紙用オフセット輪転機と軟包装用CI型、EBオフセットCI8の違い

紙用オフセット輪転機と軟包装用CI型、EBオフセットCI8の違い
(Differences between web offset and CI8 for flexible packaging)
標準のオフセット輪転機の用途は、主に紙、板紙用であるが、今回紹介する軟包装印刷用輪転機M
M
odel CI8(以下
COMEXI CI8 と呼ぶ)は基本的に下記の点で異なる。
CI8
1. CI8の用途 (Applications)
オフセット印刷の用途は、おもに商業印刷、書籍、新聞などの紙への印刷であるが COMEXI CI8
の用途は、食品用軟包装フィルムの印刷である。
2. CI8の印刷ユニット (Printing Unit)
オフセット印刷機は印刷ユニットが横にならぶ
インライン型であるが、CI8はフレキソ印刷機
に採用されている大口径(3,000mm径)のドラムの周囲にオフセットのユニットを8色分
配したもので、フィルムなどの薄く、伸縮性のある材用の印刷に適している。
2. 印刷周長(Repeat Length)
オフセットは、通常印刷周長が固定(Aサイズ、Bサイズ)であるが、CI8はその目的上、無段
可変(Infinitely Variable Repeat Length)である。(CI8 の場合、455mm~930mm)
4.インキ(Ink)
オフセットは標準の平版インキを使用するが、CI8はEB硬化型インキ(EB Curable Ink)を使
用する。このインキは、熱、紫外線などに反応しないため、印刷後このインキを落としたり、洗浄
せず、翌日使用したりすることができる。労働環境にもよい。
また、有機溶剤を使用しないため(VOCフリー)自然環境にもよい。
光重合開始剤(Photo Initiator, PI)を含まないため臭いがなく、食品用途に使用される。
5.
製版(Plate Making)
CI8 の製版方式は、従来式と同様で、CIP3,CIP4でCTP入力し、PS版を使用するものであ
る。従来のオフセット用CTP装置が使用できる。
6.ドライヤー(Dryer)
CI8は、EB照射装置(Electron Beam Curing System)を採用、照射を印刷後におこなう。色間
の乾燥はない。電子線照射時に酸素(O2)と反応、オゾン(O3)を発生させ、硬化に影響を与
えるため、酸素を遮断するために窒素(N2)をパージする。タンクまたは発生装置を必要とする。
電子線照射装置
このCI8は、インキの硬化にEB(電子線照射)装置を採用している。この装置によれば:
―無溶剤の電子線硬化型のインキを使用、
VOC
フリー
―光反応開始剤を使用しないので臭気がない、
食品用に適す
―ヒートインパクトが無い、
フィルムの収縮がない
―エネルギーの使用が少ない
経済的
―使用に長年の実績あり、
安心。安全に使用可能
この装置は、印刷の最後に位置して、電子線を照射、瞬時にインキを硬化させる。この装置は
X 線を放射するので、鉛で防護壁を作り、作業者の安全を図っている。
電子線を照射すると空気中の酸素(O2)が反応しオゾン(O3)を発生する。すると、照射の 効果
がうすれるので空気が入らないよう窒素(N2)をパージする。
使用する量は幅、速度によって
異なるが、その使用量、コストは微々たるものである。
図 Electron Beam Curing station
電子線硬化型インキ
このインキは、まったく有機溶剤を使用しないもので、電子線を照射することにより硬化する。
電子線照射によってのみ硬化するので熱、紫外線又は温度による影響はない。米国では、主にミル
クカートンの印刷に長く使用されており、最近は軟包装の印刷にも使用されている。紫外線、熱、
スクラッチに非常に強い物性をもつ。
インキメーカーは、Wikoff, DIC(Sun Chemical) INX(サカタ)、など
電子線硬化型インキの安全性
このインキは上記の各メーカーが FDA, スイス条約およびネスレの規格を満たした製品を製造して
おり、安全性に問題はない。
CI8 の導入例
CI8 は、DRUPA でのデモのあと、スペインの中堅コンバーター、インプラクサ社(Inplacsa
SA)
に納入された。同社はフレキソ機を複数台持ち、食品用軟包装の印刷、ラミをおこなっている会社。
更に2014年秋には同じスペインの大手コンバーター、同国で3位の規模の SP グループに納入
される。同社はグラビヤ、フレキソを多数台数持っているが、今回オフセット機を導入する事を決
め今年度末に納入される。同社によれば今後は、グラビヤ、フレキソの新規導入はしないとのこと
である。
SP group: http://www.spg-pack.com/