国際興業株式会社 [PDF: 3.1MB]

新たな仕組みが誕生したときには
フレキシブルな対応が必要
小山 秀樹氏
国際興業株式会社
総務部次長 兼
情報システム課長
国際興業株式会社
国際興業株式会社
月に
テル経営やゴルフ場経営といった観光
バスやハイヤーなどの交通事業、ホ
対応できる体制であることが必要で
報システム側もフレキシブルに変化に
した際に迅速に対応するためには、情
﹁パスモのような新たな仕組みが誕生
参加している。
なった。
のリース期間が切れることが発端と
うために利用していたメインフレーム
いえば販売管理、給与計算などを行な
はその時点で利用していた、一般的に
のは2005 年。2006 年
・レジャー事業、輸入車やゴルフ用品
てを事業としているのが国際興業だ。
社でこれら全
事業、不動産の開発・販売、賃貸を行っ
ドットコム﹂は中古バスを販売するサ
る 可 能 性 も あ る。 例 え ば、
﹁中 古 バ ス
及により事業内容に思わぬ変化が起こ
また、現在ではインターネットの普
インフレームの後継機を導入する。パ
つありました。それまで使っていたメ
﹁シ ス テ ム 刷 新 に あ た っ て 選 択 肢 は
査は、当時を次のように振り返る。
の総務部情報システム課・青葉孝次主
多角的事業展開が特徴の国際興業だ
イ ト で あ る。 イ ン タ ー ネ ッ ト に よ っ
ソコンサーバーに入れ替える。そして
システム刷新を担当した現場担当者
が、総務部次長兼情報システム課長
て、新たな需要が顕在化し、ビジネス
ている不動産事業
小 山 秀 樹 氏 は、
﹁我 々 が 手 が け て い る
になった好例といえる。
JBCCから提案されたIBMの
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S
く、お客さまに安定性と、信頼性の高
せん。しかし、社会的使命が非常に高
な市場拡大をのぞめる分野ではありま
部門が肝要。情報システム部門といえ
フレキシブルに対応する情報システム
﹁こうした変化にスピード感を持って
る課題を次のように説明する。
レームを使い続けるべきなのか?﹂と
あ が っ た の が、
﹁こ の ま ま メ イ ン フ
三つの選択肢の選定基準としてまず
を元に、社内協議が始まったのです﹂
テムインテグレーターから受けた提案
を導入するか。複数のシス
いサービスを絶えず提供していくこと
ば 従 来 は 受 信 型 つ ま り、
〝待 ち〟 の 姿
しては成熟しており、ここ数年で急激
が企業としての使命であると考えてい
いう議論である。
2007 年 月に首都圏でスタート
て い か な け れ ば な ら な い。 例 え ば、
環境や技術の変化にも積極的に対応し
したサービスの提供だけでなく、社会
社会的使命を果たすためには、安定
顧客情報、ハイヤーの運送収入管理な
ん。そこでまず手がけたのが、カードの
を吸い上げる体制でなければなりませ
信・提案し、現場からもどんどん要望
れからは情報システム課が積極的に発
らあがったのは当然のことといえる。
い続けてよいのか﹂という声が社内か
しにくいメインフレームをこのまま使
て い る こ と を 考 え る と、
﹁変 化 に 対 応
各事業のサービス内容の変化が起こっ
うな社会変化、インターネットによる
最初に紹介したように、パスモのよ
同社がシステム刷新の検討を始めた
うち、メインフレームを担当できるス
点です。情報システム課のスタッフの
は属人性が高いシステムであるという
﹁私が懸念したのは、メインフレーム
ど各業務を管理するために活用してい
ビ ス﹁P A S M O︵パ ス モ︶﹂ は、 ス
タ ー ト 時 点 で バ ス、 鉄 道 な ど1 0 1
の事業者が参加している。一つの C
カードで異なる事業者の交通を利用で
I
きるのがセールスポイントで、国際興
リース切れ契機に
システム刷新を決意
たメインフレームの撤廃だったのです﹂
ます﹂と話す。
勢でいることが多かったのですが、こ
小山次長は情報システム部門が抱え
のは総合サービス産業であり、市場と
︱
す。
﹂︵小山次長︶
業もスタート時点からこのサービスに
メインフレームを完全撤廃
System i5によるオープン化で
業務効率大幅アップを実現
の販売や商材調達といった流通・商事
環境変化に対応できる
情報システムが必然に
設 立:1940年
資 本 金:1億円
従業員数:2,400人
本 社:東京都中央区
八重洲2-10-3
http://www.kokusaikogyo.
