◎松果体の障害などで睡眠障害は起こるか? 松果体より分泌されるメラトニンは、睡眠覚醒 リズムの調節に関連しているといわれ、睡眠障害 の治療にこの内服も用いられている。メラトニン を分泌する松果体が、腫瘍や手術などにて、障害 ないしは除去された場合、睡眠障害が生じるもの かどうかについてご教示ください。 また、松果体腫瘍などにて、メラトニンが過剰 に産生される場合もあるのか? あるなら、どん な症状を呈するのかについても。 ︵新潟県、精神科︶ 回答 国立精神・神経センター精神保健研究所 る働きをしています。 松果体の腫瘍や手術などで松果体が障害された り除去された場合には、メラトニン分泌に異常が 見られます。これまでに松果体腫瘍や手術例につ いてさまざまな臨床症状の報告がありますが、睡 眠・覚醒状態について詳細に記したものはあまり ありません。 この中に、松果体腫瘍の疑いで13歳時に松果体 除去を受けた女性で、出産を契機に何年にもわた り って過眠症状が出現した例があります。この症例 は、メラトニンが1日中低値であり日内リズムも 消失していましたが、メラトニン2㎎を夜間に投 与したところ、睡眠・覚醒リズムに改善が見られ 松果体の霧q8旨oB鋤のために放射線療法を受 精神生理部部長 大川匡子 松果体ホルモン メラトニンは、哺乳類では夜 けてメラトニンの分泌が全く見られなくなった3 たようです。 間に分泌され、血中濃度が上昇し、昼間活動期に 変化を介し、体内時計︵ 視 交 叉 上 核 ︶ は 明 暗 サ イ は低くなります。このようなメラトニンの昼夜の 同時にGH、PRLの分泌リズム異常も見られま の した。メラトニン投与により、内分泌ホルモンの 歳の男性は、不眠と日中の疲労感などが見られ、 クルを感知し、さまざまな概日リズムを同調させ CLINICIAN,99No.48260 (646) 4 リズムが改善されるとともに、睡眠にも改善が見 DUΦげヨ餌pP国∪こOoo犀段Φ戸○○こ菊仁α閃ρ℃﹄ωoヨロ○− 文献 の℃三磯−Uo日一口閃ρ ]≦こ ≦Φσダ ω]≦こ ω①霞餌pρ 一こ 一Go㎝︵一8一︶ αo閃Φ口o¢ωBΦ一簿o口冒●ω鍔ぎ菊①ωΦ舘9ω三一こ曽㍉o。一∼ ωΦ霊日げo目ヨ○口Φ号旨げヨω冒鋤O鋤鉱Φ艮一餌oζ口閃Φ亭 ≦①辞Φ号R堕﹃“国陳①90︷日Φ一象o巳口﹃8ご8日①昌○口 ⑳℃9930お︶い一こ ↓げ巴①P ω国こ 囚一Φ=日鋤P 切閃こ o8︵一〇8︶ もぎ①巴①90ヨ零い餌口8戸Goミ︶o 一Φ口8Qωωoo壁8血≦一夢日o一讐o巳口αΦ臣90po蜜鋤津R られました。しかし、松果体腫瘍でメラトニンが 消失、低下した症例でも、睡眠にほとんど変化が 見られな い 場 合 も 多 い よ う で す 。 一方で、松果体腫瘍などでメラトニン産生の過 剰が見られる場合もあり ま す 。 肥 大 し た 松 果 体 に 石灰化が見られた症例で 、 メ ラ ト ニ ン 高 値 と と も の に視床下部性腺機能低下がありました。この症例 ℃o言蝉αρ]≦>こOO80ざ国こ力蕊o巴一Φα辞︸こ勾Φ評Φぴ 勾いいΦ一く辞>。”ωユ駄おOo旨”]≦①一碧oロ冒−お一讐Φα では、睡眠についてふれていませんが、社会性や 行動上の問題はなかったとのことです。松果体障 ξ℃轟8銭o賃88ξ8閃○墨&ω目●Zo≦国鑛σ& ︸og旨巴o暁ζ①象o冒ρ9Hω3∼一ω㎝O︵一〇8︶ 害の場合、多くは成長、 発 達 、 性 腺 機 能 が 問 題 と なります。 このように、松果体の障害などでメラトニン分 泌についてリズムや分泌量の異常と睡眠障害が一 定していないことは、睡眠が単にメラトニンだけ で規定されていないことによります。メラトニン は他の内分泌ホルモンとも関連し、さらに松果体 腫瘍では、周辺組織の侵襲からの程度により睡眠 障害の発症にも影響します。 (647) 61 CLINICIAN,99No.482
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