 無 理 な こ と で し た 。
そんな私を見た母は、ゆかりを白ごはんにまぜたものに梅を詰
めておにぎりにしてくれました。これなら私もおいしくおにぎり
を食べられます。私はまぜごはんならおにぎりを食べることがで
きたの で し た 。
それからは、母は私がごはんを食べないときにはまぜごはんの
おにぎりを作ってくれました。まぜごはんの種類もゆかりだけで
はありません。ふりかけをまぜたり、チャーハンを握ったり、炊
きこみごはんを握ったり──まぜごはん好き和食好きの私には炊
きこみ ご は ん は 感 動 的 な 米 料 理 で し た 。
そのようにしておにぎりももりもり食べるようになった私。た
くさん食べて、体も大きくなっていきました。
ある八月の日のことです。八月と言えば、私の住む町「大曲」
では「大曲の花火」が開催されます。私の家はお店をやっている
ため、花火大会当日は家がとても忙しく、母はお昼ごはんを作る
暇がありません。そのため、私は近くのスーパーでお昼ごはんを
買うことになりました。花火を見に来たお客さんでごったがえす
店内で「エビピラフおにぎり」を発見しました。おいしそうだっ
たので買いました。家に帰って一人でそれを食べました。おいし
いおにぎりでした。でも、何か物足りなさを感じました。確かに
そのおにぎりはおいしいのです。でも、母の作るおにぎりの方が
おいしいような気がして、母のおにぎりが急に恋しくなりました。
「母の作るまぜごはんおにぎりは、普
私は疑問に思いました。
通のまぜごはんおにぎりのはず。なぜ他のまぜごはんおにぎりよ
りもおいしいのだろう。
」
いろいろと考えてみました。
「お米の種類のせい?」
我が家は普通の「あきたこまち」です。
「使う水のせい?」
普通の水道水を使っています。
「機械が違うから?」
普通の値段の、普通の炊飯器で炊いています。特別なお米も、特
別 な 水 も、 特 別 な 炊 飯 器 も 使 っ て い ま せ ん。 で は な ぜ で し ょ う。
なぜ母のまぜごはんおにぎりがおいしいのでしょう。
ある日、私はその答えを知りました。その日は学校でお弁当を
持ってくるように言われた日でした。
朝、
母は私のおにぎりを作っ
ていました。ゆかりをまぜたおにぎりでした。
「やったあ。ゆかりだ。
」
私が言うと、母は
「その方が白ごはんより食べやすいでしょ。
」と言いました。私は
はっとしました。母の作るまぜごはんおにぎりがおいしい理由が
わかったのです。そのおにぎりの中には「思いやり」も一緒にま
ざっていたのです。白ごはんのおにぎりが苦手な私のためにわざ
わざゆかりやふりかけをまぜてくれる、その「思いやり」が、よ
り一層おにぎりをおいしくしていました。
「思いはおにぎりを、料理をおいしくする。
」
「おにぎりや料理は、思いを伝えてくれる。
」
母の作ったまぜごはんおにぎりを通して、母からの思いに気づく
ことができました。おにぎりに込められた思いを感じながら食べ
るその味は、他のどのおにぎりよりもおいしく、あたたかいもの
でした。
──お母さん、
ごちそうさま。まぜごはんのおにぎり、
おいしかっ
たよ。