co.jp/
3
S t u d y
C a s e
a
Special feature.3
●企業データ
運輸交通、観光レジャー、流通商事、不動産開発など多角的に事業展開を行う国際興業。
2008年5月、従来のメインフレームを完全撤廃し、
IBM System i5によるオープンシステムを本格稼働した。
効果は絶大で、
コスト削減効果などと共に業務処理速度が大幅に向上し、
従来は15分から20分かかっていた処理時間が15秒から20秒へと劇的に短縮された。
現代はICカードを使った乗車券やインターネット活用による顧客とのダイレクトなやりとりなど、
システム側もフレキシブルな変更が必要となる。
オープンシステム導入でそのための下地作りができあがったという。
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1
した Cカードを活用した乗車券サー
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vol.196 Autumn 2008
vol.196 Autumn 2008
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I
最終的な確認ができる
町田 弘行氏
青葉 孝次氏
国際興業株式会社
総務部
情報システム課 係長
国際興業株式会社
総務部
情報システム課 主査
タッフは
人いて、年齢が高い者、極
端に若い者と偏重しています。例えば
年齢層の高いスタッフが定年を迎えた
ムへの移行作業がスタートした。
だったが、その下にサブシステムがつ
いていることもあってプログラム数は
6 4 0 本 あ っ た。 そ れ も、 あ る 業 種
い て は、
﹁こ れ ま で メ イ ン フ レ ー ム を
一方、パソコンサーバーの導入につ
いう結論に達しました﹂︵小山次長︶
ンフレームを使い続けるのは難しいと
スキルを総合的に検討した結果、メイ
覚えさせることが適切かマンパワーと
に新入社員にメインフレームの運用を
のですが、やはり実プログラムでテス
点でした。格段に速くなると言われた
催したセミナーでアピールされていた
﹁処理スピード向上は、J BCCが開
であった。
ト環境の作成が容易に
②他システムとの連携が容易、③テス
ト と し て は、 ① 処 理 ス ピ ー ド の 速 さ、
新システムの機能面から見たメリッ
テストは、プログラムの数が多いこと
れていきました﹂
のSEの支援によって徐々に作業に慣
が、 弊 社 に 常 駐 し て く れ た J B C C
ない
し た﹂ と 青 葉 主 査 は 振 り 返 る。
﹁慣 れ
た め の 作 業 は、
﹁正 直 な と こ ろ 大 変 で
フトを利用している。
存在しないためオリジナル開発したソ
が、別な業種にはパッケージソフトが
ではパッケージソフトを使っている
使ってきた自分達が、一足飛びにパソ
ト し な け れ ば わ か ら な い。 J B C C
もあって最大の難所となった。J BCC
処理速度が
分から 秒に
コンに移行できるのだろうか?﹂とい
の検証施設﹃SLCC︵ソリューショ
もテストが山場となると見ていた。
ら ど う な る の か? 欠 員 を 埋 め る た め
う懸念が情報システム課スタッフから
ン コ ン ピ テ ン シ ー セ ン タ ー︶﹄ に プ ロ
これだけ多数のプログラムを移行の
あがった。
グラムの中で最も重いものを持ち込
JBCCの東日本事業部第一営業本
という 点
長は当時の心境を次のように説明する。
総務部情報システム課の町田弘行係
み、テストしました。すると、これま
に最初は戸惑いました
部 第 一 営 業 部・ 古 川 勝 人 部 長 は、
﹁確
かったですが、国際興業さんは我々に
かにテストするプログラムの数は多
この他の機能的なメリットは、シス
とっては理想的なお客さまで、納期ご
多彩な事業が特徴である国際興業の
進んだのだと思います﹂と指摘する。
ました。だからこそ、スムーズに作業が
とにきちんと作業をすませてください
と同様にオープンシステムでありなが
場合、各業務用アプリケーションを統
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を持つ
﹁以 前、 E R P 導 入 を 検 討 し た こ と も
一することは難しい。
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メインフレームに慣れているスタッフ
あります。しかし、業種が多いためア
﹁エ ン ド ユ ー ザ ー に デ ー タ を 入 力 し て
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ないと最終的な確認ができない部分は
出てくるか。エンドユーザーの協力が
と も 大 き な プ ラ ス と な っ た。 し か し、
た、テスト環境を容易に作成できるこ
か ら は、
﹁ 違 和 感 な く 利 用 で き る﹂ と
プリケーションコストがかかりすぎて
だった。操作体系も
いう声があがった。
移行対象となったのは
た﹂︵小山次長︶
もらって、以前通りのアウトプットが
月、 メ イ ン
への移行が決
月、本格的に新システ
ンフレームのデータを
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N
ことができなかったた
システム
導入が難しいという結論に至りまし
こ う し て2 0 0 6 年
フレームから
定。その年の
う ま く い く か、 か な り 心 配 し ま し た﹂
作成したシナリオに基づきエンド
め、間にサーバーを立
に送り込む
ユーザーと共に実施した最終テスト
ててデータを送り込む
直接
で、以前と変わらないアウトプットが
仕組みを作っていた
