332 歯科材料・羅械VoL27No.5 A−4 近赤外光で硬化する の近赤外光励起による硬化実験を行った。 新たなセラミックコンポジットレジンの作製 また、Y203粒子をフィラーとするCRの機械的特性の 評価を1…1的として、市販CRおよびフィラーとしてY203 O曽我公平1、工藤栄樹1、宇尾基弘2 1東理大・基礎工・材料工、2北大院・歯・理工 粒子(平均粒径5511m)を10∼40vol%混合したCR (CR/Y203)、一般的なガラスフィラーのモデル粒子とし てSiO2粒子(平均粒径50nm)を10∼40vo1%混合した Cer我mic composite resin for雛frared curing CR(CRISiO2)の硬化後のヤング率と硬さを測定した。 K.SOGA玉,E.KUDO1,M.UO2 [結果および考察1 1T・ky・U癖・fSci.,2H・kkaid・Uni紘 図Lに示すように、Y203:Tm,YbはCQを励起可能 な480nmを中心とするUC発光を示し、図2.のように [緒言] 98011mの近赤外光を照射することにより硬化可能な Yっ03:Tm Yb粒子をフィラーとした新たな近赤外光硬 歯科治療用修復材には、レジンにガラスフィラーを混 合し強化したコンポジットレジン(CR)が用いられている。 化型CRの硬化に成功した。図3.よりCR/Y203や CR/SlO2は40vol%の強化材混合比において市販CR これは光重合開始剤を含むレジンモノマーにガラス微 と同様なヤング率を示すことがわかった。また、硬さの測 粒子を混錬したもので、青色光(波長:450∼510nm)を 定においてもCRIY203とCRISio2はほぼ同様な振る舞 照射することでレジンの重合が促進し硬化が起こる。し いであった。このことからX203:Tm Yb粒子をUC発光 かし、青色光は波長が短く散乱が強いために深部への 体兼フィラーとしたCRが歯科治療用修復材として有用 到達が困難であり、重合深度が浅いことが閥題である。 であると考えられる。 一方ツリウムとイッテルビウムを含有する酸化イットリウム (Y203:Tm,Yb)は近赤外光(980nm)を照射することによ り青色光(48011m)を発するアップコンバージョン(UC)発 光を示す。Y203:Tm,Yb粒子をフィラーとして用いるこ とができれば、長い波長のために散乱の少ない近赤外 光を照射することによりフィラーから発する青色UC発光 ( β 面 ) 眺 .域 口り 9 の q ゼ によりレジンの重合を促進する、新たなCRが作製でき、 これにより重合深度が増大することが期待される。 図2.980nm近赤 そこで、本研究では近赤外光によるX2Ω証雌 440 480 520 外光により硬化し 子をフィラーとしたCRの硬化を実証するとともに、X2Ω3 Wavelength(nm) たY203二Tm,Yb 粒子をフィラーとするCRの硬化後の機械的特性を評価 図1.Y203:Tm,Yb O)UC発 たな近赤外光硬 することを目的とした。 光スペクトル(980玲m励起). 化型CR. をフィラーとした新 [材料および方法] 光重合開始剤(Camphoroquillone:CQ)を1wt%含 む多官能メタクリレートモノマー(D−GMA)中に、Yのう ちの2mol%をYbに、0.075mol%をTmに置換した 欝10 ▼ 。。3 曽切5 召彗 》℃ 0 ▼ COmmercl&1CR 十CRIY203 も一CR/Sioっ Y203粒子をメノウ乳鉢で混合し、フィラー混合比40 の 撫 0 10 20 30 40 vo1%のCRを作製した。この試料に上部から980nmレ Fi11ercontellt(vol%) ーザー光(照射強度0.2W/mm2)を5分間照射し、CR 図3.市販CR、Y203粒子およびSio2ガラス粒 子をフィラーとしたCRのヤング率.
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