近赤外光で硬化する新たなセラミックコンポジットレジンの作製

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歯科材料・羅械VoL27No.5
A−4
近赤外光で硬化する
の近赤外光励起による硬化実験を行った。
新たなセラミックコンポジットレジンの作製
また、Y203粒子をフィラーとするCRの機械的特性の
評価を1…1的として、市販CRおよびフィラーとしてY203
O曽我公平1、工藤栄樹1、宇尾基弘2
1東理大・基礎工・材料工、2北大院・歯・理工
粒子(平均粒径5511m)を10∼40vol%混合したCR
(CR/Y203)、一般的なガラスフィラーのモデル粒子とし
てSiO2粒子(平均粒径50nm)を10∼40vo1%混合した
Cer我mic composite resin for雛frared curing
CR(CRISiO2)の硬化後のヤング率と硬さを測定した。
K.SOGA玉,E.KUDO1,M.UO2
[結果および考察1
1T・ky・U癖・fSci.,2H・kkaid・Uni紘
図Lに示すように、Y203:Tm,YbはCQを励起可能
な480nmを中心とするUC発光を示し、図2.のように
[緒言]
98011mの近赤外光を照射することにより硬化可能な
Yっ03:Tm Yb粒子をフィラーとした新たな近赤外光硬
歯科治療用修復材には、レジンにガラスフィラーを混
合し強化したコンポジットレジン(CR)が用いられている。
化型CRの硬化に成功した。図3.よりCR/Y203や
CR/SlO2は40vol%の強化材混合比において市販CR
これは光重合開始剤を含むレジンモノマーにガラス微
と同様なヤング率を示すことがわかった。また、硬さの測
粒子を混錬したもので、青色光(波長:450∼510nm)を
定においてもCRIY203とCRISio2はほぼ同様な振る舞
照射することでレジンの重合が促進し硬化が起こる。し
いであった。このことからX203:Tm Yb粒子をUC発光
かし、青色光は波長が短く散乱が強いために深部への
体兼フィラーとしたCRが歯科治療用修復材として有用
到達が困難であり、重合深度が浅いことが閥題である。
であると考えられる。
一方ツリウムとイッテルビウムを含有する酸化イットリウム
(Y203:Tm,Yb)は近赤外光(980nm)を照射することによ
り青色光(48011m)を発するアップコンバージョン(UC)発
光を示す。Y203:Tm,Yb粒子をフィラーとして用いるこ
とができれば、長い波長のために散乱の少ない近赤外
光を照射することによりフィラーから発する青色UC発光
(
β
面
)
眺
.域
口り
9
の
q
ゼ
によりレジンの重合を促進する、新たなCRが作製でき、
これにより重合深度が増大することが期待される。
図2.980nm近赤
そこで、本研究では近赤外光によるX2Ω証雌
440 480 520
外光により硬化し
子をフィラーとしたCRの硬化を実証するとともに、X2Ω3
Wavelength(nm)
たY203二Tm,Yb
粒子をフィラーとするCRの硬化後の機械的特性を評価
図1.Y203:Tm,Yb O)UC発
たな近赤外光硬
することを目的とした。
光スペクトル(980玲m励起).
化型CR.
をフィラーとした新
[材料および方法]
光重合開始剤(Camphoroquillone:CQ)を1wt%含
む多官能メタクリレートモノマー(D−GMA)中に、Yのう
ちの2mol%をYbに、0.075mol%をTmに置換した
欝10
▼
。。3
曽切5
召彗
》℃ 0
▼ COmmercl&1CR
十CRIY203
も一CR/Sioっ
Y203粒子をメノウ乳鉢で混合し、フィラー混合比40
の
撫
0 10 20 30 40
vo1%のCRを作製した。この試料に上部から980nmレ
Fi11ercontellt(vol%)
ーザー光(照射強度0.2W/mm2)を5分間照射し、CR
図3.市販CR、Y203粒子およびSio2ガラス粒
子をフィラーとしたCRのヤング率.