と町田係長。
出力した時には情報システム課スタッ
が、新システムはその
必要がない。サーバー
フ、 J B C C 側 の ス タ ッ フ も 安 堵 の
を必要としない分、コ
声があがったそうだ。
し か も 、 処 理 速 度 は 大 幅 に 向 上 し、
スト削減、開発工数削
減といった効果が現れ
SLCCで実施したテスト通り、アウ
トプットが出てくるまでの時間は
さ ら に、
﹁情 報 シ ス
ている。
﹁見 た 目 を ほ と ん ど 変 え て い な い た
テム課のスタッフの仕
秒、 秒。
め、エンドユーザーからは﹃どこが変
事内容が大きく変わった﹂と声があが
ソフト﹁
﹂導入によ
起こった大きな変化は、①J BCCの
こうして新システムに移行した結果
て い か な け れ ば な ら な い﹂ と 指 摘 す
報システム課がもっと近い存在になっ
小 山 次 長 は、
﹁こ れ か ら は 現 場 と 情
作成依頼がほとんどなくなったのだ。
は多かったエンドユーザーからの帳票
成ができるようになったことで、以前
ルによって自分で
の図や表の作
報システムを大胆に再構築することが
﹁ 顧 客 の 志 向 や 経 営 ニ ー ズ に 則 し、 情
そうだ。
だまだ改善の余地がある﹂と実感した
も 把 握 で き な い 現 場 業 務 も 多 く、
﹁ま
事業が幅広いだけに、情報システム課
コ ン で 処 理 す る こ と が 可 能 と な っ た。
手書きで行なっていた業務処理をパソ
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る他システムとの連携、②電子帳票の
る。
インフレーム撤廃はその第一歩であ
必要な時代となっています。今回のメ
要です﹂
わったのかわからない﹄という声もあ
実際にこれまでは T化されていな
利用、③CSVファイルへのデータ吐
タッフは長年固定されていて、他の部
I
﹁他 部 署 に 比 べ 情 報 シ ス テ ム 課 の ス
情報システム課の
仕事内容も激変
証といえます﹂︵青葉主査︶
るほど最も効果があらわれているの
①JBCCのソフト
「NewWorkFriend」導入による
他システムとの連携
②電子帳票の利用
③CSVファイルへの
データ吐き出しが可能
り ま し た。 変 化 に 気 づ か な い こ と こ
新システムによって起こった変化
かった運輸事業に所属する整備工場に
新システムの機能面のメリット
パソコンを導入したところ、これまで
①処理スピードの速さ
②他システムとの連携が容易
③テスト環境の作成が容易に
は、CSVファイルへのデータ吐き出
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しが可能となったこと。CSVファイ
メインフレームからSystem i5へ
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そ、システム移行がスムーズにできた
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機能的な導入メリットとしてあげ
ら、メインフレームの信頼性、安定性
た。
テム移行作業中に実感することとなっ
秒ですんだのです﹂︵町田係長︶
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﹁や は り コ マ ン ド ベ ー ス で の 操 作 に 慣
たと思います﹂
もあったというのが本当のところだっ
パソコンに移行してしまうことに不安
で 分かかっていた処理が 秒から
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れたスタッフが多いですから、一気に
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20
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システム移行がスムーズにできた証
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エンドユーザーの協力があってこそ
4
そこで浮上してきたのが、パソコン
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点。
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F
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r
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W
w
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N
き出しが可能にという
に 送 り 込 ん で い た。 メ イ
た め に、 メ イ ン フ レ ー ム の デ ー タ を
仕組みがない﹂という問題を解決する
事業から上がっている収入を把握する
課員が持つスキルを拡充することが必
の声を吸い上げると共に情報システム
れからはもっと人材交流を図り、現場
署への異動が少なかった。しかし、こ
テム課の今後の課題です﹂︵小山次長︶
なる改革を実現していくのが情報シス
これに終わることなく、これからさら
り、 大 成 功 と い っ て い い と 思 い ま す。
実 は メ イ ン フ レ ー ム 利 用 時 は、
﹁各
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変化に気づかないことこそ
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