2013 年度 下水道新技術研究所年報 [要約版] 調布市浸透施設による合流改善の事後評価に関する共同研究 調査研究年度 2013 年度 合流改善 (目 的) 調布市では,雨水浸透施設によって雨天時の未処理水の放流回数を削減する合流式下水道改善対 策計画を策定し,雨水浸透施設の設置を進めてきた。平成 24 年度末時点においては,12,653 基の 浸透桝,17,018mの浸透トレンチ,19,061m2 の浸透性舗装が整備されている。本研究は,これらの 浸透施設の設置により,目標浸透量および未処理放流回数の目標達成の可否を確認することで,同 計画の事後的な評価を行うことを目的とする。 (結 果) ①浸透施設設置状況の把握 設置した浸透施設の設置位置を確認し,そのうち,浸透適 地に該当する施設を,27 箇所の吐き口流域ごとに集計した。 ②現況放流回数の確認 合流改善計画において設定した未処理放流対策は,吐き口 単位で,対策前に対する放流回数の半減を目標としていた。 平成 25 年度末に設置済みとなる浸透施設に対して,過年度 の研究成果による単位浸透量を用いて,吐き口別の総浸透量 を算定し,シミュレーションにより放流回数を確認した。こ の結果,放流回数目標を達成できない吐き口が4箇所残るこ とが分かった。 ③吐き口流域のグルーピング 目標を達成できない吐き口の流域は浸透適地が少なく,追 加の浸透施設の設置が困難であることが判明した。そのた め,合流改善計画の達成目標を東京都流域下水道本部等と協 議して変更することとし,放流先河川環境基準や上水道の直 近取水口が同一であるなどを条件として,複数吐き口をグル ープと見なし,グループ単位での放流回数削減を目指すこと とした(図-1)。 ④目標達成に必要な施設規模の検討 複数吐き口を統合したグループ別に,放流回数を集計した 結果,1 つのグループで放流回数半減の目標を達成できない (表-1 上表) 。そのため,目標未達成となった 1 グループに ついて,目標達成に必要な浸透施設の設置基数を算定し,こ れに基づいて放流回数の検証を行った結果,すべてのグルー プで目標を達成できることが分かった(表-1 下表) 。 図-1 吐き口流域のグルーピング 表-1 グループ別未処理放流回数 グループ 1 2 3 4 5 6 改善目標 107 回 156 回 208 回 27 回 106 回 132 回 達成状況 94 回 135 回 217 回 25 回 82 回 117 回 達成可否 ○ ○ × ○ ○ ○ グループ 改善目標 達成可否 1 2 3 4 5 6 107 回 156 回 208 回 27 回 106 回 132 回 追加対策後 達成状況 94 回 135 回 208 回 25 回 82 回 117 回 ○ ○ ○ ○ ○ ○ (まとめ) 調布市では,本検討結果に基づいて追加の浸透施設の設置工事を行っている。本研究では雨水浸 透施設の合流改善対策への有効性を確認することができ,滞水池などの大規模なハードを整備する 敷地がない場合にも適用できるとともに,過去に設置済みの浸透施設も対策量としてカウントでき る。また,浸水対策にも有効であることから,本研究の成果を活かして,浸透施設の普及を図り, 総合的な雨水管理の強化を図っていきたい。 ※ 調布市,(公財)日本下水道新技術機構 問い合わせ先:研究第二部 小団扇 浩,伊藤 雄二,松岡 遼【03-5228-6598】 キーワード 合流改善,浸透,浸透マップ,流域解析
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