「太陽光発電と電気自動車のベストマッチング実証」 (福島日産自動車株式会社) ■ 電気の固定価格買取制度は、PVとEVを同時に導入するW発電価格は34円となる(PV単 体42円)。しかし、EVの電気を家庭内に使用することによりPV単体導入した場合より、よ り多く売電ができるため、PVを設置する場所やEVの使い方を最適化することにより利用者 が経済的メリットを享受できることを検証する。 ■ 福島県内でPVとEVのセット設置実証により、 PV発電量、EV充電量、EVから家庭への電 気の使用量等を計測し、PVとEVを組合せて使用する場合のメリットを(使用頻度や充電 量)検証。 ■ 実証結果を基に、全国の地域にPVとEVのセット設置による「実施ユーザーの生の声」と、 併せてこれの有効性を広く伝えていくことで、PV+EVの普及拡大に努めたい。 PV 電気自動車:EV EVパワーステーション:V2H PV・V2H・EVのセット展開 PVの発電量や電気自動車の使用頻度やEVからの家庭への電気供給量を踏ま え、これの有効性を検証する。 委託事業者名:福島日産自動車株式会社 実証事業項目:太陽光発電と電気自動車のベストマッチング実証 実証事業の内容 県内事業所を通し、この事業を実証するために、太陽光発電(PV)と電気自動車(EV)及びV2H(EVを蓄電池とし、家 庭内へ給電する装置)をセットで購入・設置するモニターを募集。 V2Hを設置すると、PVと併設すればW発電となり、PVの売電価格が下がるため、ユーザーは設置に躊躇しますが、 V2Hの使用次第では、安価な夜間電力を充電し、それを日中に使用できることと、自家用車の使用に使っていたガソ リン代も節約でき、かつ走行におけるCO2の排出も抑えられること等。PVの売電価格が下がってもこの組み合わせは 有効であることを証明するため、買電・PVの発電量・売電・V2Hからの給電量・EV走行の使用電力量等を長期にわ たり調査し、そのデータを検証しました。 実証事業の目的の達成状況 目的①:「V2H+太陽光」の、経済的有効性の実証 達成状況 それぞれの設備の補助金や、機器の問題で募集は困難ななか、3件のモニターを確保し、8ヶ月以上にわたり必要デー タの収集ができました。モニターのライフスタイルは似通ったなかで、EVやV2Hの使用状況がかなり違うため、サン プルの少ない中、比較的比較し易かったです。 要因分析 V2Hを使用したことで、PVの売電量と自宅使用分の比率が変わるが、どれ位の割合で売電比率が上がったのかは、正 確には計りえない部分もあります。しかし、3件のうち一軒はほとんどV2Hを使用しておらず、1件は、かなりの頻度 でV2Hを使用しており、3件比較検討すると、このシステムの経済的な有効性はかなり高く、通常の使用法であれば、 目的①の仮説を十分実証できたと考えられます。 目的②:「EV+V2H+PV」のピークシフトと災害時の有効性の実証 達成状況 PVの売電量によるピークシフトは確定しておりますが、V2Hを使用することにより、PVが全量売電となることと、 買電量も減少するため、ピークシフトに対しては、確実に有効でした。またEV走行によるCO2排出の削減量も大きな ものでした。ただ、実証期間中には、災害による停電等もなく、災害時の有効性は得られませんでしたが、このシス テムそのものが、災害時に対しても開発されたものです。 要因分析 サンプル数が少ないのと、家庭内における電力データは得られたが、EVのグレードにより、走行データを得られない ケースがあったことと、V2Hを使用することでPV発電からの売電量・自宅使用分の比率が変化するが、その割合は科 学的にではなく、仮想の数字から導きざるを得なかったので、その辺りは事前に熟慮すべき点でした。 委託事業終了後の展望 我々は、EVは、車として利用するだけでなく、蓄電器として利用するケースも、どんどん増えると考えております。 たとえば「日産リーフ」には24kwのリチウムイオン二次電池が搭載されております。これは一般家庭の2日分にも相 当するもので、車輌価格は、国の補助金を差し引くと220万円程度となり、他の蓄電システムと比較しても安価であ ると考えます。ただし、家庭に給電するにはV2Hが必要で、これを設置するとW発電となりPVの売電価格が下がりま す。 今回のモニターの中には、V2HをEVの充電だけで給電には使用していない方もおりました。モニターは、EVを充電 できて、いざと言う時に家庭で電気が使えるなら、それでいいのだという方でした。このように、V2Hは積極的に使 用しないと売電価格が下がることでリスクもあるが、災害時に使えればよいという考えの方もおりました。、しかし、 V2Hは、積極的に使用すれば、経済的にも大変有効であるということも実証できました。 ただ、現段階、今の売電制度では、PVかつEVの利用者にV2Hを勧めるのは設備投資上、なかなか難しいと思います。
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