永野則雄(ながの のりお) 法政大学教授・アカウンティング専攻設置委 員長。1947年生まれ。横浜市立大学商学部卒 業。東京大学大学院経済学研究科修士課程修 了。同研究科博士課程中退。山口大学教授を 経て現職。2000年度から2002年度まで税理士 試験試験委員。著書に『財務会計の基礎概 念』(白桃書房) ,『ケースでまなぶ財務会計』 (白桃書房), 『ケースブック会計学入門』(新 世社) ,『経営がわかる会計入門』 (ちくま新 書)など。 本大学院では,会計専門職を「会計の知識をベ ースにして活躍する専門職」であると 経営と情報技術に関する科目が設置されてお えていま り,アカウンティング専攻の学生も履修できま す。本大学院の修了者は 認会計士試験を受ける す。とりわけ情報技術に関する豊富な科目は,会 ことを前提としています。しかし,監査証明業務 計がコンピュータによる情報システムであること を行う監査人になることだけを想定しているので から,会計専門職には役に立つものです。また, はありません。企業や各種の組織で財務・会計の 夜間の社会人大学院が設置されており,そこにお 知識を経営・管理に活かす専門家など,会計の知 ける経営関係の豊富な授業科目も履修できます。 識をベースにさまざまな 野で活躍することを想 ただし,アカウンティング専攻の科目を履修する 定しています。 だけでも負担が重くなることが予想されるので, 会計専門職には「臨床の学」が必要です。会計 の知識として簿記や会計規則を覚えれば会計の専 重要だと思われる科目を選択することが必要で す。 門家になれると勘違いされることがあります。会 カリキュラムでは,新 認会計士試験における 計や経営の現場においては実践的な経験・知識だ 必須科目に対応した授業科目を「基本科目」とし けでなく,理論的な知識と論理的思 力が求めら て1年次と2年次に配置しています。たとえば, れます。それは,医療の現場において臨床医に求 企業法をAとBに けるなどの工夫をして必要な められるものと同じような素養です。 会計専門職には会計や経営の現場において理論 と実践を融合する「臨床の学」が必要とされてい 野を過不足なく授業できるような配慮をしてい ます。 2年次では,会計科目群でも基本科目以外のも るのです。こうした「臨床の学」の修得によって のを「展開・応用科目」として会計の実務 会計の知識を生かして多方面で活躍できる専門職 先端 野の授業科目を設けています。また,新 となることができます。本大学院では,こうした 認会計士試験における選択科目に対応した授業科 点を 慮したカリキュラムと授業内容を実現しま 目を「関連科目」として1年次に配置していま す。たとえば,「財務会計演習」では研究者教員 す。 と実務家教員とが合同で授業を行い,1つの問題 を異なる角度から検討したりします。 ただし,こうした新 野や 認会計士試験に準拠した ような科目を配置しているとしても,受験のため 本大学院は,専門職大学院であるイノベーショ のテクニックを教えるものではありません。その ン・マネジメント研究科にアカウンティング専攻 多くは, 「臨床の学」として必要な会計およびそ として設置します。この研究科にあるイノベーシ の関連領域に関する知識とそれに関わる理論的思 ョン・マネジメント専攻は,企業経営と情報技術 力を得るためのものです。 (IT)のコラボレーションを狙った大学院です。 14 2004.12